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③ウツのきっかけ「25インチのスキニーデニム」

ウツになったきっかけは、21歳でダイエットして、人生初の細身を手に入れた事。そして、めちゃくちゃ偉そうになった事。

「太ってる人は努力不足」っていう理屈は、いったいどこから生まれるんでしょうねぇ。

当時働いていた地元のチェーンの衣料品店に、リコちゃんという同い年の女の子がいました。お目目ぱっちりで色白で、ベリーショートが似合うリコちゃん。

私たちはデニムパンツの販売担当で、毎日いっしょに働いてた。

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その頃世の中で流行していたのは、ほっそいほっそいスキニーデニム。「いやもうこれストッキングじゃん」みたいなほっそーーーいズボンが店にいっぱいあって、私とリコちゃんは、接客のために必ず試着をしたのです。

みなさん、試着室を思い出して…。

サイズが合わなかった時、替えを持ってきてくれるのは、店員さんですよね。閉店後の試着室で、私のサイズを聞いて持ってきてくれるのは、リコちゃんなんです。

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私より先にダイエットに囚われていたリコちゃんは、すでに25インチ。25インチのスキニーデニムって、わかりますか?小さいですよー。

私は、そんなリコちゃんに、自分の29インチを笑われているような気がしました。(29で別にいいじゃんね)

そして、ダイエットを始めたんですね。まぁつまりは、食べなくなったんです。リコちゃんも全然食べてませんでした。「今日おにぎり1個も食べちゃった」って顔色を曇らすような子だった。

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私は半年でみるみる痩せて、25インチになったんです。「きなこ、ほそーい」「リコちゃんの方がほそいよー」って毎日言い合ってましたね。私は痩せると同時にオシャレに目覚めて、毎月山のように服を買いました。リコちゃんは彼氏に「細くて可愛い」と言われてて。

私も、多分リコちゃんも、吐いてた。

『デブはもっと頑張れよって感じだよね』『性格もだらしなさそうって思っちゃうよね』

東京で女優になる事を諦めた私と、彼氏に「細い」と褒められる事が嬉しいリコちゃんの自慢は、“人より痩せている事‘‘でした。痩せている事は、努力の証。

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リコちゃんは、じきに妊娠をしました。そしてその頃、私は当時の彼氏と、付き合ってすぐにセックスレス(なんかいきなりセックスとか言ってゴメン)になったまま1年が過ぎていました。私が断られていた側です。

リコちゃんは、私から見ればどんどん幸せそうになり、自分は彼にセックスしてもらうためにどんどんダイエット。食べる、吐く、食べる、吐く。それでもセックスしてもらえない。

じゃあ仕事だ!仕事も頑張る!愚痴言わない、笑顔たやさない…私は『努力不足のだらしないヤツ』にはならない!!

あーあーあーあー。もう、あーあーあーあー早く別れなよ〜、ですよ。ダイエットを始めて2年後、ウツ病になっちゃった。

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今、36歳。大人になりました。そして思います。

「生まれた頃からテレビや雑誌では細い女の子がキラキラしてて、ちょっとお肉がついていればデブという呼び名が通り、美しくてカッコいいとされる大人はだいたい細い。そして、その美しさは努力次第って言われる」

バーーーカバーーーカ。だいっきらいだよ、そんなもん。私とリコちゃんを苦しめやがって。体型と性格が結びついてたまるもんか。

私はねーー!『デブはだらしない』なんて言ってた自分の事、何年も責めて責めて責めて、自分の事がゴミクズより嫌いになったんだぞーー!!!

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・・・世の中のせいにしすぎかしらね。いや、でもね。もしこれを読んでいるあなたが、ゴミクズよりも自分の事、嫌いだとしたらね。

いいんだよ。世の中のせいにして。

努力が足らないせいじゃないよ。

世の中なんか、でかい顔して大バカ者さ。

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みんな休もう▼

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