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【Tokyo Saikai Edition】 003 井川雄太さん <前編>

東京西海noteの連載「Tokyo Saikai Edition」の第三回目。今回のゲストは、株式会社シーアンドサイン・共同代表の井川雄太さんです。雑貨好きな方がお目にかかることも多い、「free design」、「DEALERSHIP」、「cotogoto」、「TASTE」の4つの個性が異なるお店。実は4店舗ともシーアンドサインが運営するブランドです。

前編では、北欧デザインとの出会いやモノ選びについて。後編では、ジャンルの異なる4店舗を運営する上で、大切にする思いについてお聞きしました。(取材場所:フリーデザイン/吉祥寺)



——まずは北欧デザインと井川さんの出会いについてお聞きします。きっかけを教えていただけますか。

はい。親族が80年代に「ARABIA(アラビア)」の正規代理店として、「ティーマ」(カイ・フランクがデザインした食器シリーズ)を日本で最初に輸入した村田合同という会社を経営していました。うちの父も同社の役員に名を連ねており、自宅にはティーマのサンプルをはじめ、北欧ブランドの食器や家具が当たり前のようにありました。これが最初のきっかけです。


——そうでしたか。北欧デザインに縁があるご家庭だったのですね。


自分は子供だったので、その背景や価値までは理解していませんでしたが。ただ、我が家の生活に溶け込んでいたこともあり、“シンプルで使いやすい食器” として認識はしていたと思います。しっかり意識するようになったのは、自分が社会人になってからです。インテリアショップや、友人の結婚式の引出物でティーマなどの北欧デザインに触れる機会が増え、子供の頃に当たり前に思っていたモノに、タイムレスな価値があることを知りました。村田合同は、他にもテキスタイルデザイナーのヴォッコ・ヌルメスニエミのブランド「vokko(ヴォッコ)」やスウェーデンの家具ブランド「innovator(イノベーター)」、ジョージ・ネルソンの時計でおなじみの「Howard Miller(ハワードミラー)」などの総代理店もしていました。

——東京・千駄ヶ谷にイノベーターのショップがありましたね。

はい。僕の父はそこのマネージャーも兼ねていました。今でこそ「ライフスタイルショップ」という言葉が浸透していますが、イノベーターはかなり早くからそれを謳っていましたね。イノベーターでいうと、かつて人気だった低反発スリッパの商品がありました。残念ながら廃番になってしまいましたが、その良さを今にも伝えようと、当時のデザイナー(現MID社)とフリーデザインのコラボレーションで、新たに「tofflor」というブランドでつくりなおしました。履き心地も良く、フリーデザインのベストセラーの一つとなっています。やはり父がやっていたことを引き継いでいる部分もあるかもしれません。


——カラーバリエーションも豊富で、とても履きやすそうですね。いつも井川さんのインスタグラム
(@yuta.ikawa)を拝見するたびに、ヴィンテージアイテムと現行品が同居している様子がとても良い景色だなと感じます。

ヴィンテージアイテムと現行品に関しては、意識的に使い分けてはいません。ヴィンテージだから飾っておくということもなく、日常で使っています。その日の気分ですね。ヴィンテージにしても、現行品にしても、捨てることなく長く使えるか、たとえそれが自分の手から離れる時が来たとしても、誰かに引き継げるか。そういう基準が常に根底にあって、モノを選ぶようにしています。自宅でも、両者を分け隔てることなく、調和することを心がけていますね。

——今回、そのような素敵なお宅で、弊社製品の使用シーンを提供いただきました。お嬢さんが「NUPPU」(ヌップ)をお使いになったそうですが、どのような反応でしたでしょうか?

娘の好きな色(ピンク)を中心に選びました。色彩がどれも美しく、使い勝手も良さそうでした。ショップの視点から見ても、「NUPPU」にはデザイン性も含め以前から注目していました。

井川さんご提供
NUPPU:Baby Mug、Plate、Bowl

——お嬢さんが陶器の器を使うことについて、もともと抵抗はありませんでしたか?

実は、普段から樹脂製の器のほかに、ファイヤーキング、アラビア、イッタラなどの器から、娘が気に入ったものを選ばせているので、ワレものに抵抗はありません。側で見ていると、どの器も大事に扱っている印象がありますね。実際、今のところ娘が器を割ったことは一度もありません。ただ、もし何かのきっかけで壊れてしまうことがあったとしても、その悲しみから、モノを大事にする心が育つと思って体験させているので問題はありません。ぼくも悲しみを共有しますけどね(笑)。

井川さんご提供
NUPPU:Baby Mug、Plate、Bowl

——そうでしたか。「NUPPU」も、"割れてしまうからこそ、物を大事にするという気持ちを育める"、という同じ考えでスタートしました。そして、そのサポートとして3年間の保証制度を設けており、実際に食器が割れてしまった際には、無償で一度交換できる取り組みをブランドスタート時から続けています。

それは良いですね。こういう制度があると安心しますね。

——おかげさまで良い反響をいただいています。井川さんが子育てを始めてから、インテリアで変わったことはありましたか?

変化といえば、リビングの一角に娘のコーナーができたことです。いつもそこで自由に過ごしています。今年か来年には、ヴィンテージの子供玩具を散りばめた子供部屋を作りたいなと思ったり。娘には、品質の良いものや長く使えるものを選ぶように促し、日常的に活用することの大切さを経験を通じて伝えていこうと思っています。

——審美眼とモノを大切にする気持ちが受け継がれていくのですね。今回、井川さんには最近リブランディングした、山野アンダーソン陽子さんがデザインする器「Cords」(コーズ)をご自宅でお使いいただきました。旧シリーズと比べての印象はいかがでしょうか?

ブラックやグリーンの深い色合いは、使ってみると過度な主張をせず、程よいアクセントとなりますね。個人的には白の美しさが印象的でした。エナメルやホーローのような質感があり、使っていて気持ち良いです。「Cords」は、料理が引き立つお皿ですね。

Cords:左 Rim Oval、右 Rim Bowl
Cords:Rim Plate 250mm


——新サイズ(250mmサイズ)はいかがでしたか?


ワンプレートの食事にぴったりなので、頻繁に使っています。イッタラやアラビアなど家にある他の食器とも一緒に使ってみましたが、違和感なく相性が良かったです。試しに刺身を盛り付けてみましたが、改めてどんなお料理にも合うなと思いました。自宅では以前から持っているシリーズも使っています。リムオーバルやリムボウルは、パスタやサラダ、カレーなどにも重宝しています。(後編へ続く

井川さんご提供
Cords:Rim Bowl 200mm、Rim Plate 250mm

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