見出し画像

『男はつらいよ48 寅次郎紅の花』と『ルパン三世』1-22「先手必勝コンピューター作戦!」/世文見聞録48

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(前半部)

川口世文:これまでもこのシリーズは時代の世相をうっすらと反映してきたけど、「阪神・淡路大震災」という歴史的な出来事に対しても、向き合わざるを得なかった。

木暮林太郎:世相の反映といえば、時代に翻弄されつづけたタコ社長の「朝日印刷」が、前作あたりから、すごい印刷機械を導入しているんだよな。びっくりしたよ。

川口:冒頭、新聞の尋ね人広告で、さくらが寅に「みんな心配しています」と呼びかけている。封切り当時ならすぐにその意味がピンと来たんだろうが、今見ると「今さらどうして新聞広告?」と不思議に思える。

木暮:その理由が徐々に明かされてくるのがいいね。

川口:神戸からビスケットを送ってきたきり音信がない寅が被災したんじゃないかと、みんなは心配していた。

木暮:そこへ寅さんが震災ボランティアを描いたテレビ番組に登場してくる。あれはおそらく、実際のニュース映像に合成したんだろうな。

川口:そうそう──『フォレスト・ガンプ方式』。これを使えば第51作も作れる気がする。例えば、満男の娘がYoutubeの動画に映った寅の姿を追いかけたり、SNSで探してほしいと呼びかけたり、そして、最後に居場所を突き止めて電話をかける──それだけで一作できる。

木暮:最後まで寅さんは“リアル”に登場しないってこと? まあ、山田洋次監督はそんな映画は撮らないだろうけど、スペシャルドラマぐらいはできそうだ。

川口:動画に映っている寅はディープフェイクで作る。

木暮:CG予算がバカにならない気がするなあ(笑)……さて話を戻して、宮川大助が演じた神戸のパン屋がくるまやを訪れて話をしてくれる。ここまでわずか15分。そこから満男と泉の話に移行していくわけだ。

川口:最後の最後に“まくら”を語るパターンに戻ったな。しかも見事な“時事ネタ”の描き方だったと思う。

○『ルパン三世パート1』第22話

川口世文:FBIのゴードンはあのコンピュータをわざわざ運んで日本にやってきたんだよな?

木暮林太郎:当時だから、きっとIBM製だろう。「コンピュータに不可能の文字はない」なんて、まだ“魔法の箱”だと思われていた時期なんだ。

川口:「ルパンVS犯罪予測」のテーマは悪くないんだ。『マイノリティ・リポート』みたいな世界観でリメイクするのはある気がする。

木暮:前半は「禿鷹本線」の貨車から八億円を盗もうとするが、コンピュータは全部お見通し。銭形もコンピュータが予測した「方法」だけは信用しているんだよな。

川口:ルパンは特殊ペンキで信号を赤に変えようとするけど、そこまで予測していたんだろうか?

木暮:それはわからないけど、「大枠」は見事に当てた。

川口:銭形が余計なことをしなかったら、ルパンもすんなり逮捕されていたんだろう。そこから後半がはじまるパターンも見てみたい。

木暮:銭形という余計な「変数」が邪魔だったか(笑)。

川口:だけど、そのせいで後半は銭形がルパンとわかっている相手を逮捕できずに「泣く」ギャグが成立する。

木暮:それにしてもさ、ルパンがまずゴードンを誘拐して変装することまで予測していたんだから、あのエレベーターから出てきたところを捕まえればよかったんだ。

川口:“それを言っちゃおしまいだよ”(笑)。

木暮:それに“気まぐれ”で対抗しようとした割には、モーターハングライダーが三度《みたび》登場するし。

川口:ゴードンが常に大きなカバンを持っている設定にしておいたら、折り畳み式のあれをごまかせたのにな。

木暮:そういう問題なのか?

川口:あのモーターハングライダー、服を脱がずに三人乗りできるように改良しておいてほしかったな(笑)。

モーターハングライダー1
モーターハングライダー2
モーターハングライダー3
作品内テキスト:新聞記事
作品内テキスト:予告状


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?