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『男はつらいよ35 寅次郎恋愛塾』と『ルパン三世』1-10「ニセ札つくりを狙え!」/世文見聞録36
今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。
○第35作『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』(前半部)
木暮林太郎:前回の『宇宙大怪獣ギララ』とは打って変わって、夢のシーンは「姥捨ものがたり」。これは明らかに『楢山節考』のパロディで、おそらく寅さんは名画座かどこかでそれを観たんだろう。
川口世文:おばちゃんが重たくて背負えないオチ(笑)。
木暮:ここでもう一度、最初の30分にフォーカスして考えてみたい。あまりにちょっとずつ変化しているからわかりにくいけど、初期の頃とはだいぶ変わったよな?
川口:そうそう。30分の「まくら」+60分の「本編」、あるいは45分の「ドラマ」の二本立てみたいな構成の時期が確かにあった。前半部だけ観て区切っても、それなりに満足ができた。だから、この企画を思いついた。
木暮:その頃に比べると、いつの間にか「長編映画」の構成になっている。まあ、それが当たり前なんだけど。
川口:今回も柴又に“帰ってこない”パターンだよな?
木暮:寅さんが帰ってこなくても、柴又だけでドラマが作れるんだよ。満男も成長したし、あけみもいるし。
川口:一方“ポンシュウ”が寅の旅のパートナーとして本格的にフィーチャーされてくる。最初期の“登”と同じだな。だから、柴又と旅先の話がパラレルに描ける。
木暮:長崎で “おばあちゃん”が転んだのもポンシュウがいなければ気づかなかったかもしれないし、二人で墓掘りをさせられるギャグも“コンビ”だから成立する。
川口:マドンナの若菜も早々に登場して、彼女の印象を巡ってポンシュウと口論になる。性格的にもいい対比になっているんだよな。
木暮:ポンシュウとのケンカ別れまでで約30分。話の導入部ではあるけれど、ここで“一区切り”できない。確実に話の運び方が変わっている。
川口:70年代と80年代の違いなのかな?
木暮:“落語”から“漫才”への変化のような気もする。
○『ルパン三世パート1』第10話
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木暮林太郎:この話で大きく印象が変わるね。“ウクライナの銀狐”を目指してコワルスキー王国まで自家用機で向かうし、途中で不二子と“空中戦”にもなる。
川口世文:“『カリオストロの城』への道”って感じだ。ついでにいうとフリンチというのは『ルパンVS複製人間』にも同じ名前の人物が出てくる。
木暮:ああ──あの「ボンドカー」みたいな装備満載の車に乗っている敵の男か。
川口:そうそう。ルパンと散々殴り合うけど、死んではいないはずだ。
木暮:なるほど、これは初期の映画二作の“原点”ってことか? 残念ながら話の出来はあまりよくないなぁ。
川口:初期の脚本は“深み”があったという話もある。
木暮:そもそもルパンの“ニセ札”に対する思い入れがよくわからないんだよな。「本物よりいい」ニセ札を手に入れて、彼は満足するのか?
川口:ウクライナ男爵への“対抗心”というのもよくわからないもんな。むしろ一種の“芸術品”=コレクション対象と考えているんじゃないのか?
木暮:なるほど、それならわかる。
川口:おれがわからないのは、あの「大時計」のほう。「時計塔」と呼ばれているけど、あれはさ、どう見ても“山”だろ?
木暮:確かに──最後に“噴火”するもんな。
川口:雪が解けたら、どんな全体像を現したんだろう?
木暮:“万年雪”だったんじゃないか?
川口:ルパンがその時計の文字盤に登っていくシーンは面白いし、“カリオストロ”っぽいけど、せめて防寒着を着ていてほしかった(笑)。
木暮:不二子の服装が臨機応変も変わるだけに、ルパンのほうは実にアニメっぽいウソになっているな。
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