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キャンディッド・フォトについて考える


こんにちは、路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXです。

ストリートスナップを撮影する手法の一つに「キャンディッド・フォト」というものがあります。

キャンディッド・フォト(英語表記)candid-photo
写真用語。「公平率直な写真」の意味で,スナップ・ショット (早撮り) の別称。また盗み撮り,隠し撮りのこと。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

被写体に気づかれずに撮ることが重要で、ストリートスナップでは、その場を乱さないことが大切です。

世間一般的には、「盗撮=犯罪」といった風潮や、他人を勝手に撮影することを「盗撮」と呼ぶこともありますが、マナーの観点はここでは一旦別にして、ルール(法律や条例)という視点からは正しい認識ではありません。

SNSなどを見ていますと、他人を撮った写真をスクショや引用して、これは「盗撮だ!けしからん!』的なものを見かけますが、指摘する方とされる方で「盗撮」の定義が違うため、いつまで経つまでも話は平行線ということを見かけます。

写真を撮る人やカメラを趣味にしている人と、スマホでしか撮らない人の間にも、こういった認識の違いを感じることがありますので、「盗撮」の定義を簡単に整理しておくと、何かこういうトラブルがあった時に冷静な判断ができると思います。

撮影に関する法律等で最も注意すべきものは、「迷惑防止条例」と「性的姿態撮影等処罰剤」です。通常では見えない性的な部分などを、撮影もしくは撮影しようとした場合に該当するもので、いわゆる「盗撮」と言われるものです。絶対にやってはならないものです。

これとは対照的に、「盗み撮り」、「隠し撮り」と言われるものは、性的なものでなく、且つ他人の家の中など他人のプライバシーを侵害するものでないという条件が付きますが、これらは犯罪になるものではありません

ここで特に重要なのは、自分が公道もしくは公共のスペースから撮影した場合に限られるということです。私有地で撮影した場合は、盗撮以前に不法侵入を疑われる場合があります。

ここまで述べてきたことは、あくまでルールの基本的なことであり、マナーとは次元の違う話です。

これらのことを踏まえ、「キャンディッド・フォト」について考えたいと思います。

撮影:Tokyo Street PIX.  @銀座


私の基本的な撮影に対する考え方は、自分が公道、またはそれに準ずる敷地内にいるとき、ルールに反しない範囲で、且つ、撮られた人の名誉を毀損する恐れがないかを勘案しつつ、積極的に撮っています

マナーからの観点で、他人を勝手に撮るのは良くないという意見も、重々承知しているからこその「キャンディッド・フォト」です。

人の姿をストリートスナップで入れたい時、サッと気づかれないように撮るのが、逆にマナーとも言えると思います。

実際には気が付かれる時もありますが、その後の対応・反応は状況によります。

「スナップ」というのは、冒頭の引用にもあった通り"早撮り"ですから、本来誰にも気づかれずに一瞬で撮り終えることが重要だと考えます。

また、このような撮影において、肖像権の侵害を指摘する意見もありますが、写真に他人の顔が写っているからといって、それが肖像権の侵害もしくは名誉毀損などに該当するか否かは、民事訴訟により判断されることになります。

例えば、防犯カメラやドライブレコーダーなどの撮影で、公道の通行人に許可が必要だとしたら、どうなるでしょうか。今回の話と論点が異なるので、ここでは触れませんが、撮影におけるモヤモヤした部分ではあります。

撮影:Tokyo Street PIX.  @代々木


話を元に戻しますが、キャンディッド・フォトが、社会のマナーという観点で見たとき、時代の流れの中でどのように変化していくか注視していく必要が今後あると思います。

刑法に触れるような撮り方は論外ですが、撮られた人やその周りにいた人に見つからなければ問題ないのかというと、もちろんそうとは言い切れません。

しかし、マナーを頑なに守ることで、撮れなくなるシーンがたくさんあるとしたら、それは長い歴史的な視点では、社会の損失にも繋がるような気もします

OKとNGが明確に線引きができない以上、答えは出てきませんが、撮る人の心の中では線引きが必要な気がします

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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。またお会いしましょう。路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXでした。

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