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『男はつらいよ40 寅次郎サラダ記念日』と『ルパン三世』1-14「エメラルドの秘密」/世文見聞録40

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第40作『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』(前半部)

川口世文:「とらや」の屋号が「くるまや」に変わり、“三平”が初登場した代わりに“あけみ”がいなくなった。

木暮林太郎:夢のシーンもなくなって、例によって冒頭では寅さんが帰ってこないパターンだし、柴又の家族との接点が相変わらず少ないな。前作よりはましだけど。

川口:タコ社長が“地上げ反対”の看板を掲げている。

木暮:そのくせ“バブル感”はあまり感じさせないね。

川口:またしてもあのおばあちゃんの“死”が話の起点になるのかなと思わせておいて、今回はそうならなかったのが意外だったな。女医さんを出すことで、テーマを掘り下げていくんだよな。

木暮:おれたちが指摘することなんて、30年前からお見通しだぞっていわれた感じだ(笑)。

川口:女医の寄宿先の家から寅が去るのが開始30分。「とらや」改め「くるまや」の話を出さなかったから、女医との接点はなくなってしまったのかと思いきや……。

木暮:姪っ子が通っている“早稲田大学”を手掛かりに乗り込んでいく!──これまた自然かつ意外な展開。

川口:第20作の“ワットくん”の話が出てきたり、10作ごとに若いカップルを登場させるルールも厳守。

木暮:何たって『サラダ記念日』が原作(?)だから。一方できちんとマドンナ席に座ってくれるし、王道感もしっかり出ている。

川口:亡くなった夫に寅がちょっと似ているとか、おばあちゃんや姪っ子がキューピッド的に機能することで、前作に引き続き、二人の距離が接近する流れがスムーズなんだよな。

木暮:だからこそ“もったいない感”が強い。

川口:この時期はもう、いつシリーズが終わってもいいように考えていたのかもしれない。

木暮:“満男シフト”も着々と進んでいる感じだしなぁ。

○『ルパン三世パート1』第14話

予告から変更になった

川口世文:予告では「猫目石はどこへ」というタイトルだったんだけど、ネタバレだから変更したんだろうね。あまりに堂々としすぎて、誰も気づかなかったかもしれないけど。

木暮林太郎:不二子の髪が突然ショートになって、しかもマーガレットなんて外国名の侍女に化けている。

川口:シリーズの“軌道修正”が完了したんだな。

木暮:それはまあいいとして、いよいよどこの国の話かわからなくなってきた(笑)。

川口:結婚式に“金屏風《びょうぶ》”だし、乗船名簿もよく見ると日本人の名前が多いんだ。どうやらモンキー・パンチも乗船していたらしいぞ。

木暮:まさに無国籍って感じだな。

川口:キャサリンの声を“増山江威子”が演じているので「新旧不二子対決」感もあるしな。

木暮:あの“ハリウッドの女王”は、不二子クラスの曲者《くせもの》だったな。しかし、もしそうじゃなかったとして、不二子とルパンそれぞれの盗み方のスマートさを比較したら、断然不二子だ。あれは絶対ケーキが疑われるだろ?

川口:銭形は一度ケーキを調べているから疑わなかったんだろうけど、確かにルパンの手口はリスキーだった。

木暮:そういう意味で不二子がルパンとあっさり手を組んだのは自然な流れのようでいて不自然な気もする。

川口:珍しく二人で仲良く去っていくし──。

木暮:“ナイルの眸”は一個しかないから、当然あのあとで仲間割れしたんだろうな。

川口:そこまで軌道修正したとは思えないもんな。

木暮:それにしても銭形の“西洋踊り”はすごかった。

川口:次元と五エ門の出番がほとんどなかった分、銭形が画面をさらっていった印象が強いね。

新旧不二子対決?
作品内テキスト:乗船名簿


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