『男はつらいよ21 寅次郎わが道をゆく』と『ルパン三世』6-21「うたかたの島へようこそ」/世文見聞録22
今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。
○第21作『男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく』(前半部)
川口世文:夢のシーンで宇宙人が化けた寅さんが着ていたキンキラの銀色のスーツはあれからどうなったんだろう? ダボシャツまでラメになっていてすごかった!
木暮林太郎:今回のサブタイトルも決意表明的だよな?
川口:武田鉄矢演じる“留吉”は前回の“ワットくん”とは好対照だけど、「恋愛青年」という括りではいっしょだ。ただ柴又にいないから話の“まくら”が復活する。
木暮:病気で寝込んだおいちゃんにお見舞い1000円を渡すまではよかったんだけど、そのあととらやの将来を語り出してからおかしくなる。
川口:“負のアリア”っていうのもあるんだな? 寅さんの妄想というか暴走というか。一方でマドンナの「レビュー」を見たあとで、おばちゃんにだけ聞かせるアリアはもっと明るい……おばちゃんには相手にされないけど。
木暮:しかし、あれはリリーが聞いたら怒っただろうな?
川口:まあ、この時点ではリリーの三度目の登場は想定していなかったんだから仕方がない。
木暮:結局フラれるしね。さくらの同級生だからなあ──そもそもリリーほどには年齢的にも釣り合わないんだ。
川口:話を戻すと、九州の“田の原温泉”の阿弥陀杉で留吉と出会って、前作同様恋愛の……というより今回は人生の“先輩風”を吹かせておきながら、宿代がなくなってさくらに無心をすることになる。
木暮:例によってその直前のシーンで、銭湯に行く博に「旅がしたいなあ」と“前フリ”させているのがいい。
川口:寅が書いた「反省」の色紙──あれもその後どうなったんだろう? 記念館で見たような気もするけど。
木暮:それにしても、いくら寅さんが生まれ変わったように働きはじめたとはいえ、わずか数日のことだろ? すっかり評判が良くなって縁談話まで来るというのは「柴又全体が学んでいない」としかいいようがない(笑)。
○『ルパン三世パート6』第22話
川口世文:クライマックスの前の“箸休め”みたいな話だったな。このタイミングでこういう話?──というのは正直ある。
木暮林太郎:せっかく“札束をいっぱいに積んだフィアット”が出てきたのに、いきなり交通事故だしな。島に足止めを食う展開は悪くないんだけど。
川口:ルパンも首にコルセットをハメて、大人しく寝ているしね……とにかく今回のシリーズはルパンがあまり動かない話が多すぎる。
木暮:その代わりにムルーって絵描き(?)の女の子の視点と妄想で話が展開するんだけど、そういうパターンはこれまでにあったのかな?
川口:「パート2」あたりでやっていたかもしれないな。
木暮:それにしても次元をミュージシャン、五エ門を苦学生と勘違いするのはなかなかの“天然”ぶりだった。
川口:真っ白なスーツを着た次元っていうのはちょっと新鮮なイメージだったけど。
木暮:一方で不二子のキャラデザインが気に食わない。
川口:おまえはそればっかりだな(笑)。じゃあ、ムルーはよかったっていうのか?
木暮:あっちは問題外……というか評価の対象外。
川口:よっぽどヒマだったのか、仕事がうまくいったからか、今回の不二子は“サービス満点”なんだけどな。
木暮:前回につづいて妙に女性に優しい不二子……いったい彼女に何があったのか?
川口:ひょっとして「性の多様性」への理解が深まったとか? まさかいきなり何らかの“カミングアウト”があるんじゃないだろうな?
木暮:それより不二子も“トモエの教え子”だったという伏線じゃないのか?
川口:え?──この期《ご》に及んで、そんな伏線?
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