ロズブロクP

ゲームシナリオディレクター、同ライター、ボイスレコーディングディレクターを長いことやっ…

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ゲームシナリオディレクター、同ライター、ボイスレコーディングディレクターを長いことやっています。大学時代の専攻は日本近代史でしたが、仕事には十分活かせたとは言えません。そんなわけで、久しぶりに歴史について語ってみたいと思います。

最近の記事

楽しい史料のすすめ ~『我衣』(おまけ)~

この記事を書いていてはじめて知ったのですが、加藤曳尾庵先生を主人公とする時代もの推理小説が刊行されていました。ちょっとビックリ。 田原藩のお抱え医師を辞めた後、板橋宿で手習い師匠を務めるかたわら医業を営んでいた頃の曳尾庵先生が怪事件に挑むというお話のようです。 最初の記事にも書きましたが、最近はほんとうにいろいろな「目の付け所」の歴史ものコンテンツが増えましたね。今度、読んでみようかな。 大食い大会レポート さて、ちょっとした記事を最後にいくつか紹介して『我衣』について

    • 楽しい史料のすすめ ~『我衣』(3) 怪談奇談~

      江戸庶民の心情がうかがえる怪談奇談の数々 同書には怪談奇談の類も多く記されています。例えばこんな話が巻一(寛政三年)にありました。 安楽寺というお寺の尼僧が自らの死期を悟って遺言しました。それは「私が死んだら結縁(注1)のため、すぐに葬らずに七日の間人々に私の亡骸を拝ませてくださいな」ということでした。そして予言の通りに彼女は死亡し、家の者やお寺の和尚さん皆々、遺言の通りに亡骸を世話し公開したところ、これは尊い極楽往生だとあちこちから大勢の人々が参詣に来るようになりました

      • 楽しい史料のすすめ ~『我衣』(2)江ノ島・鎌倉紀行~

        江戸時代の旅行というと、学校で教わった東海道五十三次や箱根の関所、大井川の渡しにお伊勢参りなどのワードが浮かんできます。しかし、そんな大旅行は当時の庶民にとって生涯に一度に行けるかどうかのもの。しかしその分、関東近郊へちょこっと小旅行なんてことはみんなよくやっておりました。曳尾庵先生も江ノ島や熱海の湯、秩父や房総方面などに出かけていたようです。『我衣』にはそんなちょっとした旅行記もありますので読んでいきましょう。 江戸から江ノ島へ 文化四年の春。曳尾庵先生とその仲間たちは

        • 楽しい史料のすすめ ~加藤曳尾庵『我衣』~

          加藤曳尾庵 著『我衣』その1 まずは、加藤曳尾庵(注1)の随筆『我衣(わがころも)』を紹介しましょう。この書がどんなものかは、曳尾庵先生みずから記しています。 この記述の通り、著者が(当時の)古書から見つけたりその目で見て耳で聞いたりした江戸の人々の暮らしぶりや町の様子、時代の変化が本当に詳細に記されていて、例えばフィクションの世界で当時の世間を描写するときには絶好の参考資料になるのではと思います。全19巻の大著なうえに本当に詳細な内容なため、私も完全読破には至っていない

        楽しい史料のすすめ ~『我衣』(おまけ)~

          楽しい史料のすすめ(日本史)   

          はじめに 私がゲームの仕事をはじめてから25年ほどたちました。この期間を振り返ってみると、ゲームソフト(アプリ)のジャンルの中でもっとも拡大したもののひとつと言えるのが「歴史もの」です。 初期はリアルな歴史の場面をステージとした硬派なシミュレーションゲームが主役でしたが、ADV、アクションバトル、RPG、擬人化といったジャンルでも、世界観やストーリーなどでも、創造性あふれる多種多様な「歴史もの」が登場してきました。それによって、ゲームをきっかけとして様々な歴史に興味を持ち、

          楽しい史料のすすめ(日本史)