可能性を見せてくれるチカラ-岡崎慎司選手の魅力-
元サッカー日本代表の岡崎慎司選手がスペイン1部ウエスカからの退団を表明した。新天地は未定だが、「まだ懲りずに挑戦し続けます」とコメントしており、引退はまだ先のようだ。年齢を考えてJリーグの復帰説もネットで囁かれているが、来シーズンは果たしてどのチームにいるのだろうか。
筆者は岡崎選手が好きだ。歴代の日本代表選手の中でも、あんなに心を震えさせてくれるFWらしいFWはしばらくは出てこないんではないだろうかと思う。筆者と同じような感覚を持っているサッカーファンは少なくないハズだ。
岡崎慎司選手の魅力
魅力を上げればキリがないのだが、筆者が感じている岡崎選手の魅力を一言にまとめるとすれば「自分たちの可能性を見せてくれた」ということだろう。
何といっても「日本人FWが高みまでいけるという可能性」を見せてくれた。
清水エスパルス入団時は当時の長谷川健太監督に「FW8人の中で8番目」と言われる存在だったトコロから、3年目には日本代表に初選出。2011年にはドイツ・ブンデスリーガに移籍すると、マインツ移籍後は2年連続2桁得点を記録。2015年にイングランド・プレミアリーグのレスターに移籍すると、クラブ創設132年で初のプレミアリーグ優勝という『ミラクルレスター』の主力として活躍。2019年にスペイン2部セグンダ・ディビシオンに所属するSDウエス移籍、1年目から12得点でチーム内得点王として1部昇格の原動力となった。FWとして、ドイツ・イングランド・スペインと3カ国全てで結果を残している選手はなかなかいない。
恵まれた条件を持っていない人間の可能性
もう1つ筆者として強く魅力を感じるのは、「恵まれた条件を持っていない人間の可能性」を見せてくれたように感じるのである。
岡崎選手は、伊東選手や浅野選手のような爆発的なスピードを持っているワケでもなければ、香川選手のような世界の誰もが認めるボールコントロールを持っているワケでもないと筆者は感じている。
もちろん岡崎選手のスピードやボールコントロールも一流なんだと思う。批判する気はない。ただ世界の一流がそろうリーグの中で、スピードやボールコントロールを武器に戦っていたかというとそうではないと思うだけだ。
岡崎選手の武器は、献身的な前線からの守備、オフザボールの動き、常に“効く”トコロにいるポジショニング、キーパーが弾いたトコロに顔を出す詰め、、、、そういう能力。後天的に努力で身につけた能力であると思うのだ。
もちろん、スピードやボールコントロールも努力で積み重なっていくものなのはわかるが、どうしても『才能の壁』を感じてしまう瞬間というのがある。サッカーに真剣に取り組んだコトがある人は、何となくでも感覚がわかってもらえると思う。それに比べて、オフザボールの動きやポジショニングは努力次第でどこまででも向上していける。そんな後天的な能力で勝負していた岡崎選手は「恵まれた条件を持っていない人間の可能性」というロマンを見せてくれているように感じるのだ。
今の自分に重ねて…
190cm超える選手やら、陸上選手並みのスピードの選手やら、足に接着剤でもついてるかのようにボールを止める選手やら、岡崎選手が戦っている世界はどんでもない才能の集まりだ。そんな中で高さでもなく、スピードでもなく、テクニックでもない、そんな能力で戦っている岡崎選手に「今の自分」を重ねている人は多かったんじゃないかと思う。
現代社会を生きているとスポーツの中にいなくとも「才能」と戦う場面は多い。そんな中でそれを持っていない自分がどう戦うか。そういう事を考えて日々生きている。そんな自分に岡崎選手を重ねて見る。だからきっと筆者にとって岡崎選手が特別に見えるのだと思う。
来シーズンはどのリーグで可能性を見せてくれるのだろうか、引退するまでずっと応援し続けよう。
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