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データから読み解く 新型コロナのリスクとは

こんにちは。東京iCDCの事務局です。
様々な研究・報道などにより、少しずつ新型コロナのことが分かってきましたが、将来の予防法や治療法の開発のために活用可能なデータとするには、継続的な研究が必要不可欠です。
今回は、東京iCDCの「感染症診療チーム」メンバーである、国立国際医療研究センターの大曲先生に、新型コロナのレジストリ研究(患者の症例等の観察研究)について、お話をお聞きします。

00 大曲先生

―大曲先生、観察研究の概要について教えてください。

はい。国立国際医療研究センターでは、新型コロナにかかった患者の症状や疫学的な動向を明らかにするため、医療機関に入院した患者の症例等を研究しています。今回お話しする内容は、令和2年に集めた入院患者のデータ(全国15,978例、東京都3,646例)に基づいています。

01 概要


―今回の研究では、どのようなことが分かったのでしょうか。

はい。下の図は、患者の持つ特性(背景因子)ごとの「重症化/死亡率」を棒グラフにより、まとめたものです。

02 棒グラフ①

まずは、この棒グラフの見方について。
特性(背景因子)ごとに、棒が2本ありますが、左側は入院時に軽症、右側は重症の方を示しています。色は、その後の入院経過を示し、赤色が「死亡」、緑色が「重症」、青色が「軽症/中等症」を表します。

それを踏まえ、図の全体を見ると、左上にある「併存疾患なし」の場合に比べて、例えば

○「65歳以上」である場合
○「心疾患」や「慢性呼吸器疾患」、「肝疾患」などの基礎疾患がある場合

などは、緑色や赤色の比率が高く、重症化するリスクや死亡するリスクが高い傾向があったことが見て取れます。

もう少し別の特性(背景因子)から見ていくと、少し違った傾向が見えてきます。

03 棒グラフ②


例えば、
○「脳血管疾患」である場合
○「重症腎疾患または透析」である場合
○「固形悪性腫瘍」である場合

などは、2本の棒グラフのうち、「入院時に軽症」の方を表した左側グラフの、赤色・緑色の割合が高いことが見て取れます。

これは、今回の研究では、「脳血管疾患」、「重症腎疾患または透析」、「固形悪性腫瘍」のある方々は、入院時に軽症であっても、重症または死亡に至った割合が高かったことを表しています。


―なるほど、患者の持つ特性(背景因子)による重症化リスクの傾向が、このグラフから読み取れるのですね。

そのとおりです。次は、「若者」という観点から見て行きましょう。

画像5

これは 令和2年12 月 28 日時点での全国における「入院時重症例」の数と、そのうちの「人工呼吸器管理をした患者数」を年齢別にまとめたものです。

赤色で囲った20代、30代について、20代でも酸素が必要になった 方が154例、30代でも酸素が必要なった方が213例ありました。

また、人工呼吸器が必要だった方が20代で8例、30代で18例でありました。
20代、30代の方でも、皆が軽症で済むわけでは決してないということです。


―前回の「コロナ後遺症」と同様に、20代30代であっても、様々なリスクが存在するのですね。

そうです。
今回の研究では、新型コロナの発症前の行動についても調査しました。下の図をご覧ください。

05 行動

これは、東京都における入院患者のうち、新型コロナの発症前の 14 日間以内に、「同居の家族以外の集団(3人以上)で食事をしたか」、「3密と考えられる空間に滞在したか」といったことを聞き取り、年代別にまとめたものです。

結果として、

○15歳から39歳の患者では、男性女性ともに、「飲食」および「3 密」の場に滞在した割合が高かった
○特に15歳から69歳の男性は、「飲食」および「3密」の場に滞在する割合が高かった

ということが見て取れます。さらに、「飲食」および「3密」の場に滞在する割合を、第1波と第2波とで比べたのが下の図になります。

06 行動②

右側の第二波の棒グラフの赤色の幅が、左側の第1波に比べ、横に広くなっていることなどが、お分かりいただけると思います。
つまり、

○第1波に比べて第2波では、発症する前に、「飲食」および「3密」の場にいた割合が高かった

ということが見えてきます。

―このような様々な患者のデータを解析することで、見えてくることがあるのですね。

その通りです。本データは、将来の治療法や新薬などの開発に繋がることが期待されるものであるため、引き続き研究を進めて行きたいと思います。

(詳細については、第31回モニタリング会議の資料をご覧ください。)


今回の内容のほか、観察研究(レジストリ)に関するこれまでの解析結果も以下から確認することができます。ぜひ、あわせてご覧ください。

入院患者データによる重症化リスク等の解析を進めています(その1)
入院患者データによる重症化リスク等の解析を進めています(その2)
入院患者データによる重症化リスク等の解析を進めています(その3)

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東京 i CDCは、感染症に関する政策立案、危機管理、調査・分析、情報収集・発信など、効果的な感染症対策を一体的に担う常設の司令塔として、新たな拠点となるものです。 https://note.com/tokyo_icdc