『男はつらいよ37 幸福の青い鳥』と『ルパン三世』1-12「誰が最後に笑ったか」/世文見聞録38
今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。
○第37作『男はつらいよ 幸福の青い鳥』(前半部)
木暮林太郎:「青い鳥」を探す夢から醒めたあとイッセー尾形が出てきた。
川口世文:それだけじゃない。桜井センリも、前作から登場の笹野高史も、すまけいも、出川哲朗も出てくる。
木暮:ポンシュウだけでなく“キュウシュウ”まで! だいぶにぎやかになった。
川口:一方であけみは電話で寅に「おまえ誰だ?」なんていわれる。作品自体の公開が1年ぶりだったんだな。
木暮:で、おまえがいう“総力戦”が、今回は大空小百合登場ってことか? まさかあの“五千円”の話がここで復活するとは思わなかった。
川口:劇団の座長の名前が坂東鶴八郎から中村菊之丞に変わっているし、演じるのも志穂美悦子になっているけど、あのエピソードが語られる以上、同じ女性だよな?
木暮:あのあと、寅さんは駅のベンチで寝たんだなぁ。
川口:彼女と出会って別れるまでが30分。その後、寅より早く小百合が上京してきて、とらやに寅が帰っていないことで逆に話が展開するのも珍しい。
木暮:長渕剛もよく出演したもんだ。その後の人生が変わるとも知らずに。
川口:今回は恋愛と紙一重とはいえ、あくまで“親心”で接しているせいか、大空小百合は“マドンナ席”には座らないんだよな。
木暮:あけみの代わりのレギュラーでもおかしくない。
川口:確かに“小百合の婿《むこ》探し”で2、3作は引っ張ってもよかったかもしれない。
木暮:今回、寅さんが帰ってこないあいだの柴又の話がちょっと弱かったからね。「余剰人員」の話はちょっと身につまされたけど。
川口:それにしても区役所での「あなたの声をお聞かせください」のギャグには笑ったな。
○『ルパン三世パート1』第12話
木暮林太郎:前回の“イキなルパン三世”はどこに行っちゃったんだ?
川口世文:不二子が乗ったスノーモービルに無様に引っぱられるシーンのこと?
木暮:それもそうだけど、“迫撃砲”で村ごと破壊するシーンもどうかと思うよ。さらに“地雷”なんか仕掛けて……あれはどう見ても“イキ”な戦い方じゃなかった。
川口:確かに前回がパート1の傑作の一つだとしたら、今回はパート2を観ているようだった。
木暮:作品の「幅」は広がったのかもしれないけどさ。
川口:今回の舞台は日本で間違いない。たぶん北海道。
木暮:相変わらずルパンは「防寒着」を着ない(笑)。
川口:次元でさえ、スキー用の手袋はしているのにな。
木暮:いくら村長が「黄金の姉妹像」を売ろうとしているからって、素直に買おうとするのもルパンらしくない。
川口:ルパンと不二子、それにハヤテの“三つ巴”かと思わせて、そこに村長が加わる展開は面白いんだけど。うまく生かせているとは思えない。
木暮:ハヤテの組織も「姉妹像」を盗んで財政難から脱しようとしているし、「死をもって償う」とか、どうにも無粋《ぶすい》な設定なんだよな。
川口:パート2ほどドタバタに徹しているわけでもないということか。ほかにはまったくいいとこなし?
木暮:そういうおまえは何かある?
川口:今回の見どころというか“聴きどころ”は、洞窟内でルパンが不二子に魚の骨を投げつけられて「ホネ~ッ!」、酒瓶を投げつけられて「ビン~ッ!」って叫ぶところに尽きると思う。
木暮:え?──そんなところ?
川口:それこそ山田康夫が“ルパン三世“というキャラを本当につかんだ一瞬だったのかもしれないぞ。
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