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アムステルダムサーキュラーエコノミー勉強会 -後編-

アムステルダムサーキュラーエコノミー勉強会-前編-の続きを書きたいと思います。

4. サーキュラーエコノミーを実践している企業「MUD JEANS」
5. プレゼンの時間
6. 懇親会(Instock/廃棄食品レストラン)

MUD JEANSのレクチャー

4. サーキュラーエコノミーを実践している企業「MUD JEANS」
ユトレヒトの小学校の訪問後向かったのは、Larenという地区にあるMUD JEANSのオフィス。MUD JEANSのオフィスはスタートアップが入居する、かつては軍隊が居住・演習に使用していた施設だそう。社会問題の改善にビジネスで取り組んでいる企業が集っているという。訪れた日はお天気も良く、緑に囲まれたテラスでランチもできる、気持ち良い空間でした。

MUD JEANSのビジネスの特徴は、毎月定額でジーンズを借りるという、サービスをビジネスとしていて、返却されたジーンズは、また資源として再利用できるようにしています。(購入も可能で、回収を積極的に行なっている)サーキュラーエコノミーはゴミという概念はなく、資源として回収・再利用していくことです。ジーンズを作る上での環境負荷が高い等の製造面での問題や、ジーンズを縫う人たちのアンフェアな低賃金労働の問題など、様々な背景をレクチャーしていただきました。

MUD JEANSが取り組んでいる、環境負荷を最小限にした製造工程の技術開発や、縫製工場とのパートナーシップの構築方法などを聴きながら、行動力に感銘を受けました。また、MUD JEANSと投資家との信頼関係の築き方も納得でした。LCA(Lifecycle Analysis)という、数値的にどのような効果が出ているのかというレポートも、計測機関と協業して、公表しているそう。現状、日本ではLCAの出し方が難しいという意見も参加者の方から出ていました。

ファッション産業全体としては、環境負荷のレベルは上がっていると言われていますが、人々に心の豊かさを与えるファッション産業が持続可能であるために、できることから既にスタートしている企業の話を聞くことができて、前向きな気持ちになれました。Learning by doing(やりながら学ぶ)という姿勢は、徐々に変化を遂げていくために柔軟な方法ですね。また、ものづくりの条件もおそらくヨーロッパが先に進めるのだろうなと感じました。

MUD JEANSのスタジオが入る施設でランチをご馳走になる。

5. プレゼンの時間
3日間の勉強会では、参加者同士のプレゼンテーションがありました。
AmsterdamにあるDB55という建物の一角で、大学の講義のような雰囲気でした。古い倉庫をサステナブル建築で、オフィス、イノベーション、教育、スポーツ、健康、アート、レジャーが一堂に会する場所として蘇らせていました。

"Therein we aimed to make DB55 a living example of Furnify’s circular vision and how it translates into a design without compromising on aesthetics or functionality. (そこで私たちは、DB55をファーニファイのサーキュラー・ビジョンの生きた見本とし、美観や機能性を損なうことなくデザインに反映させることを目指した。)" *Webから引用

まず、DB55を設計した、FurnityのJaninaさんにサーキュラーエコノミー建築やFurnityの事例をレクチャーしてもらいました。ファッション業界と同様にインテリア業界もゴミの問題は大きな課題です。Furnityは、新しい場所を作るとき、できる限り100%の再利用・リファービッシュを目指す形で、別の場所で不要となった家具や材料を調達しながら、設計をしているとのことでした。完成されたスペースの事例を見て、再利用のもので構成されているとはまず思わないでしょうとのことですが、同意です。

FurnityのJaninaさんと安居さんのレクチャー
西海もプレゼンに参加


6. 懇親会(Instock/廃棄食品レストラン)
アムステルダムにはかつてInstockという廃棄食品を使ったレストランがありました。コロナの影響でレストランの運営は無くなってしまったのですが、今回、Instockのシェフが一夜限りの廃棄食品を使ったディナーを作ってくれました。廃棄食品レストランのInstockは、アルバートハインというオランダの大型スーパーの社内コンペで生まれた企画だそうで、食材としての価値はあるものの、販売ができないものをシェフの発想と腕で美味しい料理にしてしまうレストランだったそうです。3日間の勉強会の打ち上げとして、Instockのコース料理を楽しむことが出来ました。
余談ですが、全ての人に合わせた食事ということで、勉強会の間はヴィーガン料理でした。児玉にとっては、これもまた、修行のような食事だったようです。

Instockで最後の記念写真

今回の勉強会では、すでにサーキュラーエコノミーを実装している企業やエリアを見学し、出来上がったものとそのバックグランドを知ることが出来たのは貴重でした。新しいものを生み出す時、それが地球や未来のことも考えて、本当に必要とされているもの、循環し続けられるものであれば、生み出す喜びは今よりもっと得られるようになるだろう、応援する人も増えるだろう。

楽しく学べる時間がまた訪れますように。出会った皆様、ありがとうございました。


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