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Recruit Blog-WARRIORS2021TR丸川海音

Mar 14, 2020-by東京大学運動会アメリカンフットボール部


学生トレーナーは医学やスポーツ、リハビリテーションの専門教育を受けているわけではなく、だからこそ今このブログをご覧になっている新入生の皆さん全員に扉が開かれているのですが、その性質上選手やチームのために自分自身ができることには限界があり、先輩や大人の力を借りなければならないことがしばしばあります。誰かを頼って助けを求めることは、今でもそう得意ではなくそのために周囲に迷惑をかけてしまうことも多いものの、部活を通して学んだ大切なことの一つであり、考えてみるとそれができる環境にいられることの当たり前でなさに感謝の思いがあります。
トレーナーの仕事を離れても他人の力を借りたいシチュエーションはたくさんあって、例えば文章を書くのが苦手なのに大事なリクルートブログの1ページを任せてもらってしまったときなど、その最たる例かと思います。しかしそんな時にも頼れるあてはあるもので、昨年のブログを見返すと同期トレーナーの書いたページがありました。このページを訪れたのが僕の熱心なファンだからという方でない限りは、まずはこのリンク(https://note.com/tokyo_warriors/n/n5c55a991e11e)からそちらをご覧いただければ幸いです。ついこの間後輩たちと話をしていると、「今でも時々あのブログを見返してやる気を出すことがある」と言っていた選手がいて驚きました。彼の性格を考えると俄には信じがたいのですが、彼のそんな一面はもちろん、チームの誰かの思いや頑張りに励まされて他の誰かが頑張っていること、そしてその関係が選手とスタッフの間にも成立しているということがとても素敵なことに思えました。
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彼女のページを読んでくださったなら僕の役割は概ね達せられたかと思うので、以下は余談です。
2020年度の本学の国語の入試問題に出題され皆さんには馴染み深いであろう小坂井敏晶さんが、著書で面白い実験を紹介しています。まったく同じ靴下を4つ並べ被験者にどれが最も気に入ったか問うと半数以上の被験者が一番右に置かれたものを選んだというものです。しかし面白いのは一番右のものが選ばれたことそれ自体ではなく、その理由を問われたときの被験者たちの反応でした。靴下はすべて同じものであるのに、理由を問われたほとんどの被験者が色や手触りについて答えたというのです。同じ今年の京都大学の国語第1問ではより率直に、体験談という後付けの語りは真実を覆い隠すものだとまで述べられていました。
このリクルートブログにこうもあからさまに書くのは憚られますが、部員たちが語る体験談は実は、彼らの選択のつじつま合わせのための言い訳でしかないのかもしれません。そしてだとすれば案外入部の動機としては,何かよくわからない外部要因に導かれた結果としての「直感」が、唯一の正解なのかもしれません。普通ただ右にあるからというだけでそのソックスを選ぶとは思いもしないのと同じように、今の部員たちや皆さんの「直感」を窺い知ることは難しいです。しかし、体験談の虚構性に留意すれば、皆さんの経験や人伝ての情報ではなく、生の様子を覗いてみるのがベターでしょう。執筆している現在、新型コロナウイルスによる各種イベントの中止が決まっており、まだまだ認知度の低い弊部にとっては、率直に言って今年の新歓はピンチです。しかし、極めてパターナリスティックな言い方をするなら、これは弊部への入部という魅力的な選択の機会を失う皆さんにとってもピンチかもしれません。ぜひ一度で良いので弊部の見学やイベントに足を運んでみてください。
さて、外部要因は直感を導き選択の基盤となると同時に、さまざまな形で選択を妨害します。例えば(以下は自戒でもありますが)、これも小坂井さんの文章が明らかにしているように、社会的・経済的な理由から本学の志望という選択すらできなかった同世代たちがいることを、私たちは常に認識しておくべきでしょう。関連して、経済的な困難を抱える部員に対してはそれを支えるための仕組みが弊部には用意されていることも、ここに書き添えておきます。
ここまででなくとも、特に選手を志望する皆さんにとってスポーツ経験や身体能力への不安は、入部の選択を阻む大きな壁であることでしょう。アメフトは分業制のスポーツであり、一人の選手の一つの長所がチームの練習の質の向上や試合での勝利に計り知れない影響を与えますし、その長所が入部後に伸ばされ、見出されることは普段個々の選手の動きを観察しているトレーナーとしての実感です。これはスタッフにおいてはより顕著で、そのことはここ数年で新設されたマーケティングスタッフやシステムエンジニアが個人の長所を生かすところからスタートしチームに大きく貢献していることからも明らかだと思います。
この春一つ進級し、個々の選手に向かい合うだけでなく、チーム全体を見通して役割を果たすことの大切さを実感する一方で、やはりトレーナー/スタッフとしての一番のやりがいは目の前の選手と伴走することだろうとも思っています。チームに求められる存在になるにはまだまだ程遠い身ですが、トレーナーやその他のスタッフに興味をもってくださっている皆さんにそのやりがいを保証するとともに、選手に興味をもってくださっている皆さん一人ひとりに対して自分のできうる限り最大限のサポートを約束します。
良い終わり方が見つからないので最後にもう一度、こちらのページをどうぞ。
https://note.com/tokyo_warriors/n/n5c55a991e11e

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