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3度驚いたら、運命かもしれない

公園で朝まで話をしたり、ゲリラ豪雨の中を走って映画を見に行ったり。

そんな思い出なんてあっという間になかったことのようにして、夏は終わってしまうんだ。

そして秋の訪れを感じると、着物を着るのにいい季節になったな、と思う。

その夜も、着物を着て、深夜のライブイベントでアクセサリーを売っていた。




出店ブースの横で、一人で立っている男性がいた。

「あ、以前お見かけしました。流れるイオタの方ですよね?」
声をかけたのは私から。

彼はstudio iota label に所属するバンドのギタリストだ。

彼とはその日の前に、偶然2回も会っていた。


一度目は彼自身が所属するバンドのライブ、

二度目は別のイベント。
二度目に会ったときも驚いたけれど、一度目も衝撃的だった。

初めてみた彼らのライブで映し出された映像。
そして映画のストーリーが展開していくようなインストゥルメンタルの音楽。


ああ、凄い。

しかもこんなに力強いドラム、叩いてるのは女の子なんだ。

こんなの、初めて見た!


とはいえ、ステージの向こう側とこっち側の人間。

しかも知り合いのライブを見に行ったときの出演者だったので、その日は、ほぼ話せなかったと思う。



幸い、彼も3度目に会った私のことは、覚えていてくれたようだ。

「あ、また会いましたね!ここでアクセサリー売ってたんだね。
 なるほど・・・ちょっとここで、この値段は高いかもね」

正直、私も同じことを思ってはいたものの、値段を下げられない理由もある。

「そうかもしれないですね」

そんな話をして、連絡先を交換した。

しばらくしたら、次のライブの告知の連絡が来るのだろうな、と思っていた。

のだったけれど、翌日すぐに、彼が「ごめんね」と謝ってきたのだった。

手作りの一点ものを売っているのに、高いなんて言って、軽はずみだった」と。

私は全く気にしていなかったし、外で販売していればその程度のことはしょっちゅう言われ慣れている。

「ところでさ、うちのバンドのライブでもアクセサリー売ってみたら?雰囲気も合うと思うし」

「え?いいんですか!?」

「うん。うちのバンドのイメージは星空とか、きれいな空だから、そういうイメージのアクセサリーがあるといいな」

そんな流れで、急に出店が決まった。



ライブ当日

私はあのドラムの女の子がリーダーだと聞いていたので、挨拶をした。


旅の音楽家(ドラム女)「ええっと・・・。!?ごめんなさい、どなたでしょうか?」

アクセサリー作家「話し通ってたんじゃない・・・ってことですよね?」


微妙な空気が流れたものの、淡々と(内心ビクビクしながら)準備をした。

そうして私たち【花のある生活。】の作者である、「フラワーアクセサリー作家」と「旅の音楽家」は出会った。


終演後、またも驚かされることが起きた。

メンバー全員が私のアクセサリーを購入してくれたのだ。

「これ、プレゼントにしようかな」「私はこれにします」

と、自然に買ってくれている。

今までもいろんなイベントで売ってきたけれど、さすがにこんなことは初めてだった。

そんなことがあって、どうにもそのバンドが気になってしまうようになった。

そして、旅の音楽家が旅の記事を書いていることを知り、SNSをチェックして、読んだ。

面白い。。

私も旅と音楽は好きだけど、こんな表現の方法は持ち合わせていない。

きっとまた会うだろうな、旅の音楽家という名のあのドラマーの女の子


そして、寒い日の午後、私が仕事先に向かっているときだった。

旅の音楽家「ねえ、一緒に仕事をしてくれない?」

アクセサリー作家「うん、やろう」

即答。

"タワーレコード盤 初回特典" の制作をさせてもらうことになった。

パワフルな彼女と仕事をするのは、本当に、怒涛の日々だった。


初回特典が完売した、と聞いたのは、旅先のカナダだった。

私たちの間には、「旅」がごく自然にある。

旅先の映像を使っていた初見のライブで受けた衝撃も、その後SNSでチェックしまくった旅行記も。私たちをつなげたもの。

一緒に諏訪に行こうと決めたときも、大して相談したわけでも、どちらからともなく、行き先も日取りも決まった。

「フラワーアクセサリー作家」はこんな目標を持っている。

甘っちょろいと思われても、気楽でいいねと思われても、構わない。

好きな人と、好きな場所で、好きな仕事をすること。

好きな人は、恋人かも知れないし、studio iota labelの人たちかもしれない。

好きな仕事は、多分これしかない。

もしかしたらこの目標はかなっているのかもしれないし、

まだまだ遠いのかもしれない。

でもね、私がどこか遠い国に行くことがあっても、違う仕事をしているとしても、きっとまた出会うんだろうと思う。

3度驚いたら、それはきっと運命だから。

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【TOKYO BENZAITEN】 Aromariage 鷲尾直美

お花、旅、音楽、の日々つれづれコラムです。
アクセサリーデザイナーと旅の音楽家という女性2人によるインテリアブランド「TOKYO BENZAITEN by studio iota label」と申します。
流木やドライフラワーなどボタニカル素材を使用したインテリアを企画・販売し、アウトドアライフを送ってます。

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