山と街をつなぐ人【チェンソーズ people #2】
2013年5月、東京チェンソーズで初となる女性社員が入社しました。当時29歳、大塚潤子。その後結婚して苗字が変わり、今では男の子2人の母親でもある飯塚潤子です。
彼女の入社までの流れは本人のnote記事にてお楽しみください。
入社以降、東大卒の女性のきこりということで様々なメディアでもご紹介いただいてきましたが、入社から10年経過し、改めて想いを聞いてみました。
まずはプロフィールです。
いつものnote記事は木田(他称:広報おじさん)が書くのですが、今回は広報チームということもあり、本人がすべて書いております。ちなみに広報おじさんと呼んでいるのは私だけです。仲良しの証拠です。
現場の醍醐味①〜山仕事編
入社して第一子妊娠するまでの3年弱は、山にも入っていました。
当時は檜原村の隣、武蔵五日市に住んでいました。日々のルーティーンは以下の通り。
真夏はサマータイムだったり、例外もありますが、だいたいこんな感じ。
3年弱の間に、植え付け、下刈り、枝打ち、大刈り、間伐、搬出伐採(の超一部)、歩道作り、鹿柵設置、保安林看板設置、雪起こしなどを経験しました。
一年目の様子は新人ブログ「チェンソーズon the hill」にも記録していますが、それまで都会の満員電車通勤で残業が当たり前の、フツーのOL暮らしをしていた私にとっては、とにかく↑のようなシンプルな生活をすることがとんでもなく贅沢で幸せだなと感じました。
それぞれの作業はもちろん給料をもらってプロとしてやる以上、安全・質・効率を考えてやらなければいけないから簡単ではない。機械の扱いも知らないといけない、身体の使い方も習得しないといけない、道具と技を磨き、経験を積んで少しずつきこりとして一人前になってゆくんだと思います。(そういう意味では私はまだまだきこりになりきれなかったというコンプレックスがあります…)
それでも、10年先、50年先、100年先を考えながら自然の中で作業をすることは林業ならではの面白さです。怪我のリスクはある。収入の低さもある。伸びしろしか無い分、挑戦のしがいはある。なんというか、そこに挑戦するロマンのようなものを悦びと感じられる人にはとてもやりがいのある仕事なんじゃないかなと思います。
現場の醍醐味②〜イベント業務編
私の入社前から東京チェンソーズではツリークライミングという子供向けのイベントプログラムを実施していました。入社後、たまたま村役場から「檜原村産の薪をPRするイベントを考えて欲しい」と打診をいただき、ゼロから企画・運営したのが「ひのはら薪フェス」。
(↑私の育休中、他メンバーが代わりに担当したらデイリーポータルZが取材に来た・・この振り切り方、羨ましい!!!)
そこから紆余曲折あり、今では「森デリバリー」という出張型木工ワークショップがチェンソーズのイベントの柱として、しっかり事業化できています。子育てど真ん中でなかなか土日仕事ができず、歯痒い思いもありました(現在進行形…)が、なにしろたくさんの人に「楽しそう」を入り口に林業のこと、チェンソーズのことを知ってもらえる”イベント”という仕事は、とてもやりがいがあります。
保育園や幼稚園、小学校でのお仕事では、親としての経験を少しは活かせるかなと思っています。「木育」や「環境教育」にご興味おありの方はぜひお気軽にお問い合わせください^^
また、毎月第2土曜には檜原村のおもちゃ工房で「6歳になったら机を作ろう」というイベントも開催しています。
こちらは1回につき4組限定で、少人数で楽しくやらせていただいています。
現場の醍醐味③〜企画・営業・販売編
「自社で伐採、搬出した木材に付加価値を付ける」というミッションのもと、これまで様々なチャレンジをしてきました。
もともと私は大学で森林を学んでいたのですが、当時からの問題意識として、「森や環境が大事なのはわかるけど自分がなにをしたらいいかわからない」というのがあると思っていて。
「林業という職業に就く」はなかなかハードルが高い選択肢だとは思いますが、ALL国産の木の家を建てる、とかでもまだまだハードルは高いですよね。
では、例えば
・子供が生まれた記念に植樹する
・森林認証材を選ぶようにする
・林業体験ツアーに参加する
・国産の木を使った家具や小物を使う
・国産の木からできたアロマを楽しむ
・友達へのプレゼントに国産の木のおもちゃを買う
・木工ワークショップを体験して森の話を聞く
・お気に入りのお店で売っていたオシャレなものが東京の木で出来ていたので購入の決め手になった
とかはどうでしょうか?ちなみに当社では売上の100%が東京の森づくりに活かされる「山男のガチャ」プランもご用意しております。「山男のガチャ」は2021年度の「ウッドデザイン賞」を受賞しました!
