歴代シーズン失点率 ベスト5
投手の評価をする際に防御率を重要視する人は結構いると思いますが、私はトップページの固定記事に設定している『プロ野球の記録、成績について』の中でも書いたが「防御率」という記録をそこまで高くは評価していない。
理由は前の記事で詳細に書いたので改めて書かないが、理由の1つとしてそもそも「防御率」という記録、ひいては「防御率」を出すときに用いられる「自責点」という記録を訝しんているからである。
「自責点」は実際に点を取られた時に加算される「失点」とは別物で、自責点に加算されないケースの基本は、失策絡みで点が入ったケースかランナーがいる状態での投手交代に寄るものになりますが、10点取られようが20点取られようがホームランを何本も打たれようが、失策絡みならば自責点は付かず、つまり防御率が悪くなる事もなく、場合によっては腑に落ちないケースも出てきます。もちろん投手の立場からすれば、守備に足を引っ張られての失点で自分の成績が悪くなる事に対して納得がいかないという不満も出るだろうから難しいのですが。
しかもこの「防御率」という記録は、当初は失策絡みの自責点の取り扱いに対して日米で解釈の違いがあって、アメリカ式の考えをミケンズルールとして改称したのが1961年からでした。
また投球回数の1/3、2/3に対しては1963年までは切り上げ、1964~82年までは1/3は切り捨て、2/3は切り上げで計算していて、1983年からようやくそのまま1/3、2/3で計算する様になったので意外に最近の話である。1つのアウトを取るのは簡単な話では無いのに、150回1/3の投手と149回2/3の投手が同数になるというのは中々に理不尽な話で、200回も300回も投げていた時代なら誤差の範囲内だが、投球回数が少ない投手のアウト2個の差での防御率は結構変わってくる。
しかも82年以前の記録は当時のまま修正されず今も公式記録として残っているので、82年以前の投手記録と83年以降の投手記録を同列にも扱いにくいなど、色々と欠陥の多い記録となっている。
ちなみに私のnoteで取り扱っている防御率など投球回数に関わる記録は、Excel自動計算で管理している記録を用いているため、基本はそのまま1/3、2/3で計算された記録になっているので公式記録とは異っているケースが多い。ウチの趣旨が公式記録の紹介では無く、投手の能力の正当な評価をする事でそれの方が適当だと思うので、あらかじめご了承いただきたい。ただし記事によっては公式記録をそのまま写してしまっている事も多々あると思うので気づき次第修正していく。
前置きが長くなったが、今回は「防御率」というあやふやな記録では無く、その投手が実際に何点取られたかという「失点」を元に算出した「失点率」のランキングを発表しつつ検証していく。
「防御率」が重要視される一方でほとんど語られたことのない(そもそも算出すらされない)投手の「失点率」という記録であるが、ごちゃごちゃ余計な事は考えずに投手が実際に何点取られたかだけを検証する事によって、今まで見えてこなかった新しい発見があるかも知れない。
本来ならば「失点率」の方を主要な公式記録としつつ、投手に対しての救済措置的な意味合いで「防御率」、「自責点」という記録も補足的に取り扱っていた方が良かったのでは?と個人的には思う。
今回は失点率の各年毎のベスト5を紹介しつつ、防御率も併記して2つの記録にどれ位の差があるのかという比較を行う。また上位5人の他に投手規定を達成した投手の中で、その年に失点率と防御率の差が最も激しかった投手をベスト5の後に記載するので、併せてそれも検証材料にしてみる。
それでは今回のリストの見方と説明はこちら。
■年:該当年度
■失:失点率の順位(黒色はリーグ最下位)
■防:防御率の順位(黒色はリーグ最下位)
■名前:該当選手名(選手の所属球団のイメージカラーに色分け)
■球団:所属球団
■失点率:失点率(金色はリーグ1位)
■防御率:防御率(金色はリーグ1位)
■率差:失点率ー防御率(黒色は最も差が激しい記録)
■失点:失点
■自責点:自責点
■点差:失点ー自責点
■登板:登板数
■先発:先発登板数
■完投:完投数
■勝敗:勝敗(金色はタイトルホルダー)
■投球回:該当年の投球回数
<失点率ベスト5 1936~2022>
<失点率と防御率の差の推移>
■縦線は失点率ー防御率(0.5ずつ区切り)
■黒線:1リーグ時代のワースト記録
■赤線:セリーグの投手のワースト記録
■青線:パリーグの投手のワースト記録
以上になるが、それでは検証を始める。
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