見出し画像

ブダペスト — ヨーロッパとハンガリーの美術400年 @国立新美術館(3/16まで)にいってきました。

ブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵の130点からなる展覧会。

初めて展覧会名を聞いた時、ハンガリー系の絵が見られるんだと思ってましたが、半分あたりで、半分ハズレでした。クラーナハ、ティツィアーノ、エル・グレコ、ルノワールなど、有名どこも来てますが、そのへんには目をくれず、ハンガリーの国民的画家のムンカーチ・ミハーイにスポットを当てます。

ギュスターヴ・クールベの写実的な影響を強く受けたムンカーチ・ミハーイ。年代でいうとレーピンや、ルドン、モネやルノワールあたりと同世代です。

子どものころに両親を亡くし、貧困の中で育ち、同じ境遇の庶民の絵で評判を呼びます。本展では、そのころの渋い絵も見ることができ、《「村の英雄」のための習作 (テーブルに寄りかかる二人の若者)》は習作とは言え、貧困ではあるけれど、何かを訴える主人公の鋭い眼光がいいです。

画像1

ムンカーチ・ミハーイ《「村の英雄」のための習作 (テーブルに寄りかかる二人の若者)》1874 年

そんな画風がガラッと変わり始めたのは、庇護してくれていたパトロンが亡くなり、その未亡人と逆玉的に結婚したあたりからで、貧困を描いたモチーフから、ブルジョワが喜ぶ豪華な生活を描いた絵が多くなります。

画像2

ムンカーチ・ミハーイ《パリの室内(本を読む女性)》1877年

画像3

ムンカーチ・ミハーイ《本を読む女性》1880年代初頭

モチーフは華やかにはなりましたが、その画力は変わらずに完成度が高いです。このあたりの絵は、ハンス・マカルトに似ている気がしました。

最後にもう1点。同郷の大作曲家のリストの肖像画《フランツ・リストの肖像》です。30歳も離れていてる(リストが上)のですが、快く肖像画の引き受けてくれたようです。絵の完成から三ヶ月後にリストは亡くなってしまい最後の肖像画になってしまいますが、この威厳に満ちたこの作品は、共にハンガリーを代表する芸術家どうしの信頼関係から成り立っているのだなって思いました。

画像4

ムンカーチ・ミハーイ《フランツ・リストの肖像》1886年

まとめ

点数が多い展覧会でしたけど、ムンカーチやハンガリーの画家を知るきっかけになってよかったです。ムンカーチといえば、出世作と言われる《死刑囚監房》や晩年の大作のキリストの3部作が有名なので、いつか、ハンガリーまで行って実見したいと思わせる画家でした。


皆さまのお気持ちは、チケット代、図録代とさせていただきます。