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『男はつらいよ8 寅次郎恋歌』と『ルパン三世』6-7「語られざる事件」/世文見聞録8
今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。
○『男はつらいよ 寅次郎恋歌』(前半部その1)
川口世文:今回は上映時間が長めだし、BSでの放映が来週は休みみたいだから、2回に分けて語ろうと思う。
木暮林太郎:2回に分けて“前半部だけ”語るってことね。それにしても急に尺が長くなったな。
川口:丸の内ピカデリーで“先行ロードショー”をした作品らしい。名実ともに「国民映画」の道を歩み出したわけ。初代おいちゃん・森川信の最後の出演ということもあって、ここで「一区切り」と考える人もいる。
木暮:なるほど。シリーズも8作目になると、いきなり博の「ハハキトク」の電報からはじまってもいいようなものだけど、さらにもう1エピソード加えた感じだな。久々に冒頭から柴又に帰ってきて“サイレント喜劇”をやったかと思ったら、20分ぐらいで出ていっちゃった。
川口:今度こそ歓迎してやろうという家族の気持ちが完全に裏目に出る、というだけの話。ロードショー館で初めて観る観客への“導入部”の意味もあったのかもな。
木暮:それにしても、さくらが唄う「かあさんの歌」の“撃退力”はすごかったなぁ(笑)
川口:タイトル前に出てくる「坂東鶴八郎一座」の大空小百合という花形女優もこのあと何回か出演してくる。
木暮:寅さんが間違えてあげた五千円を返しにくるの?
川口:そういうわけじゃないけどさ。
木暮:あのシーンでわざわざ旅館の入り口に「一泊500円」と書いてあるのがいいね。つまり、10日分の宿泊費をあげちゃったんだろ。今でも“つらさ”がわかる。
川口:ちなみにとらやでは“氷あづき”が50円だった。
木暮:今の価値にして三万円ぐらいか? これは痛い。
川口:のちの喫茶店のシーンで、さくらが寅の財布を覗くと五百円札が一枚しか入っていない。
木暮:たぶんこのプレタイトルだけで、はじめて観た客も、どんなノリの作品かしっかり理解できたと思うよ。
○『ルパン三世パート6』第8話
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木暮:ようやく話がロンドンに戻ってきた。
川口:ずいぶん間隔が空いた気がするな。今回は五エ門と不二子が不在で、ホームズのほうは完全復活。
木暮:リリーもしっかり“リリー・ワトソン”と呼ばれているし、現在14歳らしい。とてもヒロインという年齢じゃないな。おまけにワトソンは本当に死んでいた。
川口:ルパンが殺したんじゃないこともあっさりわかるし、当然ホームズが撃ったわけでもない。
木暮:下手な予想は数撃っても当たらないな。ワトソンを撃った男はリリーも見知っている人間なのかな?
川口:だとしても、さすがにまだ登場してきてはいないだろうな。
木暮:「教授」と呼ばれる黒幕の存在が言及されるけど、あれは絶対「モリアーティ教授」だよな?
川口:それはどうかな? ひょっとするとそこが今回のいちばんの“ミステリー”かもしれないぞ。
木暮:どうせまたその予想は外れるんじゃないのか?
川口:だけど、「ルパン対ホームズ」なんだから、余計な敵対者の登場は好ましくない気がする。
木暮:“共同戦線”を張る展開が見え見えだってこと?
川口:そうそう。ルパンもホームズも立てようとすると別の“敵”を作ってそうするしかなくなっちゃう。今回の話だって、事実上そういうことになっているだろ?
木暮:確かに。それにしてもホームズ暗殺を狙ったあのバカでかい“空気銃”は凄かったな。
川口:あいつも「教授」の差し金なんだよな。
木暮:それじゃあ逆にルパンとモリアーティが意気投合して共同戦線を張るのはどうだ?……まあ、それはないか。だとすると「教授」というのは別の誰かになるな?
川口:あるいは別の“何か”──とか?
木暮:“何か”って何だよ!
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