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『男はつらいよ31 旅と女と寅次郎』と『ルパン三世』1-6「雨の午後はヤバイゼ」/世文見聞録32

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第31作『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』(前半部)

木暮林太郎:“新国劇”風の夢のシーンにつづいて、タイトルバックの“矢切の渡し”の小芝居で何と細川たかしが顔を出している!

川口世文:単なるカメオ出演ではあるけど、のちに寅さんが“京はるみ”に話す身の上話に使われるんだよな。

木暮:小芝居といえば“まくら”の話が満男の運動会を巡るドタバタで、彼が“気を遣う”芝居をしているぞ。

川口:満男ももう小学六年生か。最後の運動会は何とか“伯父さん”の参加を阻止したけど翌日は雨で中止。“順延”じゃなかったのかな? それがちょっと気になった。

木暮:都はるみも演技が自然でよかった。ほぼ自分なのに“京はるみ”を演じている女優って感じだった。

川口:とはいえ、いつもとは違う「特別編」感があったな。「歌謡映画」っぽいというか。

木暮:『矢切の渡し』『佐渡おけさ』『涙の連絡船』といった曲の歌詞を、ストーリーがちゃんとなぞっている。

川口:連絡船といえば、普通は波止場がマドンナとの別れの場になるけど、今回は一緒に漁船に乗っちゃうね。

木暮:結局最後はそこが別れの場になっちゃうけどな。

川口:「一緒に帰ればよかったんだ」って後悔したのには笑った。船に降り遅れるのはよくあるパターンだけど、あの場合、おれでもうっかりやっちゃいそうだよ。

木暮:今回はおまえの好きな“置き手紙”を寅さんだけでなく京はるみも書いているぞ。

川口:またコレクションが増えた(笑)。まったく立場の違う二人が、理由もまったく違うんだけど行動パターンだけは同じで、奇跡的に出会うのをうまく描いている。

木暮:珍しく“サブタイトルどおり”の展開だったし。

川口:さくらがもらった指輪はどうなったんだろう?

木暮:寅さんが電気屋から持ってきちゃった“ウォークマン”の代金に充てたんじゃないか?(笑)

○『ルパン三世パート1』第6話

「ヤバイゼ」の「ゼ」はカタカナ

川口世文:「ルパン三世でミステリーをやる」っていうのは、実はこういうことだったんじゃないか?

木暮林太郎:確かに先が読めない展開だけど、原作の話を無理矢理くっつけた結果、こんな風になったのかも。

川口:ボスのかまいたちを筆頭に、登場人物の思惑が今一つはっきりしないことがそれに拍車をかけているな。

木暮:とばっちりを受けたのが“お子様ランチ”だ。あんなに印象的なキャラなのに早々に殺されてしまう。彼が何をやろうとしていたのかも、どうして“まんだらの辰《たつ》”にとどめを刺されたのかもよくわからない。

川口:次元が車を撃って、ルパンがダイナマイトをぶら下げたナイフを投げ込む。そんなコンビの片方に成りすませるという“驕《おご》り”に足元をすくわれたな。

木暮:“化けの皮”の下にメガネをしていたのには笑ったんだけどな。惜しいキャラクターを亡くしたよ(笑)。

川口:本来ならあのチームに五エ門がいてもおかしくなかった──そんな風にも考えたんだけど、もしそうしてしまったら今回の話の“わけのわからなさ=ミステリー(?)”の面白さが半減してしまったかもな?

木暮:そういう見方もあるか。しかし、終盤の展開は面白かった。“華麗なるルパン一味”という感じだった。

川口:「卍路《まんじろ》」を使ったトリックね。第1話よりさらに“華麗”だった気がする。

木暮:いざ“キリマンジャロの星”を手に入れてからの展開は毎度の話だったけどな。不二子に迫って“平手打ち”にされたのも今回がはじめてだったんじゃないか?

川口:不二子が和装の喪服を着ていたり、パトカーがシトロエンだったり、画的な遊びが多いけど、次元がマグナムにサイレンサーをつけていたのには驚いた。

木暮:あの“無国籍感”もわざとやっているのかな?

川口:“統一されない面白さ”というものがあるよな。

作中のテキスト:ナンバープレート


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