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「法律で決まっていること」発言をきっかけに、保険証廃止の流れを調べてみました。


ニュースを眺めていたら、こんな記事が掲載されていました。

河野太郎デジタル相は9日、健康保険証の廃止は「法律で決まっていること」とし、マイナンバーカードに保険証機能を持たせたマイナ保険証の利用拡大が医療の質の向上につながると改めて強調した。

廃止に疑問を持つ医療関係者もいると問われ「お医者さんがどう思うかではなく、きちんとやるべきことはやっていただかなければならない」とも述べた。

日本経済新聞

最近、なにかとお騒がせなマイナ保険証について。

記者団からの質問に対し、河野デジタル相が答えた内容のようですが、かなり刺激的なタイトルだったので物議をかもしているだろうなとYahooニュースなどのコメントを見てみると案の定、怒り心頭といった感じです。

法律はいつ改正されたか?

マイナンバーカードの活用拡大に向けた改正マイナンバー法などの関連法は2023年6月2日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立しました。

2024年秋に現行の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化するほか、マイナンバーの年金受給口座とのひもづけを進めるそうです。

法律改正の流れ

成立したのは6月2日ですが、この案はいつ出たのでしょうか?
過去のニュースを確認すると、2023年3月7日に閣議決定されています。

閣議決定とは、内閣総理大臣及びその他の国務大臣による会議で決定したという事なんですが、このメンバーには河野デジタル相も入っています。

その後、2023年4月14日に衆議院で審議され4月25日に可決。
賛成したのは自民、公明、維新、国民。反対は立憲、共産です。

審議の際、早期の成立に理解を求める為、説明したのも河野デジタル相です。

何故、健康保険証を廃止?

ここまでの流れで河野デジタル相が、かなりの熱量をもって健康保険証の廃止を進めてきたというのが分かったのですが、何故、健康保険証を廃止する必要があったのでしょうか?

ここで気になったニュースが、「健康保険証の不正利用」です。

健康保険証の不正利用

プラスティックカードの健康保険証には顔写真がないため、保険証を使いまわしたり所持者以外の本人確認書類として使われたりするケースがある。顔写真入りのマイナンバーカードを健康保険証として使うことで不正利用を防止する効果がある。

つまりは、マイナンバーカードを促進するためではなく、紙の保険証そのものにデメリットがあるため、廃止するのだ。という理屈のようです。

不正利用の件数は?

実際、どれだけの被害が発生していたのか?

これを調べてみたんですが、被害に関する情報がなかなか見つからない。

厚労省がやっと具体的な数字を挙げたのは5月19日。参院地方創生・デジタル特別委員会で「市町村国民健康保険(国保)では2017年から22年までの5年間で50件のなりすまし受診や健康保険証券面の偽造などの不正利用が確認されている」と明かした。

「不正請求が年間600万件、その処理のための費用は1000億円を超える」というものだ。X(旧ツイッター)ではこの数字が独り歩きし、「紙保険証によるトラブル数が年間600万件ってすごいよね」「それがマジならオンライン資格確認で防止できる」という声も上がっていた。
 ただ、この数字は20年前に厚労省が外部に委託研究をした論文に、なんの根拠も示されずに出ているのみ。内容も不正利用そのものを検証した論文ではない。しかも、論文は「多くは単純な保険証の番号の間違い」としており、不正請求というより、事務処理ミスだったというべきものだ。

不正利用600万件は凄いと思って、私も調べてみました。

確かに平成15年に発表された論文に、その旨書いてありましたが、600万件も不正利用や誤りがあるから、それを解決するための方法を研究しましたと書いてあるだけで、600万件に対する根拠も出典もなし。

また、600万件の話は4月14日の衆議院 審議内容を確認する限りないので、オフィシャルな情報ではなく、論文をみた方がX(旧ツイッター)等に投稿して一人歩きしてしまっただけのように思えます。

こうなると5年間で50件の不正利用が理由という事になってしまうのですが、長年使ってきた保険証を廃止するという大革命の理由としては、かなり少ない数字です。

きちんとやるべきことはやっていただかなければならない

さて、「法律で決まっている」発言をきっかけに、保険証廃止の流れを調べてみたのですが、これまでの流れを見る限り、マイナンバーカードを普及させたいがために、保険証を廃止する事が決定したように思えます。

しかして、マイナ保険証をめぐるトラブルが大きくなったため、政府は急遽「資格確認証」の有効期限を1年から5年に延ばすことを決定しました。

個人的には、それってどうなの?と思う決定です。

自分達で決めた法律を、このような問題で再改正したくないという事なのでしょうが、この決定で、少なくとも5年間は医療機関の業務効率は著しく落ちるでしょう。

法律の改正は、政治家の方々にしかできません。
その内容次第で、国民の生活は大きく変わります。

「きちんとやるべきことはやっていただかなければならない」

本当にそう思います。


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