(↑林野庁のBUZZ MAFFチームが取材に来てくれました〜)
こんなふうに、いろんな立場のいろんな人が、無理なく楽しく自然と、日本の森にイイコトに関われるような仕組み、仕掛けを作っていけるのが、私にとっての企画・販売の仕事の醍醐味です。
最終的にたくさんの人を巻き込むには、「いいなと思ったものがたまたま国産の木でできていた」というマーケットインの製品を増やすことと同時に、ヨーロッパのように「環境にいいものを選ぶことが当たり前」といった気運醸成の両輪が必要なんだと思います。そういう意味ではSDGsというキーワードが一定の波を生み出しているのは間違いないし、国などの制度設計が必要な部分もあると思います。
もちろん私たちも弊社だけではなかなかやり切れないところを、たくさんの外部の方のお力添えをいただいています。本当にいつもありがとうございます!!!
現場の醍醐味④〜広報編
林業における広報の大事さは常々感じているところではありますが、ここではチェンソーズで広報をしていて嬉しかったビッグ2をお伝えします。
その1 阿部夫妻に会えた
チェンソーズ入社前の一年間は全国出張の多い仕事で、飛行機はもっぱらANA、機内紙「翼の王国」の中の「おべんとうの時間」を読むのが出張の楽しみのひとつでした。サラメシもずっと好きな番組だったし、阿部夫妻にはずっと憧れておりました・・・
その想いはひっそりかつての社員ブログにもしたためていました。
取材でお越しいただいた際には記念写真を撮らせてもらい、なんとその後某SNSでおともだちにもなってくださり!!文章から滲み出るお人柄そのままなんです。また取材に来ていただけるよう、お仕事がんばります!!
その2 NHK Eテレ「あおきいろ」にチェンソーズ登場
2016年に第一子出産後、育児というものを完全になめていた私は、若干産後うつのような時期もありました。。それまで自分のペースで好きなだけ仕事をしていた私にとって、もの言わぬ赤ん坊と2人っきりで社会から切り離される感覚は、「孤育て」という言葉に表される、且つ貴重なかわいい時期に心から可愛がれなかったのではないかという後悔とともに、今でも涙腺がゆるむような、そんな体験でした。
そういう女性は日本全国たくさんいると思うのですが(パパもいるかもしれないですね)、そんな親御さんの心強い味方のひとつであるのがEテレであると、私は思います。歯磨きやお着替えなどの「やってほしいこと」を「楽しくやれる」ように仕向けてくださる。。そして一流の人たちが出演するハイクオリティコンテンツ。。いや本当にすごいんですよ。Eテレなら見せてもいいっていう圧倒的安心感もあるし、大人も十分楽しめる内容です。
前置きが長くなりましたが、そんなEテレに”「共に生きる」きもちを育む”「あおきいろ」という、とっても素敵な番組があります。
その2024年4月からの新コーナー「ミドリーズのSDGsたんけん」の映えある第一回で、なんと東京チェンソーズの「1本まるごと」の取り組みを取り上げてくださいました!嬉!!
問合せがあった時点で前のめりに手を挙げ、ロケ日までにディレクターの方と何度も調整を重ね、当日は元気で可愛いミドリーズのみんなに癒され、4/4のオンエア当日は朝からソワソワしていました。
子役って、すごいですね。ちゃんとプロ。青木が噛みまくってすみませんでした!
コーナー自体はたったの3分ですが、番組の冒頭、ミドリーズ二期生が「ツバメ」を踊り歌う時点ですでに親の気持ちになってしまって感無量、、それからずっと私の頭の中ではツバメがエンドレスで流れています笑
今後の放映予定はこちら。
・2024年4月10日(水)8:25〜8:35
・2024年4月18日(木)7:00〜7:10
・2024年4月24日(水)8:25〜8:35
NHKプラスでも見逃し配信があるそうです。よろしければぜひご覧ください!
その3、その4と続いてゆけるよう、広報の仕事もがんばります。個人noteもさぼりがちなのでがんばりますm(__)m
こんなふうに事業が多岐に渡るキメラ的な東京チェンソーズに揉まれ、あっという間に10年が経ったなあという印象です。
楽しいことばかりでなく、現場での労災や社員数が増えた故のバックヤード業務の整備など、ここでは書き切れない色々なことがありました。
入社して2年目の春に植えた檜原村の入り口の山の、桜やツツジの花が咲くたび、当時の気持ちを思い出します。これからの10年、どうなっていくかはまったくわかりませんが、さまざまな事業を通して、いろんな人に関わってもらうことと同時に、「木っていいなあ」という漠然とした気持ちを1人でも多くの人に洗脳してゆけたらと思っています。