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おすすめ男性芥川賞受賞作家2選

毎年1月と7月に発表される芥川賞。同時に発表される直木賞と並んで、日本でもっとも注目を浴びる文学賞のひとつです。
芥川賞は正式には「芥川龍之介賞」と言い、作家であり文藝春秋社(現在は株式会社文藝春秋)の創設者でもある菊池寛が1935年に創設しました。
純文学を対象とした賞としては日本最高峰の賞の1つと言えるでしょう。

以前、「おすすめ女性芥川賞受賞作家3選」を書きましたが、今回は男性バージョンというコトで芥川賞受賞作家の中からおすすめ男性作家を2人を紹介していきたいと思います。

以前の記事はこちら!

おすすめ男性芥川賞受賞作家①花村萬月

おすすめ1人目は『ゲルマニウムの夜』で第119回(1998年上半期)芥川賞を受賞した花村萬月さんです。
花村萬月さんは比較的に暴力描写と性描写が多い作風ではありますが、それが下品に終わらず、芸術の領域まで高めてくれる魅力があります。

花村萬月さんはキリスト教系の養護施設で育ち、高校を3日で退学、ヒモ生活や肉体労働などで食いつなぎ、アルコール中毒・薬物中毒での入院経験もありと、まるで小説かのような生き方をしてきています。
その経験があるからこそ深みのある文章が書けるんですね。彼の作品の登場人物は暴力や性にまみれながらも、人間としての生命力やエネルギーにあふれていて、どこか惹き込まれる様な魅力があります。

芥川賞受賞作の『ゲルマニウムの夜』は、聖職者による性暴力や児童福祉施設内での暴力を描いた問題作ではありますが、一度読めばこの作品が芥川賞に選ばれたのも納得のいく名作でもあります。
悲しいほどリアルで、腐って澱んでいるのに、どこか惹き付けられる。読み始めると頁をめくる手が止まらなくなる作品ですので、是非読んでみてください。

おすすめ男性芥川賞受賞作家②町田康

おすすめ2人目は『きれぎれ』で第123回(2000年上半期)芥川賞を受賞した町田康さんです。
町田康さんの作品の魅力は何といってもその独特の文体にあります。言葉にリズムがあり、ナンセンスと馬鹿馬鹿しさが交じり合った文章は、他に類を見ない世界感を作り出します。

彼の作品を読んでいると、文学の奥深さを感じます。「文学でしか、文章でしか表現できない芸術」といった印象をもつ作品で、きっと同じ物語を音楽で表現しても、映像で表現してもこんなに魅力的にはならないのではないでしょうか。

芥川賞受賞作の『きれぎれ』ももちろん良作なのですが、筆者としては2004年に刊行された『パンク侍、斬られて候』をおすすめします。町田康ワールド全開の時代劇で、「物語を追う」のではなく「言葉を追う」という感覚で読むと小説の新たな境地が見えるような気がしてきます。

まとめ

今回は芥川賞受賞作家の中からおすすめ男性作家を2人を紹介してきました。女性芥川賞作家の紹介記事よりも、1人の作家さんの紹介が長くなっていしまったので今回は2人のみの紹介とさせていただきました。

芥川賞はエッジの効いた作家が受賞することも多く、毎回楽しみになります。今後も受賞作には注目をしていきたいですね。



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