見出し画像

頭金無しで世田谷にマンションを買ってみる。第3章~購入契約と住宅ローンの世界の入口

最後の内見で条件に合った物件と出合う

 実は購入を決めた物件は不動産会社がリストアップしたものではなく、私がSUUMOで見つけた物件でした。しかし担当者によるとSUUMOに記載の条件をレインズ(不動産会社向けのデータベース)に入れても出てこないとのこと。別の条件で検索してもらうと、最寄駅ではない駅から徒歩25分という登録の仕方がされていました。

画像2

 考えられる理由は、売主の不動産会社が買主の不動産会社経由ではなく、購入希望者が直接問い合わせてくるのを期待しているのではないかということでした。どういうことかというと、通常は売主は売主側の不動産会社Aに仲介手数料を支払い、買主は買主側の不動産会社Bに仲介手数料を支払います。しかし、買主(購入希望者)が売主の不動産会社Aに直接問い合わせると、売買が成立した際に売主・買主両方から仲介手数料が支払われることとなります。これはひと手間で二度おいしい「両手仲介」と呼ばれるもので、利益相反(高く売りたい売主と安く買いたい買主を同じ仲介人が担当することによってお互いの利益が損なわれること)の温床となるため、通常の商取引では起こり得ないことなのですが、なぜか不動産業界では許されています。売主の方には申し訳ないのですが、結果的に競合が少ない状況で冷静に物件に向き合うことができました。

決め手になったこと

 購入した物件は東急大井町線から徒歩3分(実際は5~6分)、築37年の2LDKという条件で、10年前にリフォームされていますが、これまで見てきたような最新の設備を入れたリノベーション物件ではありませんでした。それでも我々夫婦がこの物件を購入しようという意見で一致した決め手は、「立地と価格のバランスがちょうど良かった」ことです。多くの物件をスクリーニングしてみてわかったことは、世田谷区で大井町線から徒歩10分以内という条件では、我々庶民が手に届く物件はほとんど無いということでした。築50年近くの築古か、登記面積50平米に満たない、所有権ではない(借地権)、エレベーターがない、徒歩10分以上・・・どれかひとつでも妥協できるかというと、やはりどれも受け入れられない条件でした。
 そのような前提で内見をしてみると、記載の数値よりも部屋の狭さを感じず、部屋の使用状況も良く保たれていて非常に好感が持てました。部屋は角部屋で日当たりもよく、ベランダの他に専有のバルコニーあるというおまけ付き。さらに細かい点プラス評価だったのは、当時の住人の方がオーダーでブラインドの設置されていたことと二重サッシ化をされていたことでした。エアコンも入れ替えたばかりで、築年数と比較して気密性や遮音性が高く、住むうえでの不都合は少ないのではないかと判断しました。
 ただし、お風呂やキッチンは10年前にリフォームされていて十分きれいなのですが、ちょっと古臭い色合いが趣味に合わないのが気になりました。賃貸であればほとんど気にならない点なのですが、いざ購入となるとさんざんリノベーションされた水回りを見てきたのでどうしても見劣りしてしまいます。その点は価格にも反映されていると考えて、住んでからじっくり自分たちの好みにリフォームしていこうということで目をつむりました。同行してくれた、売主側の不動産会社の方も感じの良い方で安心しました(悪徳不動産屋かと勘ぐってしまいました・・・)。
 内見自体は15分程度でしたが、その日のうちに仮申込み書にサインをし、その一週間後には正式に購入契約書にハンコを押しました。

住宅ローン審査

画像3

 私は以前オートローンの営業をしていたことから、個人信用情報(CIC)と属性(勤務先や勤続年数、年収など)がローン審査に及ぼす影響を理解しているつもりでした。
 ところが不動産会社経由で事前審査を申込んだ3件(auじぶん銀行、イオン銀行、静岡銀行)がいずれも否決。これには私も、クレジットカードの作りすぎか、ブライダルローンが響いているか、そもそも自己資金少なすぎ?などいろいろと考えましたが、事前審査で否決するほどの理由にはならないはず。不動産会社の担当者もさすがに焦ったのか「個人信用情報の照会をしてみては?」と言われました。あ、なるほど、その手があったか。ということで夫婦二人の個人信用情報を取得してみました。

ローン審査を申込む前に

 夫婦の収入合算でローン申込みを検討されている方は、事前に二人のCIC情報を取得することを強くお勧めします。自分のCIC情報開示を勧められたことは、住宅ローンに関して唯一の不動産会社のファインプレーでした。
https://www.cic.co.jp/mydata/pc/index.html


 費用は1000円かかりますが、自分も忘れているような割賦契約やクレジットカード履歴など事細かく記録されています。住宅ローンの事前審査・本審査では、ほぼ間違いなくこの情報が照会されています。

【信用情報開示報告書の見方】
https://www.cic.co.jp/mydata/report/documents/kaijimikata.pdf

盲点

 CICを取得してみると、過去に作ったクレジットカードとその支払い履歴、現在の残高、携帯の割賦までつまびらかにされます。問題がなくてもなかなか恥ずかしいものです。私の記録はクレジットカードの枚数と多少の借入残があるものの、とくに異常なし。

 次に妻のCIC情報をチェック。クレジットカードと…リボ払い?これは良くない。残高少ないから解消しましょう。読み進めると〈個品割賦30万円〉でPとAが連続。こりゃダメだわ。内容を聞いたところ、全身脱毛したときのローンだそう・・・捨て身の脱毛お疲れです。
 それまでは私が契約者で妻が連帯保証人として、夫婦の収入合算でローン申込みをしていました。物件や諸費用、リフォーム費用も含めて5000万円近くで申込みをしていたので、審査を通りやすくするために収入合算という選択は当然だと思います。そして当然二人のCICが照会されるわけです。多めの借入枠取りを画策したことが結果的に仇となりました。
 そこから一気に方針転換。リフォームをあきらめ、私の単独契約で物件価格と諸費用合わせて4100万円で、不動産会社を経由せずローン申込みを始めました。


住宅ローン申込みを不動産会社に委託するメリット・デメリット

 不動産に関する情報、リフォームのレベル感など、やはり物件探しと不動産に関しては彼らはプロです。解説をしてもらいながら内見をして勉強になることがたくさんありました。ただ、住宅ローンに関してはお互いの利益が相反することもありそうです。今回は頭金が少なくリフォーム費用も含めて融資を希望していました。それぐらいは通るものだと思っていたし、彼らもそのような口ぶりでした。不動産会社としてはリフォームも同時にしてくれれば、場合によっては仲介手数料以上に利益が得られる。銀行の審査が通り易いように、妻の収入合算もすすめられました。不動産会社としては高い金額で審査が通れば売上が増える可能性が高まるからです。
 ただし冷静になって考えてみると、この先もずっと妻の収入を見込んでローンを組むことと、二人共が債務者になることは健全ではないと考えるようになりました。結果的には身の丈に合ったローン金額になったのではないかと思います。

次章では、実際に住宅ローンを申込んだ銀行の結果と所感をお伝えしたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?