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『男はつらいよ32 口笛を吹く寅次郎』と『ルパン三世』1-7「狼は狼を呼ぶ」/世文見聞録33

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第32作『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』(前半部)

川口世文:個人的にこの作品から第41作までの10本はひとまとまりにできると思う。これはその1本目で久々に“快作”という感じ。“総力戦”的な印象さえある。

木暮林太郎:いきなり夢のシーンでレオナルド熊が演じる“ニセ寅さん”が出てくるしね。

川口:しかも旅先から柴又になかなか“帰ってこない”パターン。こういうひねりがあるときは大抵面白い。

木暮:逆にさくら一家が出かけていくパターンだな。

川口:その集大成といっていいね。シリーズ前半に何度か出てきた博の父親が亡くなって、早くもその三回忌。博の兄姉たちの関係性を描くのもこれが最後になる。

木暮:結構、名シーンがあった。“ハイ、笑って”とか。その寺に住み込んでしまう展開があざやかなんだよな。

川口:「柴又に帰るか」なんていっているところに竹下景子が登場。飲みすぎて和尚がダウンして、代わりに法事に出かけて、見事にこなしてしまうのが寅さんらしい。

木暮:「御主人によろしく」とマドンナにいって、出戻りだとわかる展開も毎度のことながらタイミングがいい。

川口:いざ法要がはじまると、まず満男が寅に気づく。そんなバカなと疑ったさくらはめまいを発症(笑)。「兄さん」と博に呼ばれて、つい返事をしちゃうのもいい。

木暮:「喜劇映画」であることを再認識させられた。

川口:寅が住み着くまで30分、法事のシーンが15分。一時間ドラマとして完成している。

木暮:そのあと柴又に戻ってきた博がこれまで寅の「可能性」を見つける努力を怠ってきたのを反省するんだよな。それぐらいの“居場所”を寅さんは見つけたんだ。

川口:これまでにいくつかそういう場所があったけど、そのパターンだと後半を観るのがちょっと辛い(笑)。別人のマドンナとして10作品のあいだに実に3回も登場する「竹下景子編」はどこかでまとめて語りたいなぁ。

○『ルパン三世パート1』第7話

木暮林太郎:1話間隔を開けて「五エ門」再登場。斬鉄剣の製法が「ルパン家」と関わりが深かったという設定はもっと活用されてもいい気がするな。

川口世文:今一つ混乱しているんだけどさ、斬鉄剣の製法を盗んだのはルパン一世。それを使った短剣をルパン二世から盗んだのが示刀流の総帥で、彼が書いた秘伝書をルパン三世が狙った──そういう解釈でいいのかな?

木暮:待てよ、秘伝書は総帥が書いたのか? そもそもルパン一世がどこかからそれを盗んだんじゃないのか?

川口:普通に考えればそうなんだけど、示刀流の総帥がはっきり盗んだのは黄金の短剣で、あのとき巻物全三巻を盗んでいてくれれば混乱しないんだ。

木暮:盗んだナイフから製法を解読して、総帥が秘伝書に書いたってこと? 何だか、シンプルじゃないな──やはりナイフといっしょに巻物も盗んだんだろう。

川口:だとすると、それをルパン三世が「盗み返す」というのはおかしくないか? 示刀流のものなんだから。

木暮:そこはあまり突っ込まないほうがよさそうだぞ。

川口:結局、秘伝書はルパンの手に渡る。欲をいえば、それを五エ門に渡す(あるいは返す)展開がよかった。

木暮:確かにまだ斬鉄剣に対する“執着”が薄いよな。

川口:斬鉄剣は何本も作られているみたいだから、それも致し方ない。それからあの“藤波銀子”なんだけど。

木暮:ああ、不二子が化けた黒髪のカワイコちゃんね。

川口:実は「不二子とは別に実在していた説」というのはどうだろうね?

木暮:またキャラクターを復活させようとしているな。

川口:あれは不二子とは別人で、実は“トモエ”だったんじゃないだろうか?

木暮:おいおい、まだその話しているのか? “トモエ”なんて、もう誰も憶えてないんじゃないか?(笑)

ここまでサル顔のルパンも珍しい


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