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『男はつらいよ9 柴又慕情』と『ルパン三世』6-9「漆黒のダイヤモンド」/世文見聞録10

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○『男はつらいよ 柴又慕情』(前半部)

川口世文:ついにここでスタイル完成!って気がする。

木暮林太郎:いささかロケセットがチープだけど、本格的な夢のシーンがある。寅さんは寅さんとして登場。

川口:あのくわえ楊枝は“木枯し紋次郎”っぽいな。

木暮:それから江戸川の土手のサイレント喜劇がある。なぜかタコ社長がゴルフの練習をやっている。だけど、その直後とらやの店先の「貸間あり」の札を見た寅さんが速攻で出ていってしまう展開にはびっくりした。

川口:はじまって15分──“タッチ&ゴー”だったな。

木暮:自分で部屋を探しに行って、とらやに案内されて帰ってくるオチだけどね。

川口:不動産屋を三軒も回って、途中で“寅のアリア”が聞ける。もっとも不動産屋は聞き流しているけど。

木暮:案内しただけで六千円もふんだくろうとするあの不動産屋はどうかしているよ。

川口:まあ、その後のケンカの火種が必要だからね。

木暮:とはいえ家賃の1ヶ月分だぞ。さくらたちが家を建てる足しにしようというのに、あんまりな散財だ。

川口:そういえば20坪の土地は社長の土地なんだな。

木暮:家を建てるのなんか「10年早い」という寅さんも寅さんだよ。珍しく博が怒る──というか泣く。

川口:寅さんがいたたまれなくなって去るパターン。一度目は怒って出ていったから、今度は違うパターンにしてある。芸が細かい。その後、おいちゃんが社長を泣かせて、結局全員泣く(笑)。出来のいいコントみたい。

木暮:社長……いい人なのに。そういえばおいちゃんが二代目に変わったな。

川口:ちなみに満男もこの作品だけ二代目がやっていて、次からまた初代に戻る。結構いい顔立ちをしていた。

木暮:あの子が満男をつづけていたら、のちのシリーズ展開もかなり変わっていたかもしれない。

○『ルパン三世パート6』第10話

川口:2クール目の「予告編」が公開されてかなり意表を衝かれたけど、その話はいずれすることにしよう。

木暮:それ、スルーしちゃうの?

川口:どうせ年が明ければわかることだから。

木暮:今回の湊かなえの脚本には期待が大きかったな。「ルパン×イヤミス」がどんな風になるのか。

川口:さすがに「イヤミス」ではなかったけど、女性が“騙し合う”話だと考えれば、それなりにエグかった。

木暮:一応、不二子をフィーチャーした回になるのか? 前半の地下オークションには参加するものの、ルパンはロンドンを離れられず、ドローンの“立体映像”で登場するというのはどうなんだ?

川口:実写だったらそういう大人の事情もありそうだけど。海賊王ジークの愛人になった姉かその妹、どちらかが不二子のロールモデルとして象徴的に描かれるんじゃないかと期待したけど、そこまでは語られなかったな。

木暮:それは期待しすぎだろう、たった30分の話だぞ。おれは「漆黒のダイヤモンドは石炭だった」というオチを期待したけど、それも全然違っていた。

川口:ブラジルで幻の「さくらの花」が咲くというオチかもしれないと思ったけど、それも違う花だった。

木暮:トレジャーハンター・チェリーだからね。まあ、素人の推理はことごとく外れたわけだ(笑)

川口: “ルパンパウダー”ってどんな匂いなんだろう?

木暮:おれは絶対嗅ぎたくないね。

川口:そして、来週はいよいよロンドンで最終決着かと思いきや、まさかの押井守脚本二回目の登場!

木暮:ますますわからなくなってきたな。いったいホームズの話はどこに行ってしまったのか? 1クール目では語られないのか?

川口:そこが最大の“ミステリー”なのかもしれない。


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