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新宿区の独自文化に基づく取組とは?~新宿区CIO×都CIO座談会②~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。今回は、マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第17回は、「新宿区CIO×都CIO座談会」をお届けします!

※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

※この記事は全2回でお届けします。前半はこちら

令和3年11月16日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第17回座談会」として新宿区CIOと都CIOの対談を実施しました。

参加者(敬称略)
新宿区CIO:新宿区副区長 寺田 好孝
新宿区情報システム課長:岩田 弘雄
新宿区情報システム課課長補佐:村田 新
都CIO:宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔
都デジタルサービス局戦略部戦略課長:小澤 洋之

人材育成のカルチャー

長期間に渡る研修

都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
自治体間で共同化できるものの一つとして、研修や人材育成を考えております。先ほどのお話から、新宿区様では人材育成を研究されていることと思います。人材育成を今どういうふうに考えてらっしゃるか、どのレベルのスキルまで育てたいのか等について教えてもらえますでしょうか。

新宿区情報システム課課長補佐:村田:(以下「村田」)
新宿区は、基幹業務システムを内製で運営しております。これがガバメントクラウドにより標準化されてオープン化するとなると、これからは今の仕組みに代わる別のツールを自分たちでマネジメントし、データを利活用するスキルが求められてくると認識しております。

宮坂:
こういったメニューを作りたい、年間何十時間ぐらいは研修したい等、具体的なイメージがもしあるようだったら教えて欲しいです。

村田:
私どもの課に異動してきて、研修を2ヶ月から3ヶ月やったうえで業務につくという流れがあります。やはり同じくツールの使い方についても、1、2ヶ月は最低限必要なのかなと認識しております。

宮坂:
わかりました。そうやって中で覚えて運用されるというのは、素晴らしいカルチャーですよね!
ガバメントクラウドに移行した後もぜひ続けられるといいですね。

新宿区CIO:新宿区副区長 寺田 好孝(以下「寺田」):
人材育成に関してですが、何か共同化を図る際に、職員の意識に統一感がないと、そこにコストをかけるうえで、なかなか難しい点が出てきてしまうのかなと思います。そういう部分では先ほど研修というようなお話も出ていましたが、東京都さんのところで好事例などを共有していただき、情報部門以外の職員の育成が必要だと感じています。

宮坂:
おっしゃる通りですね!参考になります。

文化に基づくツールの標準化

宮坂:
先ほどツールの使い方というお話がありましたが、新宿区様で何か導入しようとしているツールはあるのでしょうか。

村田:
今はローコード開発ツールをいくつか選定しております。例えばRPA ツールのような、フロー制御しながらバッチ処理もでき、帳票をプリントできるようなツールをいくつか試しています。

宮坂:
RPAはどこの自治体さんもすごく認知が高いですね。やはりRPAが一番実践的で利用頻度の高いサービスという認識でしょうか。

村田:
大量一括反復処理はどこにでもあり、職員の負荷がかかっているという事例は多いです。それを掘り出して単純化するというようなことをやっていますね。

宮坂:
RPAに関する研修はやっていらっしゃいますか。

村田:
技術的なRPAの作り込みは情報システム部門がやっています。業務改善や、業務の見える化は、行政管理課・業務主管部門という役割分担で、3者で上手く回すようにしています。

宮坂:
まず手前で業務改善をやった後に、RPA部分を皆さんの情報システム部門で実際作ってらっしゃるという役割分担なんですね。

村田:
そうなります。

宮坂:
すごいですね!RPAは特定の製品を使用する等決めてらっしゃるんですか。

村田:
そうですね。今標準のRPAツールを指定しようとしているところです。

宮坂:
標準ツールというのは、いいコンセプトだと思います。RPAツール以外でも、いくつか区の標準ツールは決めてらっしゃるんですか。

村田:
はい。COBOLがもともと標準言語だったので、同じように、区の中でツールが乱立しないように、標準化をしながら共有しながら進めるというのは新宿区の文化ですね。

宮坂:
都庁はちょっと乱立しかかっているので(笑)何とか標準化しようとしているんですよ。参考になります!
標準ツールの選定は、導入コストや職員の学習コストも下がり、メリットが多いと思います。みんなが納得するものを選定しないといけないので、選定プロセスは難しいですよね。我々もどう選定しようかと今悩んでいるところなんですが、新宿区様で実施している事例があれば教えていただけますでしょうか。

村田:
あまり細かすぎるツールは職員向けではないと思っています。かといってあまり広く浅すぎても、柔軟性がなかったり、応用ができなかったりしますので、ちょうどいいところに落ちるようなツールがないか検討しています。例えば今検討しているRPAツールは、操作性、視認性が優れています。一方で、データ操作や条件分岐も一番応用がききます。他のツールですとユーザーサイドに寄ってしまい、途中で実行が止まってしまう、エラートラップが難しいといったツールが多いです。このような観点でツールを選定しています。

宮坂:
皆さんの部署の中で、例えばRPAだったらこういうツールがあるよねということを調べてきて、実際に試してみたり、ベンダーさんに話を聞いてもらって評価して、皆さんの中で選定していくというプロセスになっているんですか。

村田:
そうですね。

宮坂:
それはいいですね!基本的に標準ツールを必ず使いましょうというガバナンスをかけてやってらっしゃるんですね。参考になります。

業務のシステム化への取組について

都デジタルサービス局戦略部長:深井(以下「深井」)
新宿区様は、都で実施している区市町村の行政手続デジタル化モデル事業に手を挙げていただいておりましてありがとうございます。現場の職員の方をどういうふうデジタル化・システム化に繋げていくか、何かありましたらお聞かせいただけますでしょうか。

寺田:
意識の高いところはそれなりに分析などもして、プログラミング言語なども個人で学習しながら辿り着こうとしているセクションもある中で、全体としての嵩上げをどう図っていくのかというのも、やはり大きな課題だと考えております。

深井:
新宿区様でやらせていただいているモデルは、他の区市町村も参考になるのかなと思っています。これから進めていく途中だとは思いますが、課題やうまくいったところ等を情報共有していければと思いますので、すみませんがよろしくお願いします。

寺田:
こちらこそよろしくお願いします。

―お時間も来たようですので、今回の座談会はこれで終了します。
貴重なお時間いただきありがとうございました!

本取組については、今後も継続して実施する予定です。次回もお楽しみに!

執筆者:福本 幸玲(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)

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