SDSノート_01「企業がアートにかかわるとき」
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SDSノート_01「企業がアートにかかわるとき」

TOKYO BIENNALE note
こんにちは。ソーシャルダイブ・スタディーズ(以下 SDS)、コーディネーターの工藤大貴です。本取組では、街とアートの接点や媒介をつくりだす「プレイヤー」を育むことを目指しています。3ヶ月半をかけて、第一線のゲストによるレクチャーやアーティストの制作サポート、最終的には1人1人が起案したアートプロジェクトの発表までを行います。あらゆる意味で街へ、アートへ、人の渦へダイブしていきます。

5月29日(土)、第1回レクチャーとともにキックオフしたSDS。初回のゲストは、三菱地所(株)より金城敦彦さんと、(株)良品計画より宮尾弘子さんでした。

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▲三菱地所|金城敦彦さん(宮尾弘子さんはオンラインでのご参加でした)

金城さんからは、大手町、丸の内、有楽町の大丸有エリアを、三菱地所の働きかけによって文化的にしていく、その手段としてのアートのお話がありました。街を巻き込んでのアートプロジェクトの数々は、結果として、大丸有全体で地域としての競争力を保つビジネス戦略にもつながりました。また、ビルの一角にしばしば設置されているアート作品=動かない存在がある街ではなく、アーティストが活動する=動いている街へ、という話もありました。

宮尾さんからは、社内の防災対策について検討を重ねていた自社の総務課から始まった企画についてお話がありました。社内スタッフへの安全確保から始まり、そのアイデアと思いが段々と外へ広がっていき、MUJIの公式商品「いつものもしも」シリーズが生まれました。ご自身も、そして良品計画としても、社会的メッセージの強いアートというよりは、「暮らしに溶けこむ存在」「所有して心が温まる存在」を志向してきたからこそ、防災に関する商品も生活に寄り添う存在になっているのかもしれません。

ここからは、SDS第1回レクチャーを聴講されたメンバーのお2人にその様子をレポートしてもらいます。それではぜひご覧ください▼


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SDSメンバーの安東 豊です。普段はメーカーでITの企画の仕事をしながら、写真やアートを使って「視点の違い」を共有し、自己理解・他者理解・多様性の理解を促す場づくりを行っています。

そこで感じるのは、写真やアートが人や社会の様々な側面やリソースを可視化し、それらを繋ぐコミュニケーションの触媒としての役割や価値を持つということ。

今回、街のさまざまな場やコミュニティに飛び込んで、そんなアートの持つ可能性を体感し、アートプロジェクトの実践を通して東京の街を見つめなおしたいという思いから、SDSに参加しています。

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第1回講義は、三菱地所さんによる大丸有地区に代表されるアートあふれる街づくりと、良品計画さんの生活の中での日常芸術(Life in Art)についてお聞きしました。空間のスケールの違いはあるけれど、そこに共通するのは人の心を動かす取り組みということ。

企業の役割はよいプロダクトやサービスを提供し、よりよい社会に貢献すること。そして、それをつくりだすのは人であり、一人ひとりの個性や問題意識や美意識、つまるところ生き様そのものが反映された仕事が、人の心を動かし社会を動かすのだということを、両社の事例を通じて強く感じ、同じ企業人としても大いに刺激と勇気をいただきました。

金城さんのレクチャーで紹介された「世界は誰かの仕事でできている」という飲料CMの言葉に、この世界そのものが、私たち一人ひとりの生き様が反映された壮大なアートプロジェクトだということを実感します。

今年の夏は東京の街にソーシャルダイブして、心動かし動かされる体験をともにしながら、人として、また企業としてできることを考え、よき実践につなげていければと思います。

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SDSメンバーの瀧戸 彩花です。 普段は国の機関で科学と社会のつながりを考える情報発信や場づくりの仕事に携わっています。そのほか、文化人類学や芸術(特にメディアアート)等の観点で、人と人、人とモノの関わり方や伝わり方・関係性を、ひっそりと研究しています。自身の関心は「人と人をつなぐこと」「場づくり」です。 

 SDSの第1回目は「企業がアートにかかわるとき」。“企業の目線からアートの関わり方を見る回”でした。 

金城さん、宮尾さん、それぞれのお話にSDGsの観点がありました。「11.住み続けられるまちづくりを」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」等につながっていました。SDGsというと何だか堅苦しくて難しそうに聞こえますが、アートを活用することで人々が触れやすくなるそうです。社会課題も自分ごととして考えやすくなるんですね。

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宮尾さんの話では、“暮らしの延長線上”という考え方の社内への浸透が印象的でした。仕事で着想を得て、ブランドの根幹を変えずに、災害へ関心を持ってもらう企画へ。発想の転換・ぶれない核で幅広い分野への拡大が可能という点が勉強になりました。

アートで科学技術に関心を持ってもらう一方法として魅力的で、会期中は「Life in Art」(日常生活に芸術を)として店舗をアートでジャックし展示会を開催予定とのことで、ぜひ現場にダイブしたいと思います。

レクチャー終了後、金城さんと科学とアートの可能性について意見交換。「現代アートってむずかしい」「地域で表現するには困難」といったイメージが多いと感じる中で、「SDGsやその課題解決にはアーティストがいる世界が大事」(※)という言葉が心強いものでした。

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「アートと社会、そこに境界線はない 」
「実用性がなくても、実用社会の中に境界線はない」
「枠さえも揺さぶるプロジェクト」

今回、最も意外だったのは、地域でのアート企画が、行政だけでなく企業と地域との直接的・積極的な協働で成立していることです。東京ビエンナーレに限らず、芸術祭の企画がさまざまな人や機関で交わることは一つの可能性に思います。

レクチャーをされたお二人ともアートを前向きに捉え、積極的。一方で「アートの担当が社内にはいない」ということは共通見解で、今後の課題にも感じました。

※SDGsには実は「文化芸術」が言葉として明確には書かれていません。

初回レクチャーの記録はここまでとなります。次回は6/5(土)に山崎亮さんをお迎えします。それでは、またSDSノートにてお会いしましょう。

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東京ビエンナーレの公式noteです。参加アーティストやディレクター、市民委員会の方々等のインタビューや対談、寄稿記事、また作品の進捗などをご紹介いたします。