見出し画像

『男はつらいよ12 私の寅さん』と『ルパン三世』6-12「英国の亡霊」/世文見聞録13

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第12作『男はつらいよ 私の寅さん』(前半部)

木暮林太郎:いろんな意味で予想を裏切られたなあ。

川口世文:シリーズを観続けてきた人ほどそう思うだろうね。おいちゃんがタコ社長に、寅の肩を持つような発言をしているところに帰ってくるのが、そもそも珍しい。

木暮:しかも今回は寅さんが“予防線”を張っているんだよな。「二階は貸していないよな?」とかね。きちんと学んでいるんだよ。

川口:学んでいないのはむしろ、とらやの面々だ。九州旅行の話をさくらがいい出せないのは、思わず観客として突っ込んじゃうよね。スッといえばいいのに……って。

木暮:タコ社長じゃなくて御前様の登場で全部バレる。これは絶対に旅行はキャンセルだと思うよな?

川口:ところがうまいこと寅が留守番を引き受ける展開になる。普段ロケをしない出演者の慰安旅行みたいだ。

木暮:こんな“逆パターン”になるとは思わなかった。

川口:今回のつらいは“待つ身”のつらさなんだよね。

木暮:すっかり羽を伸ばすのかと思いきや、毎晩の電話を待ちわびている寅さんが意外だった。

川口:おいちゃんの“ジョニ赤”は飲んじゃったけど。

木暮:“二分割”された画面で、おいちゃんと口喧嘩するシーンなんて珍しいんじゃないか?

川口:そうだね。最初の晩の電話料金が2800円。

木暮:それでも電話さえしておけばすむんだから気楽でいいのに、帰りたくなっちゃうのが“人情”だ。

川口:寅も寅で社長を相手に、帰ってくる家族を何を準備して待ったらいいのか“アリア”を聞かせてくれる。

木暮:「寅さんのいちばん幸せな日」だったんじゃないかな、あれは? あそこでエンドマークが出てもよかった。

川口:結局、寅はとらやを出ていかなかったんだよね。そのまま柴又にいてマドンナと出会うことになる。

木暮:あんまりビックリして“おならブー”だよ(笑)

○『ルパン三世パート6』第13話

川口:ここまで観てきて「ルパンバース」みたいなものを構想しているのかなとも思ったんだよね。

木暮:それは“ルパン三世・ユニバース”って意味か?

川口:そうそう、そういうこと。イタリアにレベッカがいて、フランスにアルベールがいて、イギリスにホームズがいて、日本にはコナンがいる──みたいな。

木暮:そこでもコナンが出てくるわけ?(笑)

川口:これで、パート4に出てきたニクスっていうMI6のエージェントが再登場してきたら絶対にそうだと確信できたんだけど、そうじゃなかった。

木暮:最後まで素人の予想は外れたってことだな。

川口:それは素直に認めよう。だけど、未だにリリーが「ルパンの娘」なのかどうかの“謎”で引っ張ったほうが面白かったとは思っている。だって、2クール目は「ルパンの母親」がテーマになるみたいだし……。

木暮:そうなのか? それが本当だとすると、その意見にうなずけないこともないなあ。

川口:本当だってば。だけど、『ルパン三世』ファミリーの“基本設定”に手をつけるのかどうかは怪しいぞ。

木暮:まあ、それはそうだろうな。

川口:一方で「ホームズ」ファミリーのほうは、ワトソンの死を皮切りに徹底的に設定が改変されてしまった。

木暮:ワトソンが実は生きていたって予想も外れたもんな。それ以外にも結構な“いじり”をやっちゃっているけど、ホームズはすでに散々語り尽されているんだから仕方がないんじゃないの?

川口:語り尽されているといったらルパン三世だって同じだよ。50周年までは「守り」でいいけど、次の50年を考えるならもっと「攻め」てほしい──それが“後半戦”の最大の注目ポイントだ。

木暮:「ルパンの母親」がその試金石というわけか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?