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冬の花火


「寒い〜!」『え、寒すぎ意味わかんない』
そんな風に文句を言いながら、何の面白いこともないのにお腹を抱えるほど笑いながら帰ったのはいつだっただろう

あの日帰りに寄ったコンビニで、どこにあったのか半額になった花火を見つけてしまった君が
なにか企むみたいににこにこしながらそれを買う姿がとても愛おしかった

「なんで寒いのに花火なの〜!」と怒ったふりをする私に『ごめんごめん』そう笑いながら花火と自分の使っていたカイロを渡してくれる君の横顔は
冷えた空気に晒されて、どこか、切ない

パチパチきらきらと輝く花火に照らされた君があまりにも綺麗で、今にも消えてしまいそうで、突然泣きたくなってしまうしどうしようもなく涙がぽろぽろとこぼれるのを私は「煙のせいだから」って誤魔化すことしかできなかった

あの時なにを思ってたの
あの花火が最後の思い出になること
ほんとはどこかで分かってたの

君は誰よりも人の気持ちに敏感で優しいから、そんな私をぎゅっと抱きしめて『ここいるよ。大丈夫。そろそろ帰ろっか。』って背中をさすってくれたけれど本当に泣きたいのは君の方だったんだね

季節は1年でまた同じところに戻ってくる
春が来て夏が過ぎ秋が終わりを迎えればちゃんと冬もやってくるのに、どうして君は巡ってこないんだろう
孤独でも悲しくても1日は24時間で世界は回り続けるのに、どうして君に会えないんだろう

今日は雪が降りました
どこかで君も見てますか

コートを着てマフラーをきつめに結びカイロを持ってコンビニへ向かう


君と見つけた冬の花火を探しに



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