『男はつらいよ45 寅次郎の青春』と『ルパン三世』1-19「どっちが勝つか三代目!」/世文見聞録45
今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。
○第45作『男はつらいよ 寅次郎の青春』(前半部)
木暮林太郎:サイレント映画風の夢のシーンは何となく“集大成”の感じがあるな。「シェイキスピア」の翻訳をしている文学博士が実は講道館八段──。
川口世文:あれは黒澤明の『姿三四郎』へのオマージュだよね。
木暮:満男と泉が登場してきたのにも驚いた。しかもこの夢の話をのちに寅さんが“アリア”で語るんだよな。
川口:“くるまや”の面々には呆れられるけどね。
木暮:それにしても今回の冒頭部は穏やかだ。泉も無事に就職したし、休みには自由に満男と会える。
川口:寅は寅でうまいこと宮崎で“髪結いの亭主”をやっている。友人の結婚式に参加した泉とバッタリ出会うのもよしとしよう。
木暮:そうしないと話がはじまらないからな。どういうわけか蝶子と泉の“どっちを選ぶの?”って展開になるのも悪くない。
川口:あれは少々苦肉の策ではあるけど、ああしないと満男を呼び寄せる理由が生じないからな。
木暮:満男と泉だけでなく、寅さんと満男、寅さんと泉がそれぞれ“引き合う”関係になっているんだ。
川口:そういう意味では不思議な関係設定だ。渥美清の体調への不安をうまくカバーしている。満男シリーズになってから“南”にばっかり行っているのも、お正月映画の撮影で、少しでも暖かい土地を選んだからだろう。
木暮:その割を食ったのが永瀬正敏かもな。普通の映画だったら彼らの“三角関係”で、もうちょっと引っ張りそうなものだけど、あっさり解消しちゃう。
川口:マドンナの蝶子が上京することも当然ないし、後半になって唐突に母親が病気になって、また「泉はつらいよ」に戻ってしまう。
木暮:そのあたりも“大人の事情”だったのかな(笑)。
○『ルパン三世パート1』第19話
木暮林太郎:ついに不二子が“教訓”を学んでしまったようだな(笑)。
川口世文:2話連続で大収穫! 不二子が大人しく協力してくれると、必然的に盗みのテクニックにフォーカスするし、“ルパン十番勝負”っぽい雰囲気にもなる。
木暮:今回の相手はガリマール警部──「論理と科学」で挑戦してくる。
川口:その「論理と科学」を所詮、物量作戦にすぎないと看破したところが重要だ。
木暮:それにしてもガリマール“三世”はほとんどいいところがなかったな。倉庫から盗もうとするシーンでは“本物の”銭形がやってこなければ完全にやられてた。
川口:確かに。あのシーンはガリマールが何か仕掛けをしているんだろうと思っていた。それなのにあっさりやられてしまった。
木暮:その次は銭形が罠を仕掛けるんだけど、ここではルパンは乗らず、次元と不二子だけで出かけて捕まる。
川口:次元と不二子の気が合っているというのも珍しい展開だな。ルパンに助けられて無事脱出。ガリマールと銭形は“おあいこ”ということになる。
木暮:“おあいこ”のレベルが低すぎだよ(笑)。
川口:で、ルパンもまた“物量作戦”に挑む。この作戦はこれがオリジナルなのかな? ピアース・ブロスナンがリメイクした『トーマス・クラウン・アフェアー』がパクッていたことは間違いないんだけど。
木暮:いったい何人いたのかわからないけど鮮やかだ。あれが10000円のアルバイトだったら今でもやる。
川口:それにしてもルパンの変装ってどれくらいの速さでできるんだろう。あれだけの人数、よくやったなあ。
木暮:さりげないところで“てんとう虫型の盗聴器”が久しぶりに登場していたのもよかった。
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