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『男はつらいよ27 浪花の恋の寅次郎』と『ルパン三世』1-2「魔術師と呼ばれた男」/世文見聞録28

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第27作『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』(前半部)

木暮林太郎:夢のシーンの“浦島寅次郎”に対して“乙姫”役で早くも松坂慶子が出てくる!

川口世文:それを含めて彼女は瀬戸内海、大阪、東京、対馬と合計5回も登場する。まさに破格の扱いだった。

木暮:そんな夢を見たというバカ話が、経営状態が深刻な社長の“行方不明パート2”のきっかけにもなるし。

川口:源公と提灯《ちょうちん》を持って江戸川に探しに行って「東京湾で落ち合おう!」っていうのがいい。

木暮:珍しく夢が現実に関わってくるパターンだよね。だから、あえて松坂慶子を出したのかな?

川口:“全盛期”の彼女をとことん画面に出したかったのかもしれないな。面白いことにリリーが2回目に登場した第15作の2作あとに太地喜和子演じる芸者ぼたんが出てきて、今回はリリーの3回目の登場の2作あとだ。

木暮:「ぼたん」の回からちょうど10作目でまた芸者がマドンナになったわけだな? 相変わらず寅さんと芸者は相性がいいな。

川口:しかし、今回もリベンジとはならなかった(笑)。

木暮:あっけなく結婚した相手が“寿司屋”というのはリリーの1回目を踏襲したのかな? あっさり離婚する可能性もあることを示唆していたとか?

川口:それはどうだろう? もしそうするなら芦屋雁之助《あしやがんのすけ》を夫役にしたんじゃないか?

木暮:彼は彼で「新世界ホテル」のおっさん役が最高だった。ああいうポジションの役柄が、柴又にいたらよかったのにと思ったよ。満男役も変わったことだし、準レギュラーで時々顔を出してほしかった。

川口:ちなみに大阪で出てくる「石切参道商店街」は数年前にBSドラマでやった『贋作男はつらいよ』の舞台になるんだけど、それよりも、芦屋雁之助を主役にしたスピンオフ『浪花の男もつらいよ』が観てみたかった。

○『ルパン三世パート1』第2話

ブルーバックのサブタイトルだったとは憶えていなかった

木暮林太郎:ファーストルパンは登場人物が少ないほど話が凝縮されて面白いのかもしれない。

川口世文:今回は四人……実質、次元を抜いた三角関係の話といってもいいよな。

木暮:原作がそうだからかもしれないけど、パイカルの登場がこれだけというのはもったいない。不二子を巡る真の“恋敵”の最有力候補だったのに……。

川口:のちにOVAで再登場するけど、その件は忘れよう(笑)。“恋敵”という意味では、数話あとに出てくる五エ門は、実は“恋”はからっきしダメだったからね。

木暮:かといって五エ門の代わりにパイカルがレギュラーだったら、ここまで人気になったかどうかわからん。女性の扱いからして、長くは保たないキャラだったよ。

川口:それに毎回何らかの新しい“魔術”を考える必要があって次第に尻つぼみになってしまったかもね。五エ門はやはり“斬鉄剣”とセットだからキャラ的に強い。

木暮:彼の“魔術”もすごいんだけどな。でも、どんなに固い皮膜を作ったからといって、撃たれたショックで十分傷つくと思うんだ、重機関銃まで持ち出されたら。

川口:実際、ルパンはそれで一回やられるしね。それとルパンはきっと“服”も液体を塗っていたんだな。あとおそらく“目”にも。

木暮:確かにパイカルの服はボロボロになる(笑)。彼が乗っていた紫色の車はカッコよくてよかったな。

川口:メッサーシュミットっていう実在の車らしい。

木暮:車と銃に関するこだわりが半端ないんだよな。

川口:おれは何より不二子の“謎の歌”がよかった。あの音源はきちんと残っているのかな? シングルカットしてもらってもいいぐらいだ。

木暮:あのルパンとパイカルを手玉に取ったんだから、不二子は本当に“大人”だった。

今週のワンショット:作中のテキストその2


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