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『男はつらいよ16 葛飾立志篇』と『ルパン三世』6-16「サムライ・コレクション」/世文見聞録17

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第16作『男はつらいよ 葛飾立志篇』(前半部)

木暮林太郎:前回の一気呵成《いっきかせい》のペースとはずいぶん違うな。桜田淳子がいきなり登場して、寅さんが自分の父親じゃないかという。第14作の赤ん坊疑惑から一気に高校生になってしまうところが面白い。

川口世文:毎年贈っていた「学資」が“500円”だとわかって、やっぱり寅かもしれないというのがいいね。逆に「兄はお金持ちだから」とさくらがいって、彼女に餞別《せんべつ》を受け取らせるのもうまかった。

木暮:誤解はすぐに解けちゃうし、桜田淳子はスケジュールが忙しかったのか、出番はほぼそれだけだし、「お雪さん」という母親ももう亡くなっている。

川口:そうだね、16年前の出会いを振り返る“静かなアリア”が聞けるけど、これまでみたいには展開しない。

木暮:かといって30分にも満たないで“まくら”が終わりかと思うとそうじゃない。「お雪さん」の墓参りにいって住職に会って、突然、寅さんが「学問」を志す(笑)。

川口:のちに手紙を書いてくる桜田淳子が勉強しているシーンと間接的にリンクしているんだね。関係ないけど、大滝秀治演じる住職といっしょのシーンの寅はやけに真剣で、翌年の「金田一耕助」映画の先取りみたいだった。

木暮:それはさすがに考えすぎだろ。

川口:で、結局二度目の帰還になるわけだけど、今回は寅もとらやもちょっと“成長”している。

木暮:例えば?

川口:まず寅が喫茶店からさくらに電話をかけて、スムーズに帰れるように雰囲気を作っておけと話す。そのあとすぐにマドンナと知り合ってその必要はなくなるけど、おばちゃんも今回は彼女が下宿人であることをすんなり説明するし、寅も部屋代を受け取ることに文句をいわない。みんな、少し賢くなっている。「学」がある(笑)。

木暮:果たしてその「学」は次まで残っているのかな?

○『ルパン三世パート6』第17話

川口:次元も次元だけど、五エ門というキャラクターも変わらないな。

木暮:でも、ウォーキングを学んで“体幹”が鍛えられたといってたじゃないか?

川口:あれだけ延々と歩いていれば確かにそうだろう。

木暮:五エ門の修行も五十年を遥かに超えるのか(笑)。

川口:彼がファッションモデルになるというのはありそうでなかったアイディアで「出オチ」としてはおもしろいけど、完全に“赤ジャケット”ルパンの世界観の気がする。「パート5」のときみたいに、過去の“色”もありにしてくれれば違和感が少なかったんだけど。

木暮:“緑ジャケット”っぽくないってこと?

川口:ギャビーというデザイナーの服を盗む方法は逆にファーストシリーズっぽい乱暴さだったけどな。後半に共通するカラーというか、仕掛けが見えてこないなぁ。

木暮:おれは“車”が気になったけどな。

川口:ひょっとしてロータス・ヨーロッパ?

木暮:そうそう。今回のシリーズは何気にスーパーカーがよく出てくる。出てくるんだけど、残念ながらあまり印象に残らない。あれがもったいない。

川口:誰かこだわっている人がいるんだな。

木暮:もうちょっと別のこだわりもほしい気がするが。

川口:来週はまた二本立てになる。北京オリンピックの関係かもしれない。しかも、二本目は「前編」らしい。

木暮:再来週は放送が無いってこと? まあ、オリンピックなら仕方がない。むしろきちんと二本立てで進めてくれるのはありがたい。

川口:たぶんもう全話出来上がっているんだろうね。

木暮:そういうことなのか? 次の「前・後編」の話にはちょっとは期待できるかな?

川口:どうもここ数回“期待の先送り”が多いな(笑)。


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