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外国人が家を借りられないのは差別だけが理由じゃない

「外国人が家を借りられないのは差別だわ!条例を作って差別してきた大家さんは罰金を課したり、訴えてやればいいのよ!」

無邪気で現実を知らない大学生時代、私はある女の子の意見に深くうなずきました。

だってそうじゃないですか。

ただ、外国人という理由で差別され家も借りられない人がいるという事実。これは社会正義のために改善すべきだ!

…なんて理想論に燃えていたんですね。

いや〜今思うと本当に視野が狭かった。
そもそも世の中そんな「可愛そうな人」ばかりではないし、大家だって「悪い人」ばかりじゃない。

実際はもっと混沌としていたのです。

しかも条例や差別禁止法を作るなんて根本的に意味がないということに社会人になってようやく気がつきました

今日は外国人の妻と暮らす、当事者側になった私がこの問題に関してお話したいと思います。

外国人=「かわいそうな人」は安易


学生時代、私は日本に暮らす外国人の手助けがしたいなんて思っていました。いくつか社会学の授業を取ってボランティア活動もしていたんですが、その頃の私の感覚はこんな感じです。

「家が借りられない問題」は酷い差別問題だ!外国人の人権を迫害している。日本人としてこれを是正しなければ正義が執行されないことになってしまう。よ~し!ボランティアして家を借りられるように交渉の手伝いをしてやるぞ~!

よくある「正義感しかない」若者だった


お恥ずかしながら、私の脳内では

不当に差別されている外国人:入居を断られても仕方がない外国人
=9:1

くらいだと思っていたのです。

しかし、私はアマちゃん学生でした。そして社会人になり、妻と結婚したことで段々と現実に気がついたのです。

どうにも「差別のせいで断られている」とは言えないケースが沢山あるのです。

いくつか私が見てきた「貸しづらいなぁ」というケースを紹介します。ご自分が大家さんだとして貸したいかどうか考えてみてください。

身寄りのない、薄給の外国人に家を貸しますか?


ある日、あなたの家に不動産仲介さんから電話がかかってきました。嬉しそうに担当者さんはあなたに告げます。

「あっ!こんにちは。実は空いている201号室を借りたいという方がいらっしゃいましてご紹介で連絡したんですよ。8万円の家賃でもいいっておっしゃってまして。えぇお若い方です。29歳で東京の旅行会社に働いていらっしゃるんですよ。それで今回さいたまのそちらの家を借りたいと!ちなみに…実は外国人の方で家族が日本にいないみたいなんですけど、貸せますか…?月収は手取り20万です」

ん、、、う~~~~~~~ん…!

ってなりません?

どうにも貸す側としては微妙な話です。
不安点なんて上げたらいくらでもあります。

  • 外国人だから、文化が違う。隣の家の人とトラブルになったら困るよ。

  • そもそもこの人長く住んでくれるのかな?国に帰らない?そしたら数年でまた空き部屋?いやだなぁ。また新しい人探すの?

  • てか、マジで家賃払ってくれるよね?保証人になる親戚がこの国にいないって大丈夫?飛んで国に帰ったら家賃回収できないじゃん。どうすんのそしたら俺!?

これだったらまだ年金暮らしの老人を住まわせた方が確実に金を回収できそうです。

つまりこのケースだと、経済的に優良顧客と言えない人だったということです。こうなったら差別ではないけど断りたくなりますよね?

ちなみに大家さんは断る理由を言う義務はありません。差別防止法を作っても明確な差別発言とかがなければ対処できません。やっぱり法律や条例ではこのパターンを解決できませんね…

一度揉めた経験があってもまだ貸せますか?

あなたは大家さん。今日もマンションの1階で管理人をしながら家賃収入を得ています。最近はインドからの外国人さんが引っ越してきました。聞いてみたら仕事はプログラマーで稼ぎもバッチリ。

「なぁんだ。だったら誰だっていいじゃない。今は多様性の時代なんだから。」


あなたは寛容な心で新しい住民を迎え入れました。

するとその夜…9時頃

「ナ~~~~トゥ!!ナトゥっ!ナトゥっ!ナトゥっナーートゥ!」

鳴り響いています。その人が窓を全開でで「RRR」のあのダンスを踊っています。あなたが上を見上げると他の日本人の住民も唖然としながらベランダに出ていました。

そして更に…「うっ!!」そうです。スパイスの香り...どうやらインドカレーを作っているようです。

リトル・インディア生活は日を追う事に悪化していきました。土日のお昼寝時もインドミュージックが流れ、数日ごとに違うインド人がその部屋に入っていきます。どうやら一部屋民泊で貸し出しているようです。

頭に来たあなたは遂に扉を叩きますが…出てきません。

仕方がないからGoogle翻訳で作った英語の手紙をポストに入れてみましたがそれでも反応なし。結局この人がいなくなるまで2年間、他の日本人の借り主がどんどん出ていってしまったのでした…

翌年あなたの元にあるブラジル人がやって来て家を貸してほしいと言ってきました。

あなたは貸しますか?どうしますか?

このケース実際に我が家のある団地でも現在進行系で発生中です。夜中「ナトゥっ!ナトゥっ!♪」されて睡眠妨害されている妻はキレています。そして帰り際にはいろんなところからインドカレーの匂いがしてきます。匂いに敏感な妻はこれにもうんざり。

私はインドカレー好きなのと、どっかの公園でも寝れる人材なので全く気にしていません。でもそんな人ばかりじゃないですよね。

これだって日本人だったら問題ないわけじゃありません。でも相対的に外国人の方が文化摩擦が起こる可能性は高いです。

摩擦が起こるリスクをあなたは取れますか?そして問題が起きてもあなたはそれで納得できますか?

結局、「金」

法律で差別を表面上禁止しても、大谷さんの不安がなくならないなら、外国人が賃貸を借りづらい状況が変わりません。理由言わずに貸さなきゃいいんです。それなら相手は訴えられません。

だから法律じゃこの状況は変えられないと当事者の1人として思います。

法律を変える、社会を変えるよりもよっぽど早い方法があるとすれば、それは「金を持つこと」です。

簡単です。金で解決すればいいんですよ。
例えば「1年分の家賃先に払いますよ」とか言えば貸してくれる人はめっちゃ増えるでしょう。金はこうやって変え難い他人の気持ちなんかもスムーズに変えることができる魔力を持ってます。

金こそ心細い移民の味方。最後のよりしろです。なんとも生々しい結論ですがね。

ところで、よく外国に出る理由の一つに「息苦しい社会に疲れたから」ってのがあるじゃないですか?でもその息苦しい社会から出ていくと、自由になる代わりに日本ならあった社会的保護もなくなるんですよね。

本当に、動物園から出て行ってサバンナを走り回るような感覚です。

生き残るためには武器がなければいけません。そしてそれはこの国では「円」と呼ばれます。
これが自由の代償です。

なので私は普通の日本人よりも蓄財に走っています。外国人の妻がいるのだから仕方ありませんが、外国生活の生々しい話をするとやっぱりエグいですね。

でも当然外国人になる代償は「社会的弱者」になることなのでそれを跳ね返す能力と財産がないと、その社会に喰われちゃうという事実は知っておかなければいけないと思います。

Youtubeの動画などでも生々しい話はされませんが、この記事が参考情報の一つになれば幸いです。

それでは。

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