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私は世間知らずの「元教員」?

私の前職は教員です。教員時代に転職を考え、インターネットで情報を集めているといくつかのサイトで、「教員は社会人としてのスキルが低いという評価をされることがある」「教員は特殊な職業で世間知らずだという認識がある」というまとめを見ました。

そんなこともあり、実際に教員をやめて新しい仕事を始めるとき、これまでの経験は何にも役に立たないかもしれないという不安を抱えていました。また、周りからも教員だった自分は使えない人材だと思われるのではないかという思いもありました。そんな中、新しい環境で働き始めた私でしたが、思っていたより、元教員というのは自分の足を引っ張るものではありませんでした。逆に、自分の立ち振る舞い次第では強みにもなり得ると感じています。

教員時代、私は子どもたちと信頼関係を築くことを1番大切にしてきました。それは、信頼していない人の言葉は伝わらないと思うからです。信頼しているからこそ、励ましの言葉も叱責の言葉も相手の心に届くように感じます。だからこそ、子どもたちに信頼してもらうことから始めていました。しかし、信頼関係は一朝一夕には築けません。毎日、一人ひとりの様子を見て、声をかけたり、相手の話を聞いたりと相手が心地よいと思う関わりを積み重ねていくことが必要です。そうして少しずつ築いた信頼関係の上で、指導をする。これが、私が教員時代に身につけたスキルです。

一般職について、このスキルは教員以外でも使える事に気付きました。職場内や取引先の人と関係を築くときにも信頼関係は大切です。教員時代に、毎日35人の子どもたちとコミュニケーションを取り、相手の様子を観察していた私にとって、職場や取引先の大人に対して同じことをするのは難しいことではありませんでした。毎日、相手の様子を見て、相手が心地よい関わりができるように心遣いをする。これを毎日続けることで、信頼してもらい、職場で仕事を任されたり、相談されたりすることが増えました。取引先の方には名前を覚えてもらい、新しい仕事を受けることも出てきました。さらに、興味のあった分野の仕事を「あなたになら任せられる」と紹介してもらい、挑戦する機会を得ることができました。相手との信頼関係ができると、「元教員」という肩書きは、信頼度をさらに深める要因になってくれました。「ああ、先生だったからか」という言葉をポジティブな意味で使ってもらうことが多くなりました。

この経験から、自分が教員時代に身につけたスキルを、今後どのように生かしていけそうか、それまでより具体的に想像することができるようになりました。例えば、教員は毎日の授業を行う傍ら、それぞれ任された事務仕事や行事の準備を同時に行います。そんな日々を過ごしてきた私は、様々な作業に優先順序を付けて、滞りなく仕事を行うことができると思います。このように、冷静に自分が行ってきた仕事を見つめて、自分には何ができるのか、今の仕事やこれからの人生にどのように生かしていけるのかを考えることが必要だと気付きました。

「一般企業で使えない元教員」とまとめられるのではなく、教員として身につけた武器がある「私」として闘うことができるのだと自信を持つことができました。これは、新しい環境に挑戦しようとするとき、誰にでも当てはまるのかもしれません。これまでの自分に過剰に自信を持ちすぎず、持たなすぎず、冷静に自分の能力を分析することが、「これからの私」の可能性を伸ばす近道になると感じています。

Written by ISHI

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