見出し画像

入院患者データによる重症化リスク等の解析を進めています(その3)

「入院患者データによる重症化リスク等の解析を進めています(その2)」は   こちら

13.入院時無症状者の年齢別男女登録数・併存疾患の
   割合

・次に入院時に無症状だった患者についてですが、全期間を通じて、高齢者
 や乳幼児多いという傾向がありました。

画像3

・入院時の無症状者では、高血圧、糖尿病、高脂血症に加えて、認知症、
 脳血管障害など
の併存が認められました。

画像5

14.入院時無症状者の薬剤投与・呼吸補助治療・喫煙
   の割合

・治療目的での薬剤投与は、ファビピラビル、シクレソニドを中心に使用さ
 れていました。

・治療については、無症状者の 約10% に酸素が投与されていましたが、
 人工呼吸管理に至った症例は認められませんでした。

・しかし、最初に無症状でも悪化して酸素が必要になる患者もいたことがわ
 かります。

画像2

15.おわりに

以上が、これまでの解析の主な結果です。

第2波では第1波と比較して、発症から入院までの時間は短縮しており、
重症度も低下しています。
しかし、第2波であっても入院患者の 17.8% に酸素投与1.6% に人工呼吸器が使用されました。
高齢者で重症化のリスクが高いことはよく知られていますが、30代の若者でも酸素が必要な重篤な肺炎になりうることがわかりました。
また、この疾患は、概ね軽症で終わるとのイメージが持たれていますが、今回の調査では、入院患者の約5人に1名が酸素が必要な重い肺炎を起こす危険な疾患であることがわかりました。

また、全国データの解析では、高齢者に加えて、併存疾患がない症例と比較して、腎機能障害、肝疾患、肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病を有する症例は、入院後に重症化する割合が高い傾向にあることが示されています。
重症化の予防に努めるとともに、症状のある方は早く医療機関に受診するなどして、重症化を防いでいくことが重要と考えられます。

感染症診療チームでは、今後、こうしたデータをもとにさらに踏み込んだ解析を進めていきます。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?