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店舗移転もコロナ禍の営業も、 ドロップカスタムも。不安を乗り越えて前に進む/ 吉祥寺店 山口

私たちトーキョーバイクは、街を楽しむための自転車をつくっている会社です。(詳しくは自己紹介をごらんください)
この連載「トーキョーバイクのひと」では、私たちの自転車が皆様のお手元に届くまで関わっている全スタッフを一人ずつご紹介します。

第16回目は吉祥寺店セールススタッフの山口さん。ずっと飲食店で働いてきた山口さんがトーキョーバイクで仕事を続ける理由から、怖かった自転車のカスタムが生活になじむまでを語ってくれました。

山口 葉月(やまぐち はづき)
九州から上京後、飲食店中心の勤務を経て、トーキョーバイクにセールススタッフ兼バリスタとして入社。高円寺店にて自転車の販売をする傍ら、カフェドリンクメニューも考案する。2020年春、高円寺店の吉祥寺移転に伴い異動、セールススタッフとして働く。

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自分の居場所が無くなるかもしれないと思った店舗移転

ーー入社のきっかけを教えてください

元々ずっと飲食店で勤めていました。将来地元の九州に帰ってカフェをやるために、色々な形のお店を経験したいと思って当時カフェも併設していた高円寺店のアルバイトに応募しました。

まさか誰も私が自転車屋さんで働くことになるなんて思っていなかったと思います・・・自分でも不思議ですが、楽しいし意外としっくりきています。

ここでの接客は好きです。お客さまと話が盛り上がった時や、お客さまが試乗車に乗った瞬間めちゃくちゃいい顔になった時はよしっ!となります。

トーキョーバイクは色々な分野の方とつながっていける会社で、自分自身が飲食店で働いていなくても、そういう人たちともつながっていける。それが面白いなと思って。自転車屋さんだけど、自転車屋さんじゃない感じが結構はまってきて、今に至るという感じですね。

ーー以前配属されていた高円寺店にはカフェがあって、バリスタとしても活躍してくれましたよね。移転後の吉祥寺店にはカフェがなく、そういう場がなくなってしまいましたが・・・。

最初に高円寺店が移転するという話を聞いた時には、カフェが無くなれば私の居場所も無くなると思っていました。でも移転が終わり吉祥寺店のオープンとほぼ同時にコロナ禍での営業体制となり、店舗運営も慌ただしくなりました。そういう中で基本的にはメカニックと2人で吉祥寺店を営業する毎日になり、必然的に頼りにされるようになったんです。それがよかったのかもしれない、と今は思います。

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ーー2人体制で、オペレーションにも毎日のように見直しがかかったコロナ禍の営業は大変でしたよね

そうですね・・・楽しかった部分もありますけどね。メカニックは裏で自転車の修理など作業をしている時間が長いので、一人で接客をやりつつ電話対応をして、たまにしゃべり疲れることはありましたね。

ちょうど自転車の引き合いも多くなってきたので、忙しかったです。忙しいこと自体は楽しめていたんですが、その状況に慣れてきた時に接客をただこなしているだけになっていないかが不安になりました。

その頃は完全予約制で営業していたので、1時間の枠内で接客をおさめなきゃいけなかったんです。予約制だとふらっと立ち寄ったというより、自転車を真剣に検討されているお客さまがご来店されることが多いので、すぐに自転車のモデルの話から始めがちでした。もちろん雑な接客をしているわけじゃないですが、ブランドとして大切にしていることや、どんな性格の自転車なのかを丁寧に話せていないのではと思ったりしましたね。

時々本社からヘルプに入ってくれるスタッフの丁寧な接客を見て、感じることも多かったです。今は人員体制にも少しゆとりがでてきて、接客を1時間以内におさめなくても他のスタッフが対応してくれるので余裕がでてきました。

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怖さを乗り越えて、愛車を憧れのドロップハンドルカスタムに

ーー吉祥寺店オープン後、他に変化はありましたか?

吉祥寺に通勤するようになって、自分の自転車のカスタムを変えました。元々はすごくシンプルで、ハンドル周りに何もない形だったんです。でもせっかく自転車屋さんで働いているんだから、いる間に色々なカスタムをしてみようと思ったんです。本当はドロップハンドルへの憧れがずっとあったんですが、なかなか勇気が出なくて。

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ーーカスタムをするのに、勇気が必要だったんですね。それはどうしてですか?

ドロップハンドルにすると姿勢がかなり前傾になるんです。そこまでは慣れていないし、怖かった。でも通勤距離が伸びた時に、この機会にちょっとやってみたいなと思って店長の磯部さんに相談したんです。そしたら毎週のように「いつドロップにするんですか?」と聞いてくるんですよ。彼は人の自転車のカスタムを考えるのがとても好きなんです。

言われ続けたことで、背中を押されました。

ドロップハンドルにはしたいけど怖いと伝えたら、私みたいな女性でも乗りやすい前傾になりすぎずないカスタムを色々考えて提案してくれたんです。それで教えてもらいながら、自分で変えました。

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これは通勤仕様ですね。スイスイ走れて、楽しいです。ただ買い物には全然向いていないので、もう一台欲しいなと思ってきています。だから最近はTOKYOBIKE LITEをレトロなカスタムにして、実用的に使いたいと考え中です。そしたらまた磯部さんに「それで、いつ買うんですか?」と言われ続けています・・・。

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メカニックではないからこそ、できる伝え方がある

ーー今後やりたいことはありますか?

今までの職場でも他のスタッフに教える立場になることがあって、そういう時に「すごくわかりやすいです」と言ってもらえるのが嬉しかったので、その辺かなと思います。

トーキョーバイクは自転車には詳しくない状態で入社するスタッフも多いので、その気持ちもわかるしどういう風に教えたらいいかもなんとなくわかる気がする。

メカニック陣は逆に自転車についてとても詳しいので、聞いたらとても丁寧に細部まで教えてくれるんです。それこそ1きいたら10は返ってくるので、安心感がすごくある。ただ初心者には、最初はざっくりと全体像をつかめるように伝えた方がいいのかもしれないって。そういう感覚の違いを大事に、教えていくことができたらいいなと思います。

ーートーキョーバイクには接客マニュアルがありませんが、そのままでよさそうですか?

マニュアルがない方が私は好きですね。教える時にはマニュアルがあると、何ページまで終わったと言えますが、教えられた側の認識とは違うかもしれないですよね。つまり、項目があることで教えた側はここまできちんと伝えたという認識になっても、教えられた側は理解できていないかもしれない。それに次はここまで、次はここまでと義務感で学んでいくのも楽しくない気がする。

トーキョーバイクの場合、皆マニュアルがなくても根本的なことは絶対ずれていないんです。以前、教えてくれる時に「僕とは違うけど、〇〇さんはこういう言い方をするよ。もしよかったら聞いてみて、それを盗んでもいいと思うよ」と教えてくれる人がいて、なるほどなと思いました。

人によって伝え方が違うのも他の視点に気づけるきっかけになる。この人から教えてもらったけど、あの人の説明もいいなと思ったり。そういう違いが逆に楽しく覚えられるんじゃないかなと思います。

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好きなものと好きな時間

ーートーキョーバイクのラインアップの中で、好きなモデルはどれですか?

自分が乗っているTOKYOBIKE 26かな。通勤用や買い物用、それぞれに適したモデルがあるから一概には言えないですが、いろんな面をひっくるめるとこれですね。スポーツバイクが初めての方でも、安定して乗りやすいと思います。

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ーーお気に入りのオプションパーツはありますか?

私自身はシンプルなのが好きで、あまりパーツを付けていません。

欲しいなと思うのは、knogというブランドの Oi Luxe BICYCLE BELL。シンプルかつ、クラシカルでかっこいい。

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ーー綺麗なベルですね。少しだけチラっと見えているのは、皮ですか?

そうなんです。内側に皮を使っていて、ほんの少しだけ覗かせています。洋服のコーディネートでもワンピースの下にスカートを履いておいて、裾から少しだけ覗かせるというのがありますよね。そんな感じなんです。

音もすごく綺麗だし、本当にかっこいいと思います。お値段がするので強くお勧めはできないけど「こういうのもあるんですよ」とお客さまにもお伝えはしますね。

ーーここからは少しプライベートな質問です。1日の中で好きな時間はどんなことをしている時ですか?

種類の豊富な八百屋さんで普通のスーパーでは売っていない様な野菜やフルーツを見るのが好きです。ちょっと出かけた時や、旅行先でも八百屋さんは見ますね。どんな野菜があるんだろう?って。

食べることが好きなので、休みの日に食事へ出かけて内装やインテリアを見たり、お皿の盛り付けを見るのも好きです。

ーー自転車で行く場所で好きな場所や道、時間などはありますか?

秋の夕方は、走るのがすごく気持ちがいいですね。光と風と匂いが違う。

特に夕方の住宅地を走っていると、いろんなお家のご飯の匂いがするんです。それをかぎならが走るのが好き。ちょっと懐かしいというか、ほっとする。実家に帰りたくなる香りなのかもしれないですね。

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(取材・文)小西
(写真)橋原