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100%モネ、しかもテーマを絞った構成は分かりやすい〜モネ展(1/28まで)

モネ 連作の情景
上野の森美術館
2023年10月20日(金)~2024年1月28日(日)

よかったです。100%モネってのと、世界各国の美術館から集結してるところがポイントです。連作というコンセプトではありますが、印象派展前夜からほぼ晩年まで網羅できます。文脈の都合上、サロンへの出展もいくつかありますが、それ以外は、風景、都市景観を見比べていく展覧会となります。

ひとりの同じ系統の絵をとことん見比べられるので、違いなども分かりやすいし、混んでいるところを除けば見やすい構成になっているかと思いました。

分かったのは、印象派展以前からも、わりと筆致の荒い印象的な絵を描いていたということ、当時としては、かなり前衛的な試みだったと思うのですが、いまとなっては、日本でもっとも人気がある絵画のジャンルになってることを考えると、よくぞサロンから脱却してくれたなと当時の印象派の画家たちに感謝です。

展覧会の内容に話を戻すと、印象派前夜、印象派展開催後、連作への3つに分けられると思いますが、印象に残ったところは、絵の構図ですね。好きなように風景を切り取れる立場にいる画家が、それぞれ最善と思われる構図を切り取る。そして、観ている人を絵の中に誘っていく。そういう観点で見ていくと、70年代から80年代の絵がよかったです。絵に見るべきモチーフが描かれていたり、このあたりのメリハリのセンスは持って生まれたものかとも。

90年以降の連作という、同じ風景でも時間、天候が違えば違う景色になるんだよという、それまでは静止画だった絵画に時間軸を取り組んだ新しい試み。橋の絵画だったり、当時のロンドン名物?光化学スモッグも手伝って解像度がより低い絵になっていきますが、それでもメリハリをつけて、印象的な絵になっています。

またモネかよって言う方に是非見てもらいたいです。一味違います。客引きのメインの目玉作品をボーンというより、全体的にレベルが高い絵が集まってます。繰り返しになりますが、ひとりの同じ系統の絵を集めたからこその違いがわかる展覧会になってます。

皆さまのお気持ちは、チケット代、図録代とさせていただきます。