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『男はつらいよ49 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』と『ルパン三世』1-23「黄金の大勝負!」/世文見聞録49

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』

川口世文:この作品を「第49作」と数えることに以前はかなり抵抗があったんだけど、今回その考えを改めた。

木暮林太郎:というと?

川口:つまり、これを強引に「第49作」にしたことで、「50周年・第50作」という企画が成立したんだと思う。

木暮:確かに「50周年・第49作」じゃ、区切りが悪い。CGを使った表現もここで実験されているし、そういう意味でも第50作につながっている。

川口:それになにより、“渥美清は亡くなっても寅さんは生きている”と宣言することになった。

木暮:なるほど……ああ、それって?

川口:そうそう。つまり、テレビシリーズのときと逆の現象になったわけ。

木暮:テレビのときは“寅さんは死んだけど、渥美清は生きていた”。映画はその逆になったわけか……だけど、そこまで意図していたのかな?

川口:意図していたかはともかく結果的にそうなった。

木暮:今もどこかで生きている──寅さんが定住者でなかったから、その感覚が自然と受け入れられたんだな。

川口:それと『紅の花』でも今作でも一定期間リリーと“暮らしていたこと”が描かれたのもよかった。

木暮:何となくおれは“浦島太郎”を思い出したんだ。今回はやたらと「夢」というキーワードが出てくるし、二人はある種の「竜宮城」的空間で生きていたような。

川口:『紅の花』の次にこの「特別篇」を持ってきたことで、それが“無限ループ”になったような気もするな。

木暮:もはやそれはSF映画だけど……(笑)。

川口:車寅次郎は最終的に“寅地蔵”にはなれなかったけど、“浦島次郎”にはなれたんだ。

木暮:そういう意味でも“1作”にカウントしていい。

○『ルパン三世パート1』第23話

川口世文:きちんと最終回になっている──というかこの話があることで、最終的に『ルパン三世』は延命することになったような気がする。

木暮林太郎:アメリカか中国かはわからないけど、世界に出ていったことは間違いない。そういう意味では「パート2」の最終回より“意味のある”話になっていた。

川口:それと絵コンテを吉川惣司が出がけていたことも気になった。のちに映画版第1作を脚本・監督をする人で、別名でパート1の第1話の絵コンテも書いていた。

木暮:次元や不二子の普段の暮らしや、ルパンのアジトをしっかり描いているところとか?

川口:まあ、どこまでが脚本か、絵コンテか、演出かよくわからないけど、最終回で“総まとめ”したというよりも“シーズン2の第1話”という雰囲気を感じた。

木暮:ミニとフィアットとシトロエンが全部登場しているし、ある種のデモンストレーションになっているな。

川口:不二子の役割を抑えて、五エ門を遊撃手にすることで、チームとしてパフォーマンスが上がるパターンだし、銭形もしっかり「アジト壊滅作戦」なる計画を立てる。

木暮:その作戦の“裏をかく方法”も実にルパンらしいよな。「夢の島」といわれてイメージができる人は少なくなったと思うけど(笑)、古い冷蔵庫がアジトの入り口になっている感じは、あの時代ならではのアイディアだ。

川口:それがまた意外な展開でピンチに陥って、最後は死んだと見せかけて銭形を騙そうとする。そのあたりに映画版第1作との類似性を感じたのかもしれないなぁ。

木暮:とはいえ、銭形も泣いただけでは終わらず、終わりのない追いかけっこが再開する。

川口:今回のクオリティであと2、3話つづいたら、逆に完結性が高まって、ここで終わった可能性もあるぞ。

木暮:まさにそれこそが「大勝負!」だったわけだ。

銭形の計画書
銭形の腕時計:フセイコー
地下鉄阿佐谷線
霧ヶ関駅
「環三通り」という名前が読み取れる
警視庁御用
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