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ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代@Bunkamura ザ・ミュージアム(1/24まで)に行ってきました。

ベルナール・ビュフェは、戦後に活躍したフランスの画家。その直線的な輪郭線のタッチは唯一無二。自分がよく立ち寄る銀座のギャルリーためながで時々見かけて、クールでセンスがいい絵だなと思ってました。ちなみに、1月31日まで、同画廊でもビュッフェ展をやっているようで、こちらも併せておすすめです。

展覧会は時系列に展開していて、その時代ごとに画風が変わっていくのですが、ハイライトは、伴侶となるアナベルと出会ってからの1960年代かと思います。そのあたりも含めて6点ほどピックアップしてみました。

人物相関図

キリストの十字架からの降下(1948)

宗教画では有名な磔刑されたキリストを降架する場面。いつもだと降架されていくキリストと、それを手伝う人たちなのですが、本作では、作業者のサバサバとしたルーティン感が際立ちます。うなだれる女性、大人越しに覗く少年。余計な装飾を排除した現代的なミニマムな設定で再構築。当時の若者たちの間で流行っていたサルトルやカミュの哲学的な思想は、初期のこの作品にも現れているかと思います。

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ピエロの顔(1961)

ベタっと塗られた赤い背景と、黒いシルクハット、白塗りのピエロ、首には大きい白色のネクタイ。この3色のコントラストが秀逸。何か言いたげにこちらを見つめるピエロ。自らを変装することにより、自分を自由に演じられるピエロはビュフェの好きなモチーフのひとつで、本展覧会にも、3点ほど展示されていました。インパクトがあるこのピエロの絵は、フライヤーのメインビジュアルにもなってます。

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青い闘牛士(1960)

それまで10年もの間、公私共にパートナーを努めていたピエール・ベルジェとの関係を解消させたのはアナベルでした。ビュフェは、歌手やモデルだったアナベルと結婚し、それ以後、女性をモチーフにした作品は、アナベルがモデルを務めることとなります。本作もアナベルがモデルで、実際に闘牛士の服を着せて描きました。スタイリッシュなアナベルに違和感はなく、凛々しい闘牛士が描かれてます。線が華奢なところは、女性がモデルからなのかもしれないです。

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小さいミミズク(1963)

子どもの頃から模写していた昆虫や動物などに思いを寄せていました。その思いで描いた昆虫や、動物作品を集めた「自然史博物館」展を開催します。このミミズクもこの頃の作品で、この頃のビュフェらしい力強い直線で描かれています。子どもの頃からいろいろな物の模写によってその描画センスは磨かれていったのかと思いました。

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赤い花(1964)

ビュフェが草花を描くとこうなるのかって感じです。葉や花などがエネルギッシュで、生命感があります。もう1点展示されていた《ガレの花瓶にいけた花》は、本作ほど弾けてはいないのですが、ビュフェが描いたとわかる画風が投影されていて、分かりやすいです。本展覧会で1枚持って帰ってもいいよって言われたら、この《赤い花》をこそっと選びます。

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汽船(1968)

黒色単色で重厚感がある汽船を描いています。さほど、風もなく波も立っていないと思われる天候での、煙や水面などの荒い描写は、シンプルな中に本質を描いていくターナーの抽象画とも、東洋の水墨画とも感じさせます。この後、絵に色がつき始め、画風が少しずつ丁寧になっていくので、この画風としては、ひとつの完成を迎えたのではないかと思ったりしました。

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まとめ

ビュフェは、前述通り、ギャルリーためながでよくみて好きだったので、この冬で一番気になっていた展覧会で、期待通りでもありました。ビュフェの人生を俯瞰しつつ、初期から、晩年の作品まで画業を振り返られたのはよかったです。画家的な観点では、輪郭線に特徴のある画家が好きなので、ジャン・ジャンセンや、モーリス・ド・ヴラマンクにも少し似てるのかなと思いました。

ちなみに、静岡にあるクレマチスの丘に部ルナール・ビュフェ美術館があり、ここで通年ビュフェの作品を見ることができます。


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