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『男はつらいよ6 純情篇』と『ルパン三世』6-5「帝都は泥棒の夢を見る 前篇」/世文見聞録6

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○『男はつらいよ 純情篇』(前半部)

木暮林太郎:今回も区切りがわからなかったよ(笑)

川口世文:寅さんが冒頭で柴又に帰ってこないから、ケンカをしてとらやを飛び出すパターンにならなかった。

木暮:おまけに「マドンナが下宿」のパターンだしね。タイミング良くさくらが来て、完全に居ついてしまう。

川口:タイトルバックの江戸川の空撮もすごかったな。

木暮:どこまで話そうか? 中盤の「博の独立騒動」まで観ちゃったけど、正直、最初の30分でお腹一杯だ。

川口:それでいいよ。森繫久彌と宮本信子の親子が出てきて豪華だったもんな。

木暮:あの親子を描いた別の映画があって、そこに寅さんが闖入《ちんにゅう》してくるコントみたいだった。

川口:望郷の念に駆られた寅さんが妙なテンションになっちゃって、最後森繫に「かわいそうに」といわれる。

木暮:頭がおかしくなって「かわいそうに」という意味ね。あのあと親子はどうしただろう? DV夫の元に帰れという父親の考え方は、今なら完全にアウトだよな。

川口:確かにそっちの結論がうやむやになってしまったな。娘を抱えて帰ってくる宮本信子は「負のさくら」ともいうべきキャラクターで、寅さんでなくても、さくらに会いたくなってくる。

木暮:でも、「正のさくら」のほうはいろいろありつつ幸せなわけで、おれはあの親子の話の決着が観たかった。つづきが別の映画になっていたりしないかな……。

川口:白黒テレビで柴又のドキュメンタリーを放送していて、それを遠く離れた場所で観るシーンもよかった。

木暮:赤電話で十円玉が無くなっちゃうとかね。人と人が常時繋がっていない時代の感じだな。ああいう感覚が描かれているのも貴重かもしれない。さすが「望郷篇」だ──そもそも「望郷」って言葉が現代には通じない。

川口:あのさ、今回は「純情篇」なんだけど。

○『ルパン三世パート6』第6話

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川口:「前後編」だから何ともいえないけど、“緑ジャケット”がピッタリの話ではある。話のノリやテンポがテレビスペシャルっぽいから、赤もありかもしれないが。

木暮:明智小五郎が出てくるのはともかく、帝都東京が舞台とはね。“何でもあり感”が極まってきたな。

川口:まあ、モンゴル帝国の大時計の秘密が絡んでくるんだろうけどね。

木暮:ホームズ篇もそうすればよかったんじゃないか? 現代じゃなくて『ルパン対ホームズ』の時代設定で。

川口:銭形警部が浪越警部ではなくてガニマール警部になるとか?

木暮:大時計の力で、前半はホームズ、後半は明智小五郎がいた時空に遡る──そういう全体構成でよかった。

川口:確かにそうだけど、それはちょっと出来すぎだ。逆に“何でもあり感”が削がれてしまう。おれはむしろ大時計の力なんか設定しないで、ルパンが平然と「黄金仮面」をやっているほうが面白い気がしたな。

木暮:何の説明もなしってことか?

川口:そう。説明なしに銭形は浪越で不二子は黒蜥蜴。

木暮:五エ門は五エ門……出てこないかと思った(笑)

川口:五エ門は「サラントヤ」に転生したかと思った。最後に出てきてホッとした……五エ門は五エ門で(笑)

木暮:さすがにそれはないだろう。次元は「少佐」っていう役名になっているけど、もう一捻りありそうだな。

川口:「草薙《くさなぎ》少佐」だったりして。

木暮:せっかくなら、かなり緊迫した感じで、ルパンと次元と五エ門の三つ巴戦が見たい。

川口:確かに三人の関係性を見直す展開もありだけど、今回は明智小五郎との対決にフォーカスしてほしいな。

木暮:帝国陸軍も絡んできて登場人物が多いんだよな。

川口:「後編」でうまく着地してくれることに期待!



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