美大生が集まる、国際デザインワークショップに参加した話。 - きっかけ編 -
今年の3月に、台湾で Global Design Initiativeという
国際デザインワークショップに参加した。
Global Design Initiative、略して GDI は
世界5カ国の美術大学の学長主催によるデザインワークショップ。
各大学から選ばれた3人の代表者が、開催地でフィールドワークを行い、その都市における新たな intervention/event をデザインするというワークショップだ。一昨年の開催国はドイツ、去年は日本、そして今年は台湾という運びで毎年開催されている。
このワークショップに関して、
デザインに触れたことのない人、
今年選考を受けたいと考えている後輩にも、
伝えたいことが山ほどある。
ので、「きっかけ編」「ワークショップ編」「英語編」という3編構成でお送りしようと思う、お付き合いよろしゅうね。
そもそも、
私は GDI を知らなかった。
2年生の冬に受けた転科試験で、
私のポートフォリオを見た主任教授が
『 GDI知ってる?絶対、君にあってるから応募してみて 』と言ったのがきっかけ。私はめちゃめちゃ転科試験に受かりたい一心だったので、すごい速度で頷き、その場で応募することを確約してしまった。
調べてみると参加校がまあ、すごい。
ロンドンからはあのセントマ(Central Saint Martins, University of the Arts London)、ドイツのKISD( Köln International School of Design )、シンガポールのラサール芸術大( Lasalle College of the Arts )、そして唯一の総合大学、台湾からの実践大学。
武蔵美を含め、各国のアート&デザインスクールのトップ3に入る学校ばかりである。
ふむふむ、
この並びを見ただけでなんかワクワクしません?
コンペとかは世界中にあるけど、一緒にプロジェクトができるという機会はなかなかないはず。
言語も、肌の色も、専攻も、全然違う人達とのグループワークで何が生まれるのか、興味しか沸かなかった。
応募締め切りまであと3日、
というタイミングで必死に応募要項を読み込み、面接準備に取り組んだ。
応募要項はデザインワークショップなのに、まあデザインされていない。とりあえず最初のミシェル・フーコーのくだりからよくわからなかった。
武蔵美から応募した過程としては、
英語力に関する資料、Short Essay、学長と教授1名との面接、ポートフォリオだった。
審査における比重としては、
**英語力 > 面接 > Short Essay = ポートフォリオ **くらいかな?
英語力が重要視されている理由としては、
5カ国ごとに1つチームを組むため、日常会話だけでなくデザインに関する専門用語だったりコンセプトの詳細までしっかり自分の言葉で伝えられないと厳しい。( 詳しくは英語編で書くが、海外大学とのディスカッションにおいては英語が話せたって難しいことだらけだ。)
純英語圏がイギリス以外無かったとはいえども、
ドイツのKISDは International Design School のため授業のほとんどが英語、シンガポールに至っては第一言語は英語なので、英語を普段から使わないのは日本と台湾くらいだった。
また、グラフィックデザインや映像編集などのスキルを重視をするというより、日頃からデザインという学問に対してどうアプローチしているかを、見ていると感じた。
正直、面接は緊張した。
武蔵美の入学試験の日程と被ってたので、大学は入構禁止日でピリピリした雰囲気だったし。
前提として数千人が所属する美術大学の学長とその建築学科の主任教授
対、
私1人
で30分の英語面接というのはもう文面からして重い。
元々学長とは顔見知りの仲だったのもあり、
『おおー、転科するんだって?』から始まり
but you know, we have to start this interview with speaking English~
という一言で面接モードへ。
正直、私はめっちゃめっちゃセントマの人たちと制作したかったし、(台湾に行ってみたかったし)、面接で話すことに関してかなりシミュレーションして臨んだ。
私は面接やエントリーシートのテクニック論的な物は存在すると思っていて、この面接でも自分の振る舞いや1字1句がどう影響するのか考えながら言葉を選んだ。特に留学面接などとは違い、こういう学校の名を背負って出場するタイプのイベントは、自分がどう成長したいか、よりも自分が他の応募者よりどういった部分で貢献できるかという部分をすごく大切にして、自己分析を進めた。
(ただ今年の開催国が台湾だったため、自分が中国語を話せたり、中国にバックグラウンドをもっているということが+に響いたことは間違いないと思う)
最終的に選ばれたのは、
イギリス生活8年の工業デザイン学科の先輩と、
英語重視型試験で入学しているデザイン情報学科の先輩、
そして私、という結果に。
あとから他国の参加者から聞いた話だが、国によって選考方法は大きく違う様子。台湾は倍率30倍のエッセイ+インタビュー方式、ドイツは学長自身がお気に入りの生徒を選ぶ、という感じ。
正直、日本は英語というハードルが存在するため、応募者も他4カ国に比べれば少なく、とても受かりやすい条件だと思う。
このプログラムはもちろん渡航費の補助は出るし、宿泊費と昼食に関しては全て大学側がまかなってくれる、加えて海外での研究活動として単位もでる。(私は2月にインドネシアでの竹のプロトタイプ研究WSがあったためもらえなかったけど...)
もちろん上記の条件もすごく魅力的であることは間違いないのだが、
負荷がかかる環境こそ成長させてくれる、
と考える自分にとっては
信じられないくらい精神的にも体力的にも削がれ、
1人のデザイナーを成長させてくれたプログラムだった。
その内容は、次回ワークショップ編にて。
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