傷だらけの、文学 2.  「バカで成れず利口でも成れず、中途半端じゃ、なお成れず」



 * 昔気質の巨匠はいった。 
《好きで文章を書いていけるのに金儲けしようなんて。オテントウ様の下で働いていらっしゃる人様の、半分の生活でじゅうぶんじゃねえか。感謝の気持ちを忘れちゃいけねえ》


昔は小説家に弟子入りして修行に励んだ時代が過ぎたら、
出版社を抱え込んで、
文芸好きなエリート大学出身が派閥をつくって
同好雑誌で大手を振るい、
いまも昔もハンディをもらって
文学活動をスタートさせてもらっているのに
なぜか先輩たちのハングリーさがないのは、
明治維新の偉人たちの子どもや孫たちに対する対抗意識とか、
世界大戦でマイナスイオンを浴びて帰ってきた学生たち
の飢渇感の問題だけではないだろう



あたかもいまの芸人がまねして
昔の弟子入りから
養成所仕込みやプロダクション仕込みで、テレビ局の営業回りして
しんどくて手間がかかる話芸よりも
いつの間にか楽な金儲けに走って
ひな壇芸人をチョチョイと冷やかす司会やって
お母さん相手の朝昼のキャスターでは当たりさわりなく笑顔で原稿読んで

あたかも作家が文学作品より売れる
耳あたりのいいマーケティングな作品ばかりねらうように
話芸より高感度ねらいに走って
視聴数稼げばお金が入り、社会的知名度も上がり、お母さんや子どもから憧れられて、アイドルとも仲良くなれる

でも彼らは知っていた
感じているだろう
確固たる芸を持たないで、
世間さまに頼る、
あなた任せの人気稼業
スキャンダルがあったら即刻オジャン
建前好きでしゃべる大衆、
それを気にするシーエム各社、
またそれに頼るテレビ各局のサラリーマン重役の進退など
刹那的な虚しさを人一倍感じているだろう


政治のように
戦前の過激闘争、学生運動
戦後の全学連、全共闘ならびに過激派たちのように
そんな深刻に日本のことを考えてなくても
それより大学に行くのはじぶんの生活が一番だし
そんなことしなくたって世の中変わることなくて
アメリカがバックについているから、
思いやり予算という用心棒のミカジメ料払って、
逆らわなければ、いまのところチャラチャラして生きていける

それにも似て文学業界を見てみれば、さもありなん
文学好きなら、
いい大学出ているのに
なんで今さら危険な賭けまでして作家になる必要があるの
いつまで書けるかわからないのに、
いつまで人気があって文章を載せてもらえるかもわからない
むしろ勉強して学者になったり、
いい大学出てたら出版社にも入れそうだし
それに世間さまには通りがよく
大手だと、他とは多少いいサラリーもらってボーナスも入る
もっとも最近では昔とちがって、
社会的知名度も上がっているから、
外ヅラをはらないで
イザというとき、会社を助けてくれる
才能ある人材を求めているようだ

テレビ局とよく似ているみたい
廃れていく過程もよく似ている


どこも大変
でもほんとうに家柄や学歴なしで才能が求められるし、
才能がなければ生き残れて行けないところに
突入してきたって感じだ
ほんとうに危機感があるところは、
外見よりじっさいの実力が問われるし、
崩壊したら、
体制や会社組織も見栄も、何の意味もない
またイチから始まるばかりだ





























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