2023年夏のテレビドラマで注目したいZ世代の若手女優たち(前編)

もうすぐスタートする2023年7月期の各局の連ドラには、これからの躍進が期待されるZ世代(10代~20代前半)の次世代女優が多数出演する。その中から、期待の注目株を3回に分けて取り上げる。

7月期は内容でもキャスティングにおいてもチャレンジが可能なクールと言われており、フレッシュな俳優を抜擢した実験的なドラマが多くなる傾向がある。過去の例では、深田恭子が15歳で初の連ドラヒロインとなった『神様もう少しだけ』(フジ系)は1998年7月期放送。綾瀬はるかがヒロインを演じて注目されたドラマ版『世界の中心で、愛をさけぶ』(TBS系)は2004年7月期。芳根京子が当時18歳で連ドラ初主演して、生徒役として志尊淳・森川葵・高杉真宙・赤楚衛二らが出演した『表参道高校合唱部!』(TBS系)も夏クールにオンエア(2015年)された。

2023年の夏も、現在21歳の森七菜がフジ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』で間宮祥太朗とW主演。20代前半の女優が月9で主演するのは、2018年の『海月姫』で主演した芳根京子以来、約5年半ぶりとなる。

注目のZ世代女優①畑芽育(『最高の生徒 〜余命1年のラストダンス〜』)

次世代女優では、映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』でヒロインを演じた畑芽育が『最高の生徒 〜余命1年のラストダンス〜』(日テレ系・7月15日スタート)で連ドラ初主演。

子役出身で、豊富な演技経験で培った演技力と、あどけなさを残す透明なルックスが魅力的。2020年に放送された岡田結実主演ドラマ『女子高生の無駄づかい』(テレ朝系)ではちっちゃな愛らしさから「ロリ」という愛称を付けられながら、学校では強がって反抗的になる女子高生を好演して注目を集めた。

かつて若手女優たちのオムニバス写真集『制服美少女情景図鑑』(写真・アライテツヤ、玄光社・刊)で扉ページに付けるミニストーリーを担当したときに、巻頭を飾った畑芽育の写真から「年下のいとこの女の子」をイメージしたので、新学期にいとこが転校してくる設定で「夏の帰り道」という物語を作ったことがある。

今回の初主演ドラマはZ世代をターゲットとする「Zドラマ」枠の第6弾で、畑芽育は遺伝性の病気によって余命1年を宣告された主人公の高校生・伴ひかりを演じる。生徒役で共演する、齊藤なぎさ(指原莉乃プロデュースのアイドルグループ「=LOVE」の元メンバー)、志田こはく(スーパー戦隊シリーズ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ヒロイン)、菊地姫奈(グラビでも活躍中)、みとゆな(Abema『今日、好きになりました。』出演)にも注目したい。中でも齊藤なぎさは、7月7日公開の映画『交換ウソ日記』で桜田ひよりが演じるヒロインの親友を可憐に好演している。

注目のZ世代女優②茅島みずき(『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』)

今春からリクルート「ゼクシィ」の14代目CMガールとして活躍している茅島みずきは、松岡茉優主演の『最高の教師  1年後、私は生徒に■される』(日テレ系・7月15日スタート)に生徒のひとり、西野美月役で出演する。

このドラマは、菅田将暉が主演したドラマ『3年A組ー今から皆さんは、人質ですー』(2019年・日テレ系)のスタッフチームが再集結した話題作。『3年A組~』には女優では川栄李奈・上白石萌歌・永野芽郁・堀田真由・今田美桜・大原優乃・森七菜・福原遥(出席番号順)らが出演したが、今回は芦田愛菜がメイン生徒役を演じるほか、莉子(インスタフォロワー数58万人のインフルエンサー女優)・本田仁美(AKB48)・田鍋梨々花(『Seventeen』専属モデル)・當真あみ(「カルピスウォーター」CM)・田牧そら(『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』日直)・詩羽(「水曜日のカンパネラ」ボーカリスト)・田中美久(HKT48)らが出演する。既に連ドラや映画のヒロイン級で活躍している人も少なくなかった『3年A組~』と比べると、今回はよりフレッシュなキャスティングになっている。

茅島みずきは、ドラマ放送開始直前の7月6日に19歳の誕生日を迎える。170cmの長身とクールな存在感が彼女の持ち味だ。ゼロ年代には伊東美咲・長谷川京子・米倉涼子など、スラリと背が高く洗練された雰囲気のモデル系女優が次々と登場したが、今となっては、ヒロイン級の同世代女優には茅島みずきのようなタイプは珍しく、オリジナルな個性を持つ存在となっている。

NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』に出演して注目を集め、昨年2月にはZドラマ『卒業式に、神谷詩子がいない』(日テレ系)で主演。映画『交換ウソ日記』では桜田ひより・齊藤なぎさの親友を演じている。GP帯連ドラ初ヒロインに、非常に近い位置にいるZ世代女優のひとりと言っていいだろう。

ビジュアルが与えるおとなびた印象からクールな役柄を演じることが多かったが、「ゼクシィ」のCMで見せる笑顔が印象的なように、長崎県出身ならではの素朴さの魅力を秘める女優だと思う。

注目のZ世代女優③長澤樹(『18/40~ふたりなら夢も恋も~』)

深田恭子と福原遥がW主演するドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系・7月11日スタート)には、福原遥の高校の同級生役として、出口夏希(日本コカ・コーラ「爽健美茶」CM)と長澤樹が出演する。

福原遥は今回18歳の役を演じるが実年齢は24歳(8月28日には25歳になる)、その同級生を演じる出口夏希が21歳で、長澤樹は17歳の高校3年生。つまり、長澤だけが実年齢通りで、年上の2人と並んでも違和感がないオトナっぽい雰囲気を持っていることがわかる。

田中麗奈・深川麻衣・中条あやみらの女優を擁するテンカラットに所属する長澤樹は、2022年放送のドラマ『一橋桐子の犯罪日記』(NHK)、日本生命のCMなどで活躍。2024年劇場公開予定の映画『愛のゆくえ』で主演している。

「タレントパワーランキング」のWebサイトで彼女にインタビューしたときに、「自分の中には、まだ出し切れていない部分があると思うので、それを表現できる役をやってみたい」(タレントパワーランキングWeb・2022年2月配信)と語っていたのが印象的で、聡明で知的な女の子だなと思った。

長澤樹は、小松菜奈・杉咲花・蒔田彩珠らに通じる、女優としての切れ味を持っ逸材だ。ダイヤモンドの宝石のように、キラキラとした輝きの中に、バサッと切り込む鋭利な魅力の一面を感じる。だから、すごくやさしい「いい子」の役も、内面に黒さを隠し持つミステリアスな「ワルい子」の役も、どちらも巧みに演じることができる。実は、その両方がハマる女優は、そう多くはない(演技力があるので「できちゃう」女優なら少なくないが)。ただし、取材でお会いした彼女の素顔は、とても親しみやすい、明るい女の子だった。彼女自身によると、「日本生命のCMの感じは、一番素の自分に近いかもしれない」(タレントパワーランキングWeb)とのことである。

そして、長澤樹が、これまでに長澤まさみ・深川麻衣・広瀬アリス・百田夏菜子・広瀬すずを輩出して、隠れた「主演女優頻出県」である静岡県の出身であるという点にも注目しておきたい。

中編では、當真あみ・莉子・近藤華・伊東蒼を紹介したい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?