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憲法無効論は国体連続の歴史を否定する観念論である

竹田恒泰氏と無効論について居酒屋で語ったことがあります。

1 無効論は8月革命説のネガである。
2 無効論は8月革命説を強化する役を演じている。
3 無効論は国体連続の歴史を否定する観念論である。
以上の3点は、そのとき彼と合致した意見でした。

竹田恒泰氏が著書のなかで無効論について書いている箇所がありましたので掲示しておきます。

PHP新書『日本人はいつ日本が好きになったのか』2013年10月初版第1刷発行。p123~124
「ここで 、保守言論界でいまだに根強い人気がある「憲法無効説」について付言しておきたい。「憲法無効説」は、その論理が「8月革命説」と同じなの同じ根拠で否定される。そのため、ここでは「無効」の部分について検討しておく。
「憲法無効説」は、帝国憲法から日本国憲法への改正の手続きが違法であると説く。そして、違法であるがゆえに、日本国憲法は無効であるとする。
もっともな論理に見えるが、次のような理由で完全に否定される。
確かに、違法な手続きで成立した法律は無効であることに異論はない。違法な手続きを経た契約が無効であることも同様だ。しかし、それは法律や契約についていえることであって、憲法に関しては別である。憲法については、いかなる手続き上の瑕疵や違法性があっても、憲法自体を無効とする法理は存在しない。
なぜなら、いま世界に存在している憲法のほとんどは違法な手続きに基づいて成立したものであって、そもそも憲法は戦争や動乱や革命のなかで、短期間のうちに書き上げられるものだからである。およそ、合法的に成立した憲法などほとんどないといってよい。安定した社会で平穏裏に合法的に成立した憲法といえば、明治22年に発布された大日本帝国憲法くらいではないか。
もし憲法成立の手続きに瑕疵や違法性があることを理由に、その憲法が無効であるとしたら、およそ世界中の憲法のほとんどは無効になってしまう。アメリカ合衆国憲法、中華人民共和国憲法、フランス共和国憲法然りである。
したがって、仮に日本国憲法が、占領軍が違法な手段で押しつけた憲法であっても、たった7日間で書き上げられたものであっても、それが憲法無効の理由にはならない。憲法は存在している時点で、すでに憲法として有効なのである。」

■ 私が示した論拠とは異なるし、俄かに賛同し難いところもありますが、これもまた一つの正論です。少し衒学的に過ぎるけらいもあって私は否定の論拠として挙げていませんでしたが、これはこれで1つの立派な反論です。

無効論を支持して輿論を変えようと企画する者は、すべからくこれに対する反論も用意しておかなければならないことになります。
(H29/08/06)

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