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『男はつらいよ43 寅次郎の休日』と『ルパン三世』1-17「罠にかかったルパン」/世文見聞録43

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第43作『男はつらいよ 寅次郎の休日』(前半部)

木暮林太郎:久しぶりに夢のシーンが復活する。しかも、さくらとほぼ二人だけ。

川口世文:寅もちょこっと顔は出すけど、実質的に最初の40分は満男と泉の話になっているんだよな。

木暮:いよいよ満男も大学に入って、バイク通学したいとか下宿したいとか“独立機運”が高まっているよなあ(笑)。彼に振り回される二人の“仲間”がいいんだ。

川口:“よっちん”と、もう一人は何て名前だろう? 今ならこの三人でスピンオフドラマができそうだな。

木暮:前作は満男が泉に会いに行って、名古屋から佐賀まで足を伸ばす。今回は泉が父親に会いに来て、大分に行くことになる。満男が思わず新幹線に飛び乗るシーンがシリーズの変化を象徴しているな。

川口:やっぱり満男は博とさくらの子供だな。一方で寺尾聰演じる泉の父親は、どうして夏木マリと結婚したんだろう? 浮気相手の宮崎美子のほうがしっくりくる。

木暮:まあ、若気の至りだったんだろう。夏木マリは前作につづいての登場だけど、最初から次はマドンナをやらせるつもりだったのかな?

川口:その可能性は五分五分だったような気がする。四人が再会して、つかの間“疑似家族”を作るシーンは構想していたのかもしれないけど……。

木暮:寅さんがさくらと博に聞かせる「満男の結婚妄想アリア」も、実際の作品としてそうできたらいいと考えていたのかもしれないな。

川口:“幻の50作目”でね。満男と泉が結婚して子供が産まれるまでを描いたら、完全に第1作の再現になった。

木暮:寅さん、満男の子供の初節句から七五三まで妄想していたもんな。それを映像化してほしかった。

川口:きっとあの晩の夢のなかで、成長した満男の子供にまで“恋愛指南”をしていたのかもしれないな。

○『ルパン三世パート1』第17話

川口世文:不二子からクラブ「アトランティス」に誘われて罠にかかるルパンと次元。その背後にいる星影銀子の“銀子”のイメージだったんだよな。

木暮林太郎:え?──何の話?

川口:「パート6」の後半に出てきた“トモエ”の話だ。あれが“銀子”だったら、もっと興味が湧いたはずだ。

木暮:わかったわかった。もう「パート6」は忘れよう。

川口:でも、第7話では不二子が藤波銀子を名乗るし、“銀子”という名前には何か意味があったはずなんだ。

木暮:はいはい、よくわかったから。それにしてもさ、今回のルパンと次元は“二晩”徹夜しているんだよな?

川口:まあ、24時間という時間が区切られているのも珍しい話だな。それにしてもいきなり30億円の身代金の要求とは、銀子は実はルパンの計画を事前に知っていたんじゃないか?

木暮:だとしたら計画が決まるまで待つべきだったな。

川口:それに30億円分の紙幣って、そもそもあんなに大量なのかな?

木暮:おれに聞くな。そんなの見たこともない。

川口:ひょっとして全部「五千円札」なのかとも思ったんだけど、最後に出てくるのは確かに「壱万円札」だ。

木暮:アドバルーンがどの程度の重量に耐えられるかとか、穴が開いてからどれくらい浮いていられるとか、厳密に調べたわけじゃないだろ? むしろここはマンションでのドタバタなんかを楽しむべきなんだ。

川口:確かにね。ラストの三十億円の札束の隠し方も初めて観たときはかなり驚いたし──。

木暮:アニメ的ウソとしては強引だけどインパクトあり。

川口:それだけに星影銀子はもっと優雅に退場してほしかった。そうすれば「パート6」に相応しかったのに。

木暮:まだこだわってるよ、この男……(笑)。

けっこう面倒臭そうな作画


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