見出し画像

個人の好きをブランドにする“はじめの一歩”Vol.5

今回も前回の記事に引き続き、個人が“自分の好きなこと”でブランドをつくるときにまず最初に考えておくべきことについて話をしたいと思います。

今回は、『それはD2Cブランドではない』というテーマで話していきたいと思います。

最近ではもはやブランドづくりのトレンドワードとなった「D2C」。最近では、「自分もD2Cブランドをつくりたい」や「あなたのD2Cブランドづくりをサポートします」という話を聞くこともしばしばです。

しかし、よくよく話を中身を聞いてみると、それは「D2Cブランド」なのか?と思うことがほとんどです。たいていの場合、「大手メーカーでない小規模な組織や個人がブランド力を活かして、ECメインのビジネスをすること」という意味合いだけで、D2Cを語っているからです。

「ブランド力が大切なこと」「ECメインのビジネスであること」は、確かにD2Cブランドの特徴としてのひとつの側面ではあるものの、そこに本質はありません。そして、その本質を知った上で、自分のブランドづくりを考え始めることが非常に大切であるというのが今回の話です。

D2Cの本質

では、どこにD2Cのブランドづくりの本質はあるかというと、WWDの記事が分かりやすかったのでここに引用すると

顧客と直接つながることで大量に流れ込んでくるデータを解析し、インターネットサービスを作るようなマインドセットでフィジカルなモノ作り(ブランド構築)に挑む

とあります。

ECメインでビジネスをすることは、流通ネットワークを持たない小規模なブランドが市場に参入するハードルを下げられたり、卸しで発生する中間マージンのコストを抑えられるといった“分かりやすいメリット“が目立っていますが、実は本質はそこにはありません。

本質は、ECを通じて“オンラインで顧客と直接つながる”ことで顧客一人一人の情報をブランドが管理できて、それを次のマーケティングに活用できるというところにあります。

つまり、顧客データを管理してマーケティング活用できていないブランドは本当の意味のD2Cブランドとは言えないということです。ここが今回の一番大事な話になります。

では、次は「活用するとはどうすることか?」という話になると思います。これにはいくつか方向性があると思います。

活用1:商品の提案方法の最適化

ユーザーに提案する商品の種類やタイミングを最適化するために顧客データを活用します。コミュニケーションの最適化とも言えます。

製品の購入状況や利用状況などの“顧客データ”からユーザーの行動を分析し、それを元にユーザーがもっとも欲しいタイミングに欲しい製品を“差し伸べる”ということです。

必要となる顧客データは、顧客それぞれの購入履歴や利用履歴などの定量的なものが主になりますし、

差し伸べる方法としては、製品を送付したり、DMなどで案内を送るなどの仕組みを考える必要があります。

ここで大切なことは、ユーザーにとってノイズにならない気の利いた提案ができているかということです。このあたりのユーザーの反応もフィードバックしながら完全していくことが大切です。

この他にも、WEBサイトやSNSなどの各タッチポイントメディアのUIやメッセージもデータ分析を元にコミュニケーションを最適化していくことも大切です。

活用2:商品自体のアップデート

D2Cブランドの重要な考え方のひとつとして、製品やサービスを常に進化させ続けることで継続的な顧客満足をつくるという点があります。それは、UIなどをマイナーアップデートしつづけるデジタルサービスのイメージに近いです。

ユーザーのニーズや世の中の変化を踏まえながら製品を柔軟にアップデートすることで、マスブランドには提供できない価値をユーザーに提供し続けられる。それがD2Cブランドの強みです。

逆に、この強みを生かさない限りは、マスブランドに負けないブランド力をつくることは難しいです。(自身がよっぽど影響力のあるインフルエンサーであるか、そういう人物を起用できる場合は別かもしれませんが)

だから、ユーザーの具体的な要望や潜在ニーズを引き出し、それを製品自体にも常にフィードバックしていくことが大切なのです。

必要となる顧客データは、定量的な物だけでなく、ユーザーの生の声など定性的な物も大切です。そのために、必要となるのはユーザーとの『対話』の仕組みづくりです。

LINEで会話するようにブランドとユーザーが対話ができるチャットのようなシステムや、ユーザーと直接会うことができるワークショップイベントなどもひとつの手かもしれません。

ここで大切なことは、その対話が「できるだけリアルタイム」で「温度感が感じられる」ことです。返信が遅かったり、自動返信のようなシステムでは“対話”とは言えません。ブランドと顧客が本当の意味で信頼関係を築くことができる仕組みづくりが大切です

まとめ

D2Cブランドは、一人一人の顧客データを収集&分析して、マーケティングに活用することが必要である。
活用1:商品提案方法の最適化
活用2:商品自体のアップデート

以上が、「D2Cブランドをつくる」ということを意識するときに理解しておかなければならない大前提です。これはあくまでもマーケティング上の大前提であって、魅力的で強いブランドをつくるためにはもっと様々な視点と手法が必要になります。

このあたりの“つくり方”の詳しい手順についてはBrand Recipe(ブランド・レシピ)の方で体系的に説明していくので、詳しく知りたい方はそちらもチェックしてみてください。

また、質問相談等にも可能な限りお応えさせていただきますので、ぜひご連絡ください。よろしくお願いします。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?