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第1弾【早坂よしひろnote】人種差別・ヘイトスピーチ編

東京五輪の開催を控え、ホストシティーとして、今後ますます多くの外国人の方が訪れることになります。このような状況の中で、東京において、お互いの個性を尊重し、認め合う共生社会を実現していくことは不可欠です。

今回は、その中でも「人種差別・ヘイトスピーチ」について過去の発言をまとめました。

ぜひご一読ください!

(学生スタッフK)

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平成30年/2018-06-22 総務委員会
全文ママで掲載しておりますが、元データをご覧になりたい方はこちらから都議会会議録をご覧ください。

◯早坂委員 ことしは明治百五十年に当たります。今からちょうど百五十年前の明治元年、百五十三人の日本人がハワイに向けて旅立ちました。彼らは元年者と呼ばれ、我が国から外国へ旅立った労働省の先駆けとして知られます。以来、彼らとそれに続く皆さんの努力による成功の評判が高まり、ハワイへの移民は増加。三十二年後の一九〇〇年には六万人を超えました。
 それが第二次世界大戦で一転。敵国となった日本からの移民である一世、そして、出生地主義のアメリカで生まれ、生まれながらにしてアメリカ人である一世の子供である二世は、ともに日本人の血が流れているということで激しい人種差別を受けることになります。ハワイやカリフォルニアに行った日系人は、何ら犯罪行為を行っていないにもかかわらず、強制収容に入れられました。そして、新聞には、ジャップは出ていけという見出しが立ち並んだ歴史があります。
 同じく敵国であったドイツ、イタリアに関しては、同様の措置はとられていないことからも、これが黄色人種への差別であったことがわかります。
 強制収容所に入れられた二世たちは、自分自身がアメリカ生まれで、アメリカにしか住んだことがない生粋のアメリカ人にもかかわらず、なぜ日系人というだけで差別するのかという思いを抱きつつも、それゆえに、自分自身が誰よりも勇敢なアメリカ人であることを証明したいと思う人も多くいました。
 アメリカ軍は、そうした二世たちだけを一まとめにした第四百四十二連隊を組織し、ドイツやイタリアとの戦争で、最も困難な戦地を転々とさせました。有名なテキサス大隊救出作戦では、ドイツ軍に包囲された二百十一人を救うために、第四百四十二連隊の二百十六人が戦死し、六百人が手足を失うという大けがをしたという記録からわかるとおり、二世たちは誰よりも勇敢なアメリカ人として活躍をいたしました。
 ちなみに、直接日本軍と戦わせなかったのは、いつ二世たちが裏切るかもしれないとの危惧を抱いていたからだとされています。
 アメリカでは、戦争で命を失い、あるいは大けがをすると、パープルハート勲章が贈られます。日本語でいえば戦死傷章であります。二世たちで組織された第四百四十二連隊は、その死傷者の多さからパープルハート大隊と称されるようになりました。しかし、それは軍の内部の話であり、市民レベルでは日系人差別の感情は消えないままでありました。
 歴史を振り返ると、外国人に対する無知と恐怖が結びついたとき、このような人種差別が起きるとの見方があります。自国に経済不況があり、ある国と戦争状態になった際、変なものを食べている、見なれないお祈りをしているといった状況が、あいつらが私たちの安全を脅かしている、あいつらが私たちの仕事を奪っているというように拡大解釈され、豊かな平和なときには考えられないような集団ヒステリーを巻き起こし、外国人を排斥したのが世界の歴史であります。
 実際、この日系人差別に対して公式に終止符が打たれたのは、景気も復活し、戦争のおそれもなくなった、はるか後、昭和最後の年である一九八八年、レーガン大統領によってでありました。
 実は、この話には後日談がございます。二〇〇一年九月十一日、アメリカは同時多発テロに見舞われました。ニューヨークの世界貿易センターのツインタワーやワシントンDCのペンタゴンにハイジャックされた航空機が突っ込み、アメリカのみならず、世界中を恐怖に巻き込んだことは記憶に新しいことだと思います。
 ジョージ・ブッシュ大統領は、直ちに国家非常事態を宣言。犯人と目されたイスラム原理主義勢力に対するアメリカ市民の怒りは頂点に達しました。その怒りは、犯人グループだけにとどまることなく、事件に全く関係のないアラブ系やムスリム、例えば、男性なら、頭にターバンを巻き、ひげを生やした人、女性なら、ヒジャブをかぶり、顔だけ出している人全体に及びました。
 当時の運輸長官は、日系人で初めてアメリカの閣僚となったノーマン・ミネタさんです。世論が激しく、航空機に乗る全てのアラブ系やムスリムに対し、格別に厳しいチェックを求めたのに対し、ミネタ長官は、特定の人種だけを対象にしたチェックを行うことを断固として拒否しました。そのかわりに、それまで各航空会社任せだった安全検査を、連邦職員が全ての搭乗者に対して行うことを決定しました。
 このミネタ長官は、かつて強制収容所に入れられた日系二世であります。かつて自分自身が受けた理不尽な人種差別をアメリカ政府は二度と繰り返してはならないとブッシュ大統領に強く迫り、大統領もそれを認めたのであります。
 個人が、とりわけ政治家が、熱狂する世論と真っ向から反対する意見を述べ続けることには大変な勇気が必要です。そのことをやり通したミネタ長官、ご存命の方でありますが、心から敬意を表したいと思います。
 今日の我が国におけるヘイトスピーチに関する議論は、国内において、特定の人種や国籍に対して行ってはならないとされています。これまで見てきたように、私たち日本人は、外国に出れば、黄色人種だということで理不尽な差別を受け、その偏見と闘ってきた歴史を持っています。今日の東京あるいは日本からは考えにくいことでありますが、さきに述べたとおり、今後、相手国で経済状況や戦争状態などの条件が重なれば、再び私たち日本人が外国で黄色人種だということで差別を受ける可能性は否定できないだろうと私は考えます。
 ここで、一つ指摘しておきたいことがあります。
 都内における我ら日本人に対するヘイトスピーチも、野方図であってよいわけがありません。しかしながら、この部分は、なぜかこの条例案概要からは欠落していることを指摘しておきたいと思います。これはとても重要な部分だと私は考えます。他人にされて嫌なことは他人にしてはならない。当然のことであります。
 そこで、ヘイトスピーチに関する東京都の見解について伺います。

◯仁田山人権部長 東京二〇二〇大会の開催を控え、ホストシティーとして、今後ますます多くの外国人の方が訪れることになります。このような状況の中で、東京において、お互いの個性を尊重し、認め合う共生社会を実現していくことは不可欠でございます。
 特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは、品格ある国際都市東京としてあってはならず、許されるものではございません。ホストシティーとして、ヘイトスピーチ解消法を具体化するため必要な取り組みを条例で示す中で、ヘイトスピーチが決して許されるものではないことを発信してまいります。

◯早坂委員 アメリカのロサンゼルスには、今申し上げた、アメリカに渡った日本人の苦難の歴史をまとめた全米日系人博物館があります。そして、そのすぐ隣には、リトル東京あるいは西本願寺、高野山のロサンゼルス別院なども建ち並んでいます。ちなみに、ロサンゼルスは二〇二八年大会の開催地であります。今後、東京都は、ロサンゼルスとの関係を持つ際に、このことをよく意識しておくべきであります。
 ヘイトスピーチの規制は、憲法の定める表現の自由と密接にかかわります。こうした重要な問題を短い時間に誰がどう判断するのか、ヘイトスピーチ規制に対する東京都の体制について伺います。

◯仁田山人権部長 都は、ヘイトスピーチ対策として、公の施設の利用制限や不当な差別的言動の拡散防止措置等を検討しておりますが、何がヘイトスピーチなのかを認定することが容易でない場合もございますことから、表現の自由への配慮は不可欠と考えております。
 そのため、都としては、条例施行後、学識経験者等で構成する第三者機関を設置いたします。公の施設の利用制限や不当な差別的言動の拡散防止措置等に当たっては、知事の諮問に基づいて第三者機関が調査審議、意見陳述を行うことで、表現の自由などを不当に侵害しないよう、公正公平かつ中立的に制度を運用してまいります。

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東京都議会議員・早坂よしひろ 公式HPはこちら

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