地方創生のチャンス

最近ライフスタイルの変化に応じて引越しを検討しているのだが、それに関連し地方創生について感ずることがあったので、書き留めておきたい。

私はもともと地方出身で大学から上京した身である。
上京した当時、地元で個人事業をしている先輩から「もし地元でビジネスをするとしたら、何をするか」というお題を投げかけられ、大学生なりに真剣に考えていたことがあった。
当時の私から見て、地方はビジネスになるような市場がほぼない(自動車が唯一市場規模として可能性があると考えたが、地域密着したディーラーが多く参入障壁が高く感じた)状態だった。

「市場が小さい」、これを深掘りすると、地方経済圏(都道府県)に出回っているお金の総量自体が少ないのが問題であると考えるようになった。

この考えは今でも変わっておらず、地方創生やビジネスで地元を活発にしたいと思うのであれば、経済圏外からお金を引っ張ってくることが至上命題だと考えている。(この考えが浮かんでから、どの地方自治体も観光課に力を入れ、インバウンドに意識が向くことも当然であると納得するようになった。)

さて、話は変わって引越しである。

冒頭で述べた通り最近引越しを検討しているのだが、改めて物件を見てみると非常に高い。息抜きがてらに地方の物件を見ると、同じ条件で大体1/4くらいの値段でいける。さすがにこれには心が動かずにいられないわけであるが、この地方の土地の安さがアドバンテージになる日が来るのではないかとふと考えた。

アフターコロナで大きく社会のありようが変わった時、東京に住む意味が極端に薄れる可能性があると考えている。
具体的にいうと、アフターコロナで社会のありようが変わるというのは、

①人と人との接触を避ける行動様式が求められる
②バーチャルでの人と人との体験が浸透する(5Gや仮想現実、拡張現実)

の2ステップで、物理的にその場所にいなくても人・場所にアクセスすることが可能になっている状態だ。
東京に住む最大の意味は、どこよりも多く・早く・質の高い情報(それは人や場所からもらえる)にアクセスできることだと考えている。
かなり先の未来になるだろうが、上記社会が実現できればこの最大の意味が崩れてしまう。
つまり、我々は高い家賃を払って東京に住む意味がなくなるのだ。

この時、地方に千載一遇のチャンスが生まれる。
東京と比較した際の相対的家賃の低さを軸とし、移住者にとって魅力的な街のあり方を定義・プロモーションし、人を引っ張って来ることができるか。
彼らが東京(ないし大阪など)の本社からもらったお金を地元消費する仕組みをどれほど構築できるか。

答えの1つとして、日常生活の消費活動に関するサービスを磨きあげることがまず第一で、次に考えるキーワードはリアルコミュニティの工夫ではないかと考えている。

逆説的ではあるが、バーチャルが加速すればするほどリアルでの体験の価値は上がっていく。
自粛期間で実感している方も多いと思うが、外に出て遊ぶ・人に会う、これらは人間の潜在的欲求だ。
この潜在的欲求をどれだけ満たした街づくりができるかが、これからの地方創生のキーワードになっていくのではないか、そう思っている。


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