【阪神2位】159km/h右腕「椎葉剛」を知るにはまずこれを読め!
椎葉剛 プロフィール
最速159km/hの火の玉ストレートで打者を圧倒する剛腕ピッチャー。社会人野球ミキハウスには3年間在籍するも、試合出場はわずか。春先に入団した時点では最速148km/hであり、1年間で最高球速を11km/h更新した。世代は今年の大卒世代と同じで、数多い同世代の好投手たちと比べても引けを取らない力強い直球が最大の魅力。プレイヤータイプとしては誰しもがその直球に憧れた藤川球児投手、同じ独立リーグというスタートから侍ジャパンにまで駆け上がった阪神の湯浅京己投手をイメージする。
椎葉の剛腕投手としての注目度を一躍高めたのは6月24日の愛媛MP戦。この登板で自己最速を大幅に更新する最速157km/hを計測し、話題になった。この登板ではチームメイトのロドルフォ・マルティネスも最速164km/hを計測した。
成績&データ
今季の椎葉の成績をまとめたものがこちら。「被打率.150」や「奪三振率11.77」といった数値からもまともに打者に打たせていない圧巻の1年間が伺える。単純な比較にはならないが、イメージを掴むなら今季のロッテ佐々木朗希投手は「被打率.161」であり、今シーズンの椎葉の成績はそれを上回るレベルの数値。また奪三振率では中日の守護神ライデル・マルティネス投手の「11.96」などが近い数値と言えそう。
ゾーン別被打率(左右別)
被打率が非常に低く、左右別に比較しても大きく差は見受けられない。自信をもって、打者の左右に影響されることなくボールを投げ込めている。左右ともに高めのゾーンを弾き返させていない。左打者に対しては低めのコースで勝負できており、右打者に対しては外角低めで三振を多く奪っている様子がわかる。
塁状況別成績
塁状況別に成績を見てみると、得点圏でも動じず多くの三振を奪ってピンチを切り抜けてきたことが伺える。得点圏で打たれたヒットはわずか4本。
球種構成
球種構成を見てみると2/3以上がストレートという内容。圧倒的な直球が椎葉のピッチングを支えていた。もちろん相手打者もストレートが来ることはわかっているはずで、それを待たれている状態でも空振り率16.5%は驚異的な数字。NPBにおけるストレートの空振り率の平均が7~8%と言われており、そのおよそ2倍の数字を叩き出している。このストレートが今後NPBという舞台においてどれほど武器として機能するか、非常に楽しみだ。
今シーズン奪った51個の三振のうち、30個がストレートによるもの。変化球では主にスライダーが決め球として機能しており、多くの空振りを奪っている。ストレートで奪った三振30個に次いで、15個をスライダーで奪った。投球の構成の軸となるストレートがあまりに強烈なために変化球まで打者はついて来れていないように見えた。
球速帯
椎葉の各球種の球速帯は以下のようになる。ただし一球速報で球速が入力されたのは全645球のうち353球と非常に精度は低いため、参考程度で。
150km/h以上のストレートの多さをまず直感的に感じる。ストレートの平均球速は148.1km/h。また数は多くないもののフォークも140km/h以上を計測しており、より磨きをかけて決め球としての選択肢を増やしたいところ。またスライダーは120㎞/h台~130km/h台と幅があり、変化球はまだまだのびしろと言えそうだ。
ストレートの球速帯は後期シーズンに限定すると140km/h前半の部分が消え、150km/h前後でよりまとまってくる。ストレートの平均球速も後期に限定すると149.5km/hとさらに1km/h以上上がった数字が出た。シーズン中に想像を超える成長を見せた証拠といえる変化かもしれない。
全登板内容
今シーズンの全登板をまとめたものがこちら。ほとんどが中継ぎとしての登板だった。特に不調に陥った時期もなく、8月9月は失点することなくすべての登板を終えている。特に圧巻だったのが5月12日の高知FD戦。23球で2イニング6個全てのアウトを三振で抑え込むピッチングを披露した。さらに5月20日のソフトバンク3軍戦でも5者連続三振と文句のつけようのない投球を見せつけた。ソフトバンク3軍との公式戦4試合では計7イニングを投げ、奪った三振は11個、打たれたのはわずか1安打、0失点と格の違いを見せている。
Rapsodo Data
Rapsodo Japan様のご協力のもと、シーズン中に試合での投球データの収集を2度行った。その時の椎葉の投球データがこちら。
一般的にストレートの場合、縦変化量の平均はおそよ40㎝、横変化量の平均はおよそ20㎝(シュート方向に変化)と言われている。(図青線)椎葉の場合、特に縦変化は50㎝を超えるものもあり、縦変化の大きさが空振りを奪える理由の1つと考えられる。
9月22日の登板は愛媛MPと四国ILの年間総合優勝を争うゲームであり、より力のこもった投球になっていた。8月11日の登板と比べてより縦変化の大きいボールが増えていることにはそのような状況も影響していたのかもしれない。またこの日は雨が降る中の試合で足場が悪い中での登板。ベストコンディションであればさらに面白い内容が見れたかもしれない。
成績&データ、分析ほか
中俊輔(@SNaka99400680)
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