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米国債の見方②(長期金利編)

前回、米国債の見方①(短期金利編)では、簡単な米債市場の振り替えを交えて、足元の米短期金利についてはロジックを持って判断することは難しいとの内容を書かせて頂きました。

では、米国の長期金利についても同様に考えているかと言うと答えは「ノー」です。実は筆者は、米10年金利の上限は2.75%程度と考えていたので、足元の3.0%程度の水準はすでにオーバーシュート気味であると考えています。

米10年金利の上限を2.75%程度と考える理由は、(名目)中立金利が2.50%程度と予想されているからです。中立金利とは、インフレを加速も減速もさせない金利水準のことであり、債券市場参加者の間では、米30年金利の上限として意識されていました。

*少し古い記事ですが、下記、日経新聞の記事に詳しい解説がありますので、是非ご覧下さい。
(日経新聞) 米長期金利「上限」突破の衝撃 消えた景気後退の警告灯
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB068NC0W2A500C2000000/

私は、中立金利越えの金利水準は、米景気減速(又は後退)を招き、持続不可能であると考えているため、今でも米10年金利の上限は2.75%程度と考えています。米10年金利は、6月中旬に公表された5月分・米消費者物価指数が市場予想を超えて加速したことなどを受け、一時3.50%程度まで上昇しましたが、株式市場が大きく崩れたことから、その水準を維持出来ませんでした。

一方で、米10年金利がさらに上昇すると考える市場参加者も沢山います。彼らは、何に着目しているかと言うと「QT(量的引き締め)」による需給の悪化(≒タームプレミアムの上昇)です。記事が長くなってきましたので、QTの議論に関しては、別記事にてご説明させて頂きたいと思います。

この記事をまとめると、「米10年金利のイメージ感は、2.50-2.75%であり、足元の3.0%程度の水準はすでにオーバーシュート気味」が、私の相場観です。

以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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