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ポンコツ大家の叫び (母ちゃん編)

両親の不動産賃貸業を手伝い始めた当初はいろいろぶつかりました。
膝から崩れ落ちるような感覚を何度となく味わった気がします。

実家が自宅兼賃貸マンションだったせいもあると思いますが、管理が入居者目線ではなく、自分たちが良ければそれでよいというスタンス。
モンスター住人に悩まされる大家さんも多いと思いますが、うちの場合けっこうなモンスター大家さん。

その中で語録的に印象的だった2人の言葉を思い出してみました。

まずは母親編

母その1
大手仲介会社からの空室問い合わせの電話(53部屋中、5部屋空室あり)

母:『はっ、エ〇〇ル??? うちは満室だし、こんな時間に電話しなくていいから!! あーめんどくさいな!ちゃんとした時間にかけ直して!!! ガッチャン!!


(かあちゃん。。。まだ17時半。。。空室あるし、あなたお昼からお酒飲みすぎでしょ泣)

母その2
水道管のさびから出る赤茶色の水をどうかしてくれないかというクレーム

母:『うちは古い鉄製の水道管使っているから仕方ないの! しばらく流していれば透明になるから。何なら私も毎日ここの水飲んでるし、いやなら早く出て行ってください!!


(さび水はさすがに大問題になり、当たり前ですが、上記のような対応では済まない入居者が続出し、結果3,4年掛かりで大規模な水道工事をして、新しい配管に更新しました。)

母その3
夜中に酔っぱらって廊下で唸ったり、歌っている人がいたという入居者からの相談

母:『物騒ねー、警察に相談しなきゃね。

(それはかあちゃん・・・あなたでしょ。昨日も焼酎ボトル空けてじゃん。多分昼から早稲田通り沿いの回転寿司で酒飲んでただろうし。。。)
※寝室と台所がマンションの別の部屋にあったので、移動するときによく廊下で大声出していました。

こんな母ですが、口癖は
『あー、いそがしい。忙しい。』

そのころからさんざん振り回されてきましたが、
母は3年前にALSを発症し、今年はじめに70代半ばで亡くなりました。
最後の2年間はもちろんお酒だけでなく、固形物を摂取することはできませんでした。

考えてみれば大人になってから、母と二人きりでお酒を飲みにいったことはありません。母は典型的なキッチンドランカーだったので、酔っぱらっている割には、自分も含め人と話しながら飲んでる様子を見た記憶がないのです。

生前は叶いませんでしたが、母の大好きだった赤貝とさざえのお刺身をアテに、お寿司屋さんのカウンターでお酒を酌み交わしつつ、何がそんなに忙しかったのか、いつかあの世で聞いてみようと思っています。

